ここから左サイドを攻めるGR東葛、自陣10m付近のラインアウトから一気に抜け出してゴール前までボールを運ぶS愛知、両チームがゴール付近まで詰め寄る白熱の攻防に、両チームのサポーターから大きな歓声があがるもロースコアで試合は進んでいく。
すると、この激しい攻防から抜け出したのは前半36分のS愛知。自陣10m付近からボールを持ったS愛知は、バックスにボールを展開すると左サイドを一気に突破!最後は来るパリ五輪の男子7人制ラグビー日本代表としても活躍が期待されるFBのケレビジョシュア(Josua KEREVI)選手がフォローしてトライ。Gも決まって、前半土壇場で7–7の同点に追いついた。
耐えたS愛知が終盤に底力 -後半
リフレッシュして臨んだ後半も、開始早々から攻め込んだのはGR東葛。
後半5分には、FL(フランカー)ヴィリアミ・ルトゥア・アホフォノ(Viliami Lutua Ahofono)選手がトライ。SO(スタンドオフ)の金井 大雪選手が前半に続くGを決めて14-7と早々に勝ち越しに成功する。
17分にSOのフレディー・バーンズ(Freddie Burns)選手が確実にPGを決めて14-10と差を詰めると。35分には早いバス回しからWTB(ウイング)の松岡 大河選手がゴール前まで一気にボールを運んでペナルティを得る。
このラインアウトから一気にモールでGR東葛のディフェンス陣を圧倒!最後は途中出場のHO(フッカー)藤浪 輝人選手がトライを決めて14-15と遂に逆転に成功します。さらに右サイドライン付近からの難しいGをフレディー・バーンズ選手が決めて14-17とすると、S愛知の応援団から大きな歓声が起こりました。
田中選手の引退発表に華を添えたいGR東葛サポーターが大きな声援を送るメインスタンド前では、GR東葛の選手たちが必死にボールを奪おうとS愛知に襲いかかるも及ばず。ボールがタッチラインを割った瞬間にホーンが鳴って試合終了。リーグ戦3位のS愛知が同2位のGR東葛を下し、順位決定戦を1勝1敗で終えました。
悔しい敗戦にも前を向く
試合後、サポーターに向けたGR東葛のマイクパフォーマンスでは、レメキ主将から「田中史朗さん来て下さい。泣かないでくださいね」と突然のご指名を受けてマイクを握った田中選手。
「たくさんの応援ありがとうございました。あまりしゃべりすぎると泣いてしまうので。皆さんと一緒に戦えていることが誇りですし、ここにいる後ろのメンバーも誇りに思います」と明るく振る舞いながら、「これからも日本のラグビーをよろしくお願いします」とレジェンドらしいラグビー界を代表した挨拶。大きな歓声を受けてスピーチを締め括りました。
試合後の囲み取材では、「今まで何度かもう辞めようと家族に相談していた」と話す田中選手は、ホッとしたような表情と残念そうな表情を入れ替えながら報道陣の質問に丁寧に応えてくれました。
今日の痛い敗戦を前向きに受入れつつ、残り3試合となった自身のラグビー人生については、「自分が試合に出てプレーで引っ張っていきたい気持ちもありますが、一番大事なのは勝つこと。勝てれば自分は出られなくても構わない」と、最後まで献身的にチームを支えることを誓っていました。
ラグビーリーグワンは入替戦も熱い
ディビジョン1への挑戦権をかけたディビジョン2の順位決定戦は残すところあと1試合。5月6日に石巻で開催される浦安DR vs GR東葛の試合結果で最終順位が決定します。