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「ラグビー観戦は2回目です。」と教えてくれたのは、岩沢 美亜さん(8歳)です。スピアーズのブーストシャツにサンゴリアスのキャップを被り、どちらのチームも応援するラグビーファン。「お父さんもラグビーをやっていたんです。」とラグビー好きは “血筋” なんですね。

大学時代、本場・英国でラグビーをしていたというお母さんの職場仲間が声を掛けて実現した今日の観戦。ラグビーが職場の結束が高める役割を果たしているのですね。

夢はロックスターという美亜さん。将来メジャーな歌手になって、リーグワンのイベントに出演する日が待ち遠しいですね。

ラグビー観戦にハマった理由は様々ですが、皆さん本当に素敵な笑顔。“する人” だけでなく “みる人” の心も温かくするのがスポーツの素晴らしさです。

いきなりのアクシデントに騒然!-前半戦

初の決勝進出か?3度目の正直でリベンジなるか?いよいよ戦いの幕が切って落とされました!

1分過ぎ、スクラムを崩した反則で早くもスピアーズに得点のチャンスが生まれます。PG(ペナルティゴール)を蹴るのは、今年9月から開催される “ラグビーワールドカップ2023” のオーストラリア代表SO(スタンドオフ)としても活躍が楽しみな、バーナード・フォーリー選手です。

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23レギュラーシーズンで、得点王を獲得したフォーリー選手。積み重ねた173得点の中には、キッカーとして成功したG(コンバージョンゴール)が43回もあるんです。中央付近からのPGに、スピアーズファンの誰もが “先ずは3点” と思いましたが、このキックは惜しくも成功ならず。やはり、プレッシャーゲームの影響なのか?いつもと違う雰囲気に会場が緊張感に包まれます。

すると前半5分、サンゴリアスのLO(ロック)ツイ・ヘンドリック選手が、スピアーズのPR(プロップ)海士 広大選手に激しいタックル!海士選手が脳しんとうで一時退場となります。TMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)で危険なプレーを検証する間、サンゴリアスファンは祈るような仕草でビジョンを見つめます。

検証の結果、頭と頭が接触したと認定されたヘンドリック選手は、サンゴリアスファンの祈り届かずレッドカードで退場。黄色に染まったスタンドから悲鳴が起こります。サンゴリアスは残り75分もの時間を残し、14人で戦うことになってしまいました。

しかしサンゴリアスは諦めません。前回の敗戦で「勝負どころで相手にプレッシャーを掛け続けられた場面で踏ん張れなかった。」と堀越 康介共同キャプテンが話していたディフェンス面の課題を克服したプレーを見せます。

ラインアウトから得意のモールでアタックを仕掛けるスピアーズに、素早く対応し続けるサンゴリアスのディフェンス。これにたまらずスピアーズがペナルティを犯し、サンゴリアスがボールを奪います。

同じく前回の敗戦後に「クイックにボールを動かしていくのは十分に通用した。ダイナミックなアタックができた。」と攻撃の手応えを話していた田中 澄憲監督の言葉通り、持ち前の速さを活かしたサンゴリアスオフェンスが、自陣深くから徐々に相手陣内に攻め込むと、ここでもPGを獲得!1人少ないサンゴリアスに先制のチャンスが巡ってきました。

11分にも及ぶ攻防を制して先制の機会を得たサンゴリアスは、オールブラックスにも選出されたSOのアーロン・クルーデン選手がPGを狙いますが、こちらも失敗。

セミファイナルの特別な空気が、両選手のパフォーマンスに影を落とします。

しかし15分、スピアーズのPR・北川 賢吾選手がハイタックルでシンビン(10分間の一時的退場)になると、これで得た30mのPGをクルーデン選手が今度はしっかりと決めて先制!ついに、3-0と均衡を破りました。

ここに来て本来の動きが戻ってきた両チームの選手たち。24分にスピアーズが持ち前の連続した前への突進でサンゴリアスにプレッシャーを掛けます。FB(フルバック)のゲラード・ファンデンヒーファー選手がディフェンスの間を切り裂くと、脳しんとうで一時退場していた海士選手に代わり出場したPRの紙森 陽太選手が素早くフォロー!この試合初めてのトライを奪います。フォーリー選手のGも決まって3-7と逆転に成功です。

今度は1人少ないサンゴリアスが、相手のわずかな隙を突いてチャンスを作ります。W杯2019で怒濤の活躍を見せた日本代表のFB・松島 幸太朗選手です。30分、松島選手が中央付近で得たマイボールを素早くリスタートさせ、敵陣深くのスペースへ大きくボールを蹴り出しました。

このキックに素早く反応した3人のサンゴリアスオフェンス陣、WTB(ウイング)テビタ・リー選手がこのボールをすくって逆転トライ!Gも決まり10-7と再逆転に成功しました。

この後、約10分間は中央付近での激しい攻防となります。オレンジと黄色に真っ二つに分かれたスタンドからは、攻守が入れ替わるたびに歓声の波が行ったり来たり。見応えある展開が続いた前半が終了しました。「ひとり少ない状況でも、エリア取りとショートサイドでの攻めを意識して上手くやれた。」と、堀越共同キャプテンが会見で試合を振り返ったとおり、前半はサンゴリアスにとって会心の試合展開だったのではないでしょうか。

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