柔道グランドスラム東京2023 | 男子90kg級で金メダルを獲得したパリ五輪日本代表内定の村尾三四郎選手がIGOLNIKOV選手に投技をかける-Journal-ONE撮影
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様々なドラマが生まれる国際大会 

オリンピック・パリ大会(以下、パリ五輪)前に日本で開催する最後の国際大会、”グランドスラム東京2023”(主催=国際柔道連盟:IJF)。”IJFワールド柔道ツアー” のひとつであるグランドスラムは、世界選手権、ワールドマスターズに次ぐ国際大会の位置付けとなる大きな大会です。 柔道グランドスラム東京2023 | パリ五輪内定を争う試合やパリ五輪内定選手が出場した東京体育館は連日満員-Journal-ONE撮影

グランドスラムが東京で開催されるようになったのは、2009年のIJFワールド柔道ツアー導入にまで遡ります。前身の “嘉納治五郎杯東京国際柔道大会” を “グランドスラム東京” と大会名称を変更して現在に至っているのです。

2023年はここまでに8ヶ国で開催されたグランドスラム。2月に開催されたパリ(フランス)に始まり、テルアビブ(イスラエル)、タシケント(ウズベキスタン)、トビリシ(ジョージア)、アンタルヤ(トルコ)、ウランバートル(モンゴル)、バクー(アゼルバイジャン)、アブダビ(アラブ首長国連邦)と続き、最後がここ東京で9ヶ国目となります。 

権威ある “グランドスラム東京2023” ですが、オリンピック前の年はその注目度が大きく上がります。パリ五輪で金メダル獲得が期待される日本代表選手たちを間近で観ることのできるラストチャンスであり、各国選手たりもパリ五輪の出場権やシード権を獲得するにあたり極めて重要であるために強豪選手が多数出場するからなのです!柔道グランドスラム東京2023 | 男子66kg級の東京2020金メダリスト 阿部一二三選手はゴールデンゼッケンを背負う-Journal-ONE撮影

本大会での獲得ポイントは、優勝者の1,000ポイントを筆頭に、2位700ポイントと順位によって決められており、1試合勝利でも100ポイント、参加ポイントも10与えられます。パリ五輪の出場権をかけたポイント獲得争いは、今年6月からすでに始まっており来年の6月までが対象。グランドスラム東京も含め、次のオリンピック出場が占われる大切な大会なのですね。 

ネクスト・パリの活躍に注目 -女子1日目

12月2日、3日の2日間にわたって男女14階級の試合が行われましたが、1日目と2日目でも見どころが異なります。

通常、この大会の結果を踏まえてオリンピック代表選手が一括で決められていましたが、パリ五輪の代表選考は新しい取り組みとして数回に分けた選考方式を採用。早期代表内定者がメダルを取る確率が8割を超えるというデータなどをもとに、日本国民から ”常勝” を期待される柔道が、その期待に応えるべく採用しました。これによりグランドスラム東京2023開催前で、男女14階級で既に10名が既に内定しており、”日本代表を決める運命のグランドスラム” という位置づけではなくなりました。柔道グランドスラム東京2023 | 女子52kg級の東京2020金メダリスト 阿部詩選手は史上最速で五輪代表内定を決めた-Journal-ONE撮影

そのため、大会1日目に行われた女子3階級では、11月4日に千葉ポートアリーナで開催された “講道館杯全日本柔道体重別選手権大会(以下、講道館杯)” で好成績を残した若い選手たちに注目! 2028年のオリンピック・ロサンゼルス大会(ロス五輪)への出場を目指す選手たちが、世界の強豪相手にどういった試合を見せてくれるのかも楽しみです。

カナダの熾烈な代表争い –女子57kg

パリ五輪内定の舟久保 遙香選手(三井住友海上)が欠場する中、日本代表は講道館杯優勝の古賀 ひより選手(パーク24)に注目が集まります。バルセロナオリンピック71kg級金メダリストで “平成の三四郎” の異名を持つ古賀 稔彦さんを父に持つ古賀選手は、講道館杯でも父譲りの豪快な一本背負投を何度も繰り出す印象的な選手です。柔道グランドスラム東京2023 | 講道館杯女子57kg級を制した古賀稔彦さんの長女・古賀ひより選手も世界の壁に初戦敗退-Journal-ONE撮影

ロス五輪に向け、世界の強豪に立ち向かった初戦は、イスラエルのNELSON LEVY Timna(ネルソン-レヴィ)選手との対戦。グランドスラム・テルアビブ2021で金メダルを獲得しているネルソン・レヴィ選手に果敢に挑みましたが、惜しくも敗れてしまいました。柔道グランドスラム東京2023 | 講道館杯女子57kg級を制した古賀稔彦さんの長女・古賀ひより選手も世界の壁に初戦敗退-Journal-ONE撮影

講道館杯準決勝で惜しくも古賀選手に敗れた、玉置 桃選手(三井住友海上)、まだは、それぞれ1回戦を勝ち上がったものの、2回戦で惜しくも敗退。やはり世界の強豪選手を相手に勝ち抜けるのは難しいのです。柔道グランドスラム東京2023 | 女子57kg級の高校2年生の本田 里來選手(敬愛高校)は世界シニアの舞台で1勝を挙げる-Journal-ONE撮影

この階級の優勝候補と言われていたのが、カナダのDeguchi Christa(出口クリスタ)選手。5月にドーハで行われた世界選手権大会で金メダルを獲得するなど、パリ五輪での活躍も期待されている出口選手は長野県塩尻市の出身。現在も山梨学院大学を練習拠点に活動している選手なのです。柔道グランドスラム東京2023 | 女子57kg級 長野県塩尻市出身のカナダ・Deguchi Christa(出口クリスタ)選手はグランドスラム8回目の優勝を飾る-Journal-ONE撮影

2回戦から登場した出口選手は、3回戦で講道館杯準優勝の髙野 綺海選手(エースサポート)を破り、準決勝でもわずか30秒で一本勝ち。安定した試合運びで決勝に駒を進めました。

決勝でのブラジル・LIMA Jessica(ジェシカ・リマ)選手に対しても開始1分、外巻込で一本勝ちしてグランドスラム8個目の金メダルを獲得しました!柔道グランドスラム東京2023 | 女子57kg級 長野県塩尻市出身のカナダ・Deguchi Christa(出口クリスタ)選手はグランドスラム8回目の優勝を飾る-Journal-ONE撮影

この大会後、講道館で行われた “2023年度国際合宿” にも参加していた出口選手は、「日本人選手が勝ち上がってくる予想だったので展開は変わりましたが、何とか優勝することができて良かったです。」と笑顔で振り返ります。柔道グランドスラム東京2023 | 女子57kg級 カナダのDeguchi Christa(出口クリスタ)選手はグランドスラム8回目の優勝を飾り国際合宿でコメント-Journal-ONE撮影

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