一方、日本代表のレジェンド・堀江 翔太選手が引退し、同じく日本代表のスタンドオフ(SO)松田 力也選手もトヨタVに移籍。三度目の正直を狙う埼玉WKにとっては大きな痛手となる。多彩なアタックもできる強力フォワード陣の精神的支柱、抜群のキック精度を誇る司令塔を欠いた埼玉WKがどういった試合展開を見せるかに注目だ。
期待通りの激しい攻防に沸いた前半
注目の開幕戦好カードに、キックオフ直後からスタンドが沸く。
先ずは1分、埼玉WKがフルバック(FB)山沢 拓也選手のパスキックで試合を動かす。ラグビーW杯2027での活躍が期待されるウィング(WTB)長田 智希選手に通すことはできなかったが、動きのある試合展開に熱戦の期待が膨らむ。
すると、今度は東京SGがセンターライン付近から確実に敵ゴールライン5mまで詰め寄ると、黄色いタオルを振りかざした東京SGから大きな歓声が起こる。しかし、ここは埼玉WKの日本代表フランカー(FL)Ben Gunter(ベン・ガンター)選手の激しいタックルとジャッカルでトライを許さない。
このアタックを凌いだ埼玉WKが10分、敵ゴール10m付近からロック(LO)のLiam Mitchell(リアム・ミッチェル)選手、Esei Haangana(エセイ・ハアンガナ)選手、センター(CTB)のDamian de Allende(ダミアン ・デアレンデ)選手と、190cm超の大型選手を起点に突破を図り、一気にゴール中央トライ寸前に。
最後に押し込むPRの稲垣 啓太選手を何とか阻止した東京SGディフェンスだったが、ボールを持っていない相手プレーヤーを妨害する反則(オブストラクション)。ペナルティゴール(PG)を選択した埼玉WKのSO山沢 京平選手がこれを成功させ、埼玉WKが3-0と今シーズンの初得点を挙げた。
このプレーでFLの下川 甲嗣選手が一時退場。数的不利となった東京SGだが、相手陣内へ攻め込んでモメンタムを渡さない戦いを展開する。
しかし21分、埼玉WKは日本代表CTBのDylan Riley(ディラン・ライリー)選手が抜け出してディフェンスを引きつけると、最後はフリーで後方から駆け込んできた長田選手にパス。これを左隅にトライした埼玉WKが追加点。8-0と点差を広げた。
ここで早くもWTBのチェスリン・コルビ選手をベンチに下げた東京SGは、26分に自陣10mライン付近のラインアウトからボールを展開するが、倒れた選手がボールを放さずに持ち続ける反則(ノットリリースザボール)。これを、自陣22mラインから埼玉WKのCTBデアレンテ選手にあわやトライ寸前のところまで突破されるも、相手の反則を誘う好ディフェンスを見せて自陣から脱し、スタンドから「おぉ!」と大きな安堵のため息が。
攻める流れが続く埼玉WKは35分、ライリー選手からガンター選手、山沢 京平選手と左に流れる鋭いパスを回すも、ゴールライン付近でボールを前に落とした(ノックオン)ものの、37分には再びゴール中央を突破してチャンスを作り、長田選手がまたもや左端に走り込んでトライ。PGは決まらなかったが13-0と更にリードを広げて前半を終えた。
スター選手の投入で流れを変える-後半
「コルビ選手が痛めてしまったこと。また、イエローカードのシナリオも起きてしまったので、サム・ケイン選手と流選手の経験がチームをまとめられるかなと思って、早めにそのカードを切りました」と小野晃征ヘッドコーチが試合後に話したとおり、代表経験豊富なスター選手の投入が流れを変える。