この後は、スピアーズのモール攻撃に怯むこと無くディフェンスを崩さないサンゴリアス。一進一退の攻防が最後まで続き、勝負の行方は全く予想できないまま前半を終了しました。
激しい試合展開に沸く後半戦
膠着した試合展開が続くのか? その予想を覆すビッグプレーが早速飛び出します。後半開始早々、中央付近のスクラムから抜け出したのはスピアーズ! ボールを受けたフォーリー選手が一気に抜け出します。パスを受けたWTB木田 晴斗選手がライン際を一気に駆け抜けてトライ。15-5と早々に突き放します。
しかし、サンゴリアスも16分に一度奪われたボールを再度奪い返すと、SH齋藤 直人選手がトライを決めて、キック成功と合わせて15-12と試合の流れを引き寄せ返します。
直後の18分には、ハイパントキャッチからボールを受けた木田選手が、ライン際でキックするとボールは一気にゴール前へ! このボールを追う尾崎選手とスピアーズ#21 谷口 和洋選手がゴールライン寸前で交錯しトライはなりませんでしたが、ノーボールタックルと判定されてペナルティトライ。サンゴリアスがこの試合、ついに15-19と逆転に成功します。
この時点、前のプレーで “シンビン”(ペナルティによる10分間の一時退場)で2人の選手を欠くスピアーズに数的有利なサンゴリアスが襲いかかります!
21分、トラライン目前でスクラムを組んだサンゴリアスは、ボールを持った#16中村 駿太選手がスクラムの脇を駆け抜けてトライ。15-24と試合の流れを引き寄せることに成功します。
13人という状況の中、サンゴリアスの優勢が続くかと思われた25分。数的不利を重量フォワードのラックでボールをキープしてアタックし続けるハードワークで陣地を挽回する粘り強い攻撃を見せ、会場から大きな歓声が上がります。バックス展開で相手を振ってサンゴリアスのディフェンスの隙を作ると、#22テアウパシオネ選手がディフェンスを引きずりながら意地のトライ!フォーリー選手のキックも決まって、22-24と追いすがります。
そして、後半34分にここまでプレッシャーを掛け続けたスピアースに、”えどりくの女神” が微笑みました。立て続けに当たりに来るスピアーズ攻撃陣にサンゴリアスディフェンスが徐々に下がっていきます。モールのまま一気に#19ルアン・ポタ選手が押し込んで27-24と再逆転に成功すると、#15ゲラード・ファンデンヒーファー選手が38分に自陣ゴール前でパスカットをしたまま独走のトライ!更に40分には、華麗なパス攻撃から抜け出したボールを受けた#7末永 健雄選手がダメ押しのトライ!
後半の爆発的な攻撃力を見せたスピアーズが、39-24でプレーオフ前哨戦をホーム18連勝で制しました。
プレーオフへの収穫と課題
両チームの持ち味が発揮され、プレーオフの再戦が待ち遠しくなったこの試合。試合後の会見ではそれそれが、プレーオフに向けた収穫と課題を口にしました。
「13人の局面で落ち着いてプレーし、トライを取れたことは大きい。先々を考えず一戦一戦やってきたが、良い形でリーグ戦を終えて良かった。」と話したのは、スピアーズのフラン・ルディケヘッドコーチ。
立川 理道キャプテンも、「前半から相手陣内でプレーができ、風も上手く使って戦えた。13人でもしっかり戦えたことは良かった。」と数的不利な状況でもトライを取った展開に開幕からの成長を実感します。
一方のサンゴリアスの田中監督も、「(後半38分の場面を省みて)逆転勝利を狙うなかでアドバンテージを獲得していた。それが継続されていると見て長いパスを放ったところ、インターセプトされてしまった。選手はフラストレーションがたまっていたのではないですかね…。試合を決定づけるプレーになったので、非常に悔しい。」と、チーム意思疎通が不十分であった点を反省します。「クイックにボールを動かしていくのは十分に通用した。ダイナミックなアタックができた。」と、サントリーらしさの出た試合展開には満足しているとのこと。
堀越 康介共同主将も、「全体的には良いディフェンスが出来ていたが、勝負ところの特に前半でプレッシャーを掛け続けられた場面で踏ん張れなかった。」と、ディフェンス面での成果と課題を話していました。
試合後、今季最終戦となるえどりくでは、SH井上 大介選手、CTBライアン・クロッティ選手らスピアーズを退団する選手たちのセレモニーやファンへのご挨拶など盛りだくさんの内容にファンは最後まで熱い声援を送っていました。
ゴールデンウィークを挟んだ5月14日、両チームが再び激突するプレーオフ準決勝が行われます。前哨戦で見せてくれた選手たちの素晴らしいプレーはもちろん、なお一層の熱い声援を送るファンの皆さんの応援を見ることも楽しみですね。