パラリンピック・イヤーを盛り上げろ!
2016年リオデジャネイロパラリンピック(以下、リオパラ)、東京 2020 パラリンピック(以下、東京2020)2大会連続銅メダルを獲得した “車いすラグビー日本代表”。
2024年パリパラリンピック(以下、パリパラ)で悲願の金メダルへ! 2023年の夏、多くのファンが観戦に訪れた “2023ワールド車いすラグビー アジア・オセアニア チャンピオンシップ(以下、AOC)” において、世界ランキング3位(当時)の日本代表は、決勝で同2位のオーストラリアに勝利し、早々にパリパラへのきっぷを手にしました。
そんな日本代表選手たちが所属する国内クラブチームの日本一決定戦。“第25回 車いすラグビー日本選手権大会” が開催されたのは、千葉県の千葉ポートアリーナ。
予選大会を勝ち抜いた8チームが。Pool AとPool Bに分かれて4チーム総当たりの予選ラウンドをおこなった後、各プールの上位2チームは決勝トーナメントに出場。また、3位以降の順位決定戦も行われる3日間の大会は、昨年の “第24回 車いすラグビー日本選手権大会” 同様、見応えのあるゲームを見せてくれました。
マーダーボールは面白い
“マーダーボール” とは、車いすラグビーの別名。直訳すると “殺人球技” となるため、少し怖い印象を持つかと思いますが、全くそんなことはありません!
戦車のような競技用車椅子(通称、ラグ車)で激しくぶつかり合うことからこのような名前が付いていますが、ぶつかり合う音の激しさだけではなく、ハイポインター(比較的障がいの軽いクラスの選手)のアジリティあるチェアワークや、ローポインター(障がいの最も重いクラスの選手)の絶妙なポジショニング、その両方を兼ね備えたミドルポインター(障がいが中程度のクラスの選手)が織りなす絶妙な試合運びは、他のどのスポーツにもない魅力を兼ね備えたスポーツなのです。
“マーダーボール” というアメリカのドキュメンタリー映画や、講談社コミックでは、障がいを持つ選手が、性別や年齢を問わずにプレーしている様子がうかがえます。パリパラに向けて、映画やコミックに触れてみることもオススメします。
無観客開催となった東京2020では、テレビを通じてしかその熱気を感じることができなかった私たち。コロナ禍を克服し、日々日常が戻っていく中においてJournal-ONE編集部は、車いすラグビーの魅力を “初めての人にも分かりやすく伝える” 記事を連載。
今大会にも出場した、埼玉県を本拠地とする車いすラグビーチーム “AXE”(アックス)“ の協力で、車いすラグビーを”する人” “見る人” “支える人” の笑顔や真剣なプレーを紹介していきました。こちらもあわせて読んで、車いすラグビーの魅力を感じてもらえると嬉しいです。
予選・東京大会を勝ち抜いて
2023年8月から日本全国を会場に、4度の予選を行った日本選手権。8月には東京大会、10月には福岡大会、11月には沖縄大会が行われ、出場6チームが決定。更に12月にはそれぞれの予選で出場権を得られなかったチームがプレーオフを行い、出場8チームが決定しました。
8月の東京大会を首位通過した “TOHOKU STORMERS” は、昨年の日本選手権準優勝の強豪。東京2020以降の急成長で、今や日本代表の若きエースとして活躍する橋本 勝也選手(Class3.5)と、元野球選手という経歴を活かしたボールハンドリングで日本代表を牽引する中町 俊邪選手(Class2.0)を中心に頂点を目指します。10月に取材したストーマーズ福島合宿では、チームの皆さんの素敵な笑顔と会うことができました。
同じく東京大会を2位通過した “AXE” は、昨シーズンの密着取材を快諾してくれた代表の岸 光太郎選手が(Class0.5)、昨年7月から日本代表ヘッドコーチに就任。チームの代表をリオパラ銅メダリストの山口 貴久選手(Class1.0)に託し、東京2020銅メダリストで日本代表の副キャプテンを務める羽賀 理之(Class2.0)がヘッドコーチ、倉橋 香衣選手(Class0.5F)がアシスタントコーチに就任するなど新しいチーム作りに取り組んできました。
昨年の王者が降臨! 予選・福岡大会は
10月の福岡大会を首位通過した “Freedom” は、昨年の日本選手権王者。日本代表のキャプテンを務める池 透暢選手(Class3.0)のリーダーシップの下で、白川 楓也選手(Class3.0)を始めとする若手の成長と、ベテラン勢の技術でアグレッシブなラグビーを展開して連覇を狙います。
同じく地元開催で圧倒的な走るラグビーを見せた “Fukuoka DANDELION” も2位で選手権出場権を獲得。日本代表メンバーに招集されて海外の強豪選手たちと腕を磨いている安藤 夏輝選手(Class0.5)や草場 龍治選手(Class1.0)に、東京2020銅メダリストの乗松 聖矢選手(Class1.5)などのタフネス選手が集うダンデライオンのラグビーは、試合中にコートの端から端までを走り回るスピーディなゲームが魅力です。