女子はブダペスト世界選手権7位で、日本選手権3連覇中だった廣中璃梨佳が不出場となったことで、混戦模様が予測されたなか、2022年オレゴン・2023年ブダペスト世界選手権代表の五島莉乃が、スタート直後から飛びだし、中盤からはペースメーカーをも置き去りにする攻めのレースで独走した。
参加標準記録のクリアはならなかったものの、日本歴代6位となる30分53秒31の自己新記録をマークし、日本選手権初優勝に花を添えている。2位は、昨年のアジア選手権金メダリストの小海遙。中盤以降に五島に突き放されたが、31分10秒53でフィニッシュし、五島同様にワールドランキングによる五輪出場に望みを繋いでいる。
世界リレー:若手が躍動、男子リレー2種目で出場権獲得
リレー種目におけるパリ五輪出場権を懸けて行われる”世界リレー”が、5月4~5日、バハマの首都ナッソーで開催された。日本は男子4×100mリレー、男子4×400mリレー、女子4×100mリレー、男女混合4×400mリレーの4種目で五輪チケット奪取にチャレンジした。
出場権獲得を達成したのは、男子4×100mリレーと男子4×400mリレーの2種目。どちらも初日に行われた予選を2着位内で通過し、五輪出場を確定させた。
男子4×100mリレーは、サニブラウン アブデルハキーム、栁田大輝、上山紘輝、三輪颯太の先行逃げ切りオーダーで予選に挑んで38秒10で1着。また、佐藤拳太郎、西裕太、佐藤風雅、川端魁人の走順で臨んだ男子4×400mリレーも、先着されたアメリカの失格により1着(3分00秒98)での通過となり、この段階で出場権を確保した。
翌日の決勝、男子4×100mリレーは山本匠真、栁田、上山、三輪のオーダーで挑んで38秒45の5着でレースを終えたが、3着でフィニッシュしていたイタリアが失格したことで順位が繰り上がり、3位のフランスと0.01秒差の4位という結果になった。
男子4×400mリレーの決勝は、約3時間前に混合4×400mリレーを走って2レース目となった佐藤拳が1走に入り、佐藤風、中島佑気ジョセフ、川端とつなぐオーダーで臨み、4位(3分01秒20)でフィニッシュ。3位とは0.04秒差と、こちらもメダルラインに迫る結果を残した。
木南記念:男子400mハードルで筒江海斗が3人目の参加標準記録突破
5月12日に行われた”木南記念”(大阪)では、今シーズン、国内で初めて「パリ五輪参加標準記録突破」のアナウンスが流れることとなった。3組タイムレース決勝で行われた男子400mハードルがその種目。
3組目に出場した筒江海斗が、日本歴代7位タイとなる48秒58でフィニッシュ。この種目の五輪参加標準記録48秒70をクリアしたのだ。筒江は、5月3日の静岡国際も制しており、これで日本グランプリシリーズ2連勝。また、男子400mハードルの参加標準記録は、昨年突破済みの豊田兼、黒川和樹を含めると3選手がクリア。日本選手権での勝負が、さらに激化することとなった。
このほか、男子1500mで飯澤千翔が日本記録(3分35秒42、河村一輝、2021年)に0.35秒と迫る3分35秒77の好記録で優勝。また、女子走幅跳では、昨年のアジア選手権を6m97の日本新記録で制し、五輪参加標準記録(6m86)を突破済みの秦澄美鈴が、雨の悪コンディションのなか、6m72の今季アジア最高記録で快勝した。この記録は、秦にとってシーズンベスト。”兵庫リレーカーニバル”に続き、日本グランプリシリーズ2勝目を挙げる結果となった。
セイコーゴールデングランプリ:北口榛花が圧巻の投てきで10連勝
国内外のトップアスリートが集まる大会として熱い視線が注がれたのが、5月19日に行われた”セイコーゴールデングランプリ”。世界陸連が主催するワンデーミーティング”ワールドコンチネンタルツアー”シリーズで、この大会は最上位となるゴールドとして開催される。
ワールドランキングにおける大会カテゴリが、日本選手権(Bカテゴリ)より高いAカテゴリに位置することもあり、国内外からトップ選手がエントリー。各種目で、「記録と順位」を狙っての激戦が繰り広げられた。