後半4分、敵ゴール5m付近まで攻め込んだ東京SGは、得意のモールでさらにプレッシャーを掛けると、CTBの中野 将伍選手からIsaiah Punivai(イザヤ ・プニヴァイ)選手にボールを繋いでトライ。PGをSOの高本 幹也選手が決めて13-7と反撃を開始した。
流れを引き戻したかに見えた東京SGだったが、過去2シーズンで1敗しかしていない埼玉WKも、6分に直ぐに反撃に転じる。敵陣10m付近までボールを運んだ埼玉WKは、流れるパス回して右サイドへボールを展開すると、No8のJack Cornelsen(ジャック ・コーネルセン)選手が抜け出してトライ。山沢 京平選手のPGも決まって20-7と再び点差を広げた。
一進一退の攻防に手に汗握る展開は9分、今度は東京SGが敵ゴール5mのラインアウトからゴール左側へ攻め込むと、密集からPRの堀越 康介選手が押し込んでトライ!東京SGファンから大きな歓声が湧き上がるも、ラインアウト時のオブストラクションの判定でノートライとなり、これが結果的に勝負の明暗を分けることとなる。
12分に、CTBデアレンテ選手のキレのある中央突破から、フリーのLachlan Boshier(ラクラン ・ボーシェー)選手がゴール右隅にトライして25-7と埼玉WKが突き放せば、24分には、東京SGもLOのHarry Hockings(ハリー ・ホッキングス)選手が右サイドラインギリギリに飛び込んでトライ。25-12と追いすがる。
しかし29分、素早い動き出しから敵陣深くまで攻め込んだ埼玉WKが、中央の混戦からボールを小刻みに繋いで、最後は途中出場のVince Aso(ヴィンス ・アソ)選手が右隅にトライして30-12と勝負を決した。
名選手の復活で今後の戦いも楽しみ
「久しぶりの80分はタフだった。ボールキャリーも良く、プレーには満足している」と試合後に話したのは東京SGのマクマーン選手だ。度重なる怪我で過去2シーズンを休んだラグビーW杯準優勝の経験を持つスターは、ホッとした表情でこれまでを振り返る。
「日本を愛しているし、サントリーを愛している。2年間、怪我のサポートしてくれたメディカルスタッフや関係者みんなに、この恩を返していかなければならない」と、惜しくも開幕戦を落としたものの、リーグ優勝に向けてまだまだこれからと力強く決意を語った。
一方の埼玉WKで、今年2月以来の公式戦出場となった稲垣 啓太選手も「やっぱりフィールドに立つのは素晴らしいなとあらためて思いましたし、これほど血が沸き立つ瞬間が自分の中にまだあるんだと実感もできました」と、開幕戦のプレーを振り返る。
今年2月に手術を受けて11ヶ月ぶりの出場となった稲垣選手は、出場できずに敗れたプレーオフトーナメント決勝について、「普段なら絶対にウチがしないようなミス、ペナルティで取りこぼしているので、間違いなく慢心があったんだと思います。やっぱりメンタリティーの部分ですね。そういった部分はチームに伝えていける部分がもっとあったんじゃないか。今季はそこを伝えられるようにしっかりやりたいです」と、ファイナルで三度目の正直を果たす意気込みを話す。
「(堀江選手が抜けて)一つ上のヴァルと共にチーム最年長となりました。ウチは話す力のある選手が多いので、口に出して伝えていくことは他の選手に任せて」と、”笑わない男”は背中でチームを引っ張っていく。