そして “全員ソフトの陣” が作った6回の1死満塁のチャンスに、またもや登場したのは山内選手!「(この打席は)試合の状況を見て、ゴロよりも最低限の犠牲フライになればと思って打席に入りました。」と振り返った山内選手は、チームの勝利を決定付ける犠牲フライを高々とライトに放ち、5打点目を挙げる大暴れを見せてくれました。
この試合で最も活躍した “Most Wow! Player” に輝いた山内選手は試合後、「とにかく、坂本キャプテンに勝ち星を付けることが出来て本当に良かったです。万全なチーム状態でなくても、やれる選手が役割を果たして勝ちを重ねていきたいです。」と、4回7奪三振の好投を見せた坂本主将の勝利を喜びつつも、まだまだ続くリーグ戦を見据えて引き締まった表情で話す山内選手。
メジャーリーグ(MLB)のロサンゼルス・エンゼルスで話題となっている、大谷 翔平選手やMike Trout(マイク・トラウト)選手らが本塁打を放った後に見せる “兜パフォーマンス” をやってみた感想を聞くと、「大谷選手と同じパフーマンスが出来て、嬉しかったです。」と素敵な笑顔で答えてくれました。
左中間に、右翼ポール際に鋭い打球で弧を描く山内選手のバッティングは、兜パフォーマンスの本家・大谷 翔平選手にも負けないパワーと技術を兼ね備えているからこそできる離れ業です。これからも注目していきたい選手ですね。
「山内のホームランで試合のペースを掴めました。接戦の試合が続いていましたが、今日は色々な選手を試すこともできて良かったです。本来の戦力とはいきませんが、何とか全員ソフトで前半戦を乗り切って後半戦へ勢いを付けていきたいです。」と。東西対決に勝利した東軍の将・村山監督も山内選手の活躍に目を細めていました。
東軍・遠江国 vs 西軍・三河国
第2試合は、NECプラットフォームズ(静岡県掛川市)と豊田自動織機シャイニングベガ(愛知県刈谷市)の対戦です。この試合で注目したのは、シャイニングベガの “名将” 永吉 慎一監督。昨シーズンはリーグ2位からプレーオフを勝ち抜き、初代女王の座をかけたダイヤモンドシリーズでビックカメラ高崎ビークイーンと接戦を演じたその手腕が東西対決でどう発揮されるのか!
社会人野球、男子ソフトボールと多彩な現役時代を過ごした永吉監督。女子ソフトボール界の ”名将” として、準優勝に輝いた昨シーズンの勢いを維持して、今年もここまで8勝3敗の西地区2位に付けている強さを聞いてみました。
「社会人野球はもちろんですが、男子ソフトボールも女子ソフトボールとは全く違うスポーツと言っても良いくらい。自分が得た経験が必ずしもこのチームに適応するとは言えないんですよ。」と話し始めた永吉監督。
「でも、同じ投げて打つ球技ですから、トップアスリート同士で交流したことが良い経験になっています。」と紹介してくれたのは、シーズン前の鹿児島キャンプで社会人野球のJR東海野球部と練習することで得たヒントです。
「(今シーズンは)開幕戦ではトヨタに大差を付けられてしまいましたが、多くの選手を開幕戦に出せたことが返って良かったですね。」と、ピンチをチャンスに変えることでチームが勢いに乗ったことも教えてくれました。
昨年の主軸・中川 彩音選手(現・SGホールディングス ギャラクシースターズ)が抜けた影響については、「中川選手が抜けて攻撃の戦力ダウンが避けられない中、エルズウォース選手の獲得で何とか攻撃陣の補強が出来ました。」
「投手陣はエスコベト選手が安定した投球を見せてくれている間に、次の選手を育てていかなければなりません。若い選手に試合で力を付けてもらいながら勝ち星を重ねていこうと。」と話す永吉監督に、育てながら勝つとは難しいことを考えているなぁと感心して聞き入ってしまいます。
それを察した永吉監督、「確かにとても勇気の要る采配ですよ。」と私の反応に同意したうえで、「昨年、ダイヤモンドシリーズまで進んで、優勝まであと一歩(1-2でビックカメラ高崎に惜敗)まで迫ったという自信が、選手たちの成長に繋がっています。ウチは髪型などの決まりも他のチームよりは厳しいなど、口うるさくて嫌がられるかもしれませんが、日ごろの振る舞いはプレーに現れるといつも選手たちには言っています。」
なるほど、昨年得た自信を確かな実力に繋げるには、日ごろの振る舞いが大事だと言うことですね。
「選手たちを自分の娘だと思って、少しでも良い成果を出してもらえるように接しています。まぁ、選手たちは私を”ただのおじさん”だと思っていますよ(笑)。」と、アップする選手たちを横目に笑顔で話してくれました。
“育てながら勝つ”永吉流で白星
試合は序盤、プラットフォームズの大塲 亜莉菜投手、シャイニングベガの江渡 祐希投手の投げ合いで投手戦の様相です。中盤、この均衡を破ったのはシャイニングベガでした。