一方、難民選手として国際試合に復帰したモラエイ選手は、モンゴル国籍を取得して東京オリンピックにモンゴル代表として出場。見事に銀メダルを獲得したという訳だ。

「今すぐ逃げて!」と緊急連絡を受けたナデルとレイラが携帯電話で会話を交わすカット© 2023 Judo Production LLC. All Rights Reserved
『TATAMI』を通じて”今”に気付く
オリンピズム(オリンピックの理念)は、異なる国や地域の人と交流することで、互いを尊重し、偏見をなくすこと、スポーツを通じて世界平和を構築することである。しかし、パレスチナ問題の改善、及びイスラエルと周辺各国の関係改善が進まない限り、このようなボイコットは今後も続くと思われる。
パレスチナ問題や、ウクライナ侵攻など、世界で今起きている様々な問題は日本国内のニュースでも度々報道されるが、私たち一人一人はこういった問題を直接的に解決できる力も術もない。しかし、『TATAMI』という作品を通じて、様々な場面でどういったことが起きているのかを”先ず知っておく”ことが大切ではないだろうか。
歴史や背景など、世界史を勉強するように理解を深めることは難しくとも、世界中で親しまれている柔道を題材にした『TATAMI』を観ることで、新たな気付きが生まれ、身近な問題として考える機会が増える。世界の人たちと繋がるスポーツを介して、私たちも様々な社会課題の解決に通じる活動ができるようになりたいと思わせてくれる作品に出会えた。
『TATAMI』公開は2月28日(金)から、新宿ピカデリーほか全国順次公開される。2025年は映画鑑賞からスポーツを始めて観るのもいかがだろうか。