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座礼から稽古が始まりますーJournal-ONE撮影
柔道家たちがスムーズにできてしまう前転、後転、開脚前転、開脚後転の4種類を終えた後、いよいよ個々のレベルに合わせたコースに分かれます。都合の良い日だけ、途中参加や早退、コースの移動自由と、柔軟に組まれたプログラムですので、仕事や学業の都合や自分のレベルに合わせて無理せず稽古に臨むことが出来るのも良いですね。
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なんとか前転後転できましたーJournal-ONE撮影
初めてでも安心・初心者コース
今回、私が体験したのは初心者コース。このコースには毎日男女合わせて7~9名ほどが参加していて、女性は3,4名が参加していました。コースのほとんどが”お一人さま”での参加だったので、ここで新しく交流を深めるには良い機会です。
ご指導頂くのは向井 幹博先生(七段)と岩永 洸輔先生(四段)です。向井先生は昨夏の朝稽古でも初心者に指導をしていただき、2024年オリンピック・パリ大会男子100キロ級出場、混合団体では銀メダルを獲得したウルフ アロン選手をはじめ、2016年オリンピック・リオデジャネイロ大会男子90キロ級で優勝したベイカー 茉秋選手、女子78キロ超級 無差別において世界選手権3大会優勝の朝比奈 沙羅選手などを育てた指導者。そんな先生に指導していただけるとは思ってもいませんでしたので胸が高鳴ります。
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初心者コースを指導した向井 幹博先生ーJournal-ONE撮影
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向井先生と一緒に初心者コースを指導した岩永 洸輔先生ーJournal-ONE撮影
10日間の全体的な流れとしては、初日から基礎を学び、復習、学んだ技を活かして実践に繋げる応用と少しずつ練習のレベルを上げていきます。最終的には乱取りができるようになるまで技を習得するのですが、稽古の合間に柔道の知識を向井先生が丁寧に教えてくださったり、初心者にも分かりやすく取り組みやすい方法で稽古を進めていきます。知識や体力に無理なく取り組めるので、私も毎日通って新しいことを習得することが楽しみになっていました。
さっそく1日目。まず始めに向井先生が「皆さんにとって柔道はどんなイメージですか?」と質問しました。”投げる”、”受け身”など色々と思い浮かびましたが、次に「今から畳の上で自由に表現してみてください」と言われると、参加者は相手の柔道衣を掴む”組み手”の姿勢や投げる動きをし始めました。しかし、自分自身でも分かる程ぎこちなく、ロボットのような固さについつい笑ってしまいます。
「柔道には”柔らかい”という字が使われていますので、ダンスをするように柔らかく身体を使って動くことが大切です。」と向井先生。そこで大切なのが、柔道特有の”すり足”という歩き方。畳から足の裏を離さずに進む動きなのですが、いざやってみると意外と難しい…!ずっと意識していないとすぐ足を地面から離してしまいます。足を上げてしまうとその隙に相手から足を引っ掛けられてしまいやすくなるので、これは柔道の基本中の基本。
すり足が習慣づいている向井先生はちょっとした段差で躓いてしまうそうで、私生活にも影響が出るのかと驚きが隠せません。そんな向井先生の体験談やクスッと笑ってしまうユニークな話を交えながら分かりやすく教えていただく初心者コース。背筋を伸ばした動きやすい安定した”自然体”でペアで肩を持ち、柔らかく動いてみると先程よりは少しづつスムーズに柔道らしく動けるようになってきました。
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姿勢が悪いので真っ直ぐ!と指導を受けている様子ーJournal-ONE撮影
嘉納師範の講道館柔道の教えや知識を学ぶ
稽古の合間には、柔道初心者の私達に向井先生から嘉納治五郎師範の理念や講道館柔道はどのようなものなのか、教えていただく時間もありました。
「柔道衣がレスリングや相撲と違って、ぶかぶかですぐ着崩れてしまう理由は何だと思いますか?」と考えたこともないことを突然問いかけられますが、全く分からないものです。私はなんとか知恵を絞り、怪我の防止のためと思いつきました。「それも正解!」と言った後に「1番の理由としては、柔道衣に余裕をつくることで相手の力が直接身体に伝わりにくくなる為、パワーを制する(柔よく剛を制する)ことができるから、と嘉納治五郎師範は考えられました。」と向井先生。
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