リーグ屈指の好カードは嵐の予感?
女子ソフトボール “ニトリJDリーグ” の第6節。群馬県高崎市にある宇津木スタジアムで行われた “ビックカメラ高崎ビークイーン” と ”戸田中央メディックス埼玉” の一戦。
全国的に今年一番の暑さとなった日中だったが、ソフトボールタウン・高崎はやや雲がかかり、それほどの暑さは感じない。しかし、両チームの旗や横断幕が音を立ててはためく程の強風が気になるところ。
ゲームに嵐を呼ぶ前触れか?ここまで9勝2敗、東地区首位に座る強豪同士の好カードに、試合前から多くのファンが集まってきた。周辺住民への配慮で ”鳴り物応援” を控えるナイトゲームだが、この熱いファンたちの声援により、序盤戦屈指の好カードは最後まで勝負の行方が分からない白熱した試合展開となった。
この日、誕生日を迎えた戸田中央の福田 五志監督は試合前、「(天王山ということに)あまり意識はしていない。まだまだチームの状態は上がっていくので、先ずは出来ることを確実にやっていきます。」と穏やかな表情で話す。
“互角” な両チームのエースが力投
この試合の鍵を握ると思われる選手たちの成績を比べると、面白いように一致している。
ビックカメラ先発・濱村 ゆかり投手は、愛知県安城市で行われた開幕戦(デンソーブライトペガサス戦)に完封すると、ここまで防御率1.44、既に6勝を挙げる活躍で、好調なチームを牽引している。
2022年は13勝2敗、防御率0.81という圧倒的な成績で、ビックカメラを初代・JDリーグ女王の座に押し上げた濱村投手。この試合も、持ち前のストライクゾーンいっぱいを攻める抜群な制球力を見せ、初回から戸田中央打線を抑え込んでいった。
濱村投手と同じ、防御率1.44、6勝は、今シーズン躍進するチームの象徴でもある。昨シーズンの成績(6勝4敗)と既に同数の勝ち星を挙げる増田投手は、間違いなく自己最多の勝利数が期待される。防御率も2.29と決して悪くない昨年の数字に対し、今シーズンはさらに1点以上も改善している安定感に注目が集まる。
増田投手が覚醒した一つの要因として福田監督が挙げたのは、今年 “日立サンディーバ” から移籍した坂本 結愛選手のインサイドワーク。「相性自体は他の捕手たちと変わらないのですが、投球の組み立てにバリエーションができたため、増田の投球に幅が出たのだと思います」と、チーム作りが順調に進んでいることを話していた。
期待の若手が地元で躍動
試合が動いたのは2回、地元・高崎の声援を受けたビックカメラの攻撃。
先頭の “推しのソ” 炭谷 遙香選手のヒットを皮切りに、2死一、二塁とチャンスを作ると打席にはルーキー・井出 久美選手が入る。今年、高崎健康福祉大学高崎高からビックカメラに入団した “ご当地のトッププロスペクト” の登場に、スタジアムの歓声が一層高まる。
この歓声に応えたい井出選手が放った打球は、左中間のフェンスをワンバウンドで飛び越える先制適時二塁打!続く、新キャプテンの藤本 麗選手も技ありの左前適時打を放ち、ビックカメラが2点を先制した。
流れを掴むベテランの経験値
2点を先制したビックカメラは、ベテランの経験と技でさらに流れを掴む。
「あの場面は(一発を)狙う場面でした。レフトへ強く風が吹いていたので、それを活かせるボールを狙っていました」と話したのは、東京五輪、アジア大会の金メダリスト・内藤 実穂選手。