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「僕たちのようなローポインター(障がいの重い選手)は、動きがどうしても遅くなるため、このような突き出したパンパーのあるチェアを使い、相手のチェアを引っかけたり進攻を妨害することで、得点を簡単に与えないようにするんですよ。」と、日本代表の強化指定選手である乗松 隆由(たかゆき)選手が教えてくれました。

乗松さんは先月、私が住む千葉県で開催された夢の地域交流in松戸市に、同じチームの日本代表・羽賀 理之(まさゆき)選手と参加してくれたばかり。今回のご縁もあって、乗松さんとは意気投合です!

一緒に試合に出させてもらった際、ボールを持った選手に乗松さんと一緒にディフェンスしたのですが、乗松さんは相手の車椅子にバンパーを巧みに引っ掛け、とてもうまくガードしてました。

「ローポインターのプレーの醍醐味は、動きの速いハイポインターの進路を止めたり、攻撃のルートを遮断したりするところ。ボールを持っていない場所での攻防も試合観戦の楽しみのひとつですよ。」と、ツウな観戦のコツも教えてくれました。

私は車いすの操作が難しくて全くディフェンスになりませんでしたが、試合などの激しい動きでなければ、女性の力でも簡単に前後左右、回転と小廻りが効いて自由に動けます。

また、座面は小さめでしっかりと固定されていて、車いすが身体の一部のようにフィットする乗り心地でした。フォルムも近未来の乗り物みたいでとってもカッコイイ!

試合中の激しい攻防に “パン!” という大きな音が鳴り、試合が中断しました。同じディフェンスの小川 晃生さんのタイヤがパンクしたのです。

急いでコートアウトすると、コートの片隅にはたくさんの車輪が用意してありました。

スタッフの坂井 亜由美さんと太田 知子さんが慣れた手つきでタイヤを交換し、それが終わると小川さんも直ぐにコートに戻っていきました。

練習の合間、小川さんと話をしたのですが、仕事の関係でしばらく車いすラグビーから離れていたとのこと。

「私のように週5日フルタイムで働いている選手、倉橋さん(倉橋 香衣選手)や羽賀さんのような日本代表選手、乗松さんのようなアスリート契約で働く選手など、本当にいろいろなバックボーンを持つ選手たちが集まっているのがAXEなんですよ。」と小川さんがチームの構成を教えてくれました。

「体力的にも技術的にもついて行くのは大変ですが、これからも趣味として続けていきたいですね。」と控えめに話す小川さんでしたが、ブランクもフルタイム勤務による練習不足も感じさせない動きにビックリしてしまいました。

小川さんと同じくローポインターの橋本 惇吾さんも、激しいポジション取りのディフェンスでタイヤが浮き上がりました! 凄い迫力です。

次の取材では、橋本さんにもディフェスの魅力を聞かせていただこうと思います。

支えるひともプレーヤー! 

再びコートの外に目を向けると、坂井さんと太田さんがたくさんのタイヤに囲まれて何かやっています。近づいてみてみると・・・ 手際良くパンク修理をしています!

「選手ひとりひとりが自分のスペアタイヤを持っているんです。パンクは日常茶飯事で、スペアを使いながら直ぐに次のパンクに備えて修理しておくんですよ。今日は全然(パンクが)少ない方です。」と太田さんが、自転車屋さん顔負けの手つきでパンク修理材を塗りながら説明してくれました。

練習前の準備や試合中のアシストなど、常に動き回っているふたりは何がきっかけでこの競技を知ったのか不思議に思い尋ねてみると・・・

「私は、リハビリの仕事をしているのですが、そこで車いすラグビーをしている方に誘われて見に来るうちにハマっちゃいました。」と、坂井さん。

太田さんも、「友だちに誘われて・・・」と、車いすで生活される人たちとの関わりが多い日常で、自然とこの競技の魅力に気付かれたと話してくれました。

多様性の時代といわれる現代ですが、私は車いすで生活する方との接点がありませんでした。坂井さんと太田さんとお会いし、多様性の社会は心の温かい人たちを育む社会なんだなぁと感じました。

車いすラグビーのルールも、さまざまな障がいを持つ方が参加できる多様性のスポーツであることに感心しました。

障がいの重さにより3.5点〜0.5点までのポイントが選手に付与され、合計値の制限内でチーム編成をしなければならないため、様々な障がいを持った方がチームを組んでプレーします。女性は体力差を鑑みてさらに優位なポイントが与えられますので、性別も関係なくプレーできます。

ポイントに応じて選手の役割があって、連携して点を取ったり防いだりとめまぐるしくコートを動く皆さんは、とても楽しそうにプレーされていて本当に素晴らしいスポーツだなぁと思いました。

テンポの良い試合展開に欠かせないキープレーヤーたち! 

そして、ポイントゲッターとして終始コートを縦横無尽に動き回っていたのが、峰島 靖さんと、コバック ニコラス ポールさん。

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