パラリンピック・パリ大会を盛り上げろ!
コロナ禍の影響で1年の延期、更に無観客試合で開催された オリンピック・パラリンピック東京大会(以下、東京2020)から2年。テレビの向こうからにもかかわらず、アスリートたちの素晴らしいパフォーマンスに多くの感動と勇気をもらった私たち。
コロナ禍から徐々に日常を取り戻してきた今年、ラグビーワールドカップ2023フランス大会、アジア競技大会杭州2023 など、“スポーツの秋” は世界の様々な地域で例年にない盛り上がりを見せている気がしませんか?
いよいよ1年を切った オリンピック・パラリンピック パリ大会(以下、パリ2024)に向けて様々な競技で代表選考が行われる中、去る7月2日にパリ2024の出場権を獲得している競技があるのです。
その競技の名は “車いすラグビー” !! 東京2020で銅メダルに輝いた日本代表は、2023 ワールド車いすラグビー アジア・オセアニア チャンピオンシップ(AOC)において見事優勝。この大会で与えられるたったひとつの “パリへの切符” を掴み取ったのです。
日本代表選手を間近で観戦!
パリ2024への出場を決めた “車いすラグビー” の日本代表選手たちですが、日本国内でどういった活動をしているかは余り知られていません。
国内での活動は、北海道から沖縄県の全国にある9つのクラブチームが担っており、本拠地での練習やミニ大会、合宿などを行いつつ、冬に開催される “車いすラグビー日本選手権大会” での優勝に向けて各地で予選が行われるのです。今回紹介するのは ”第25回車いすラグビー日本選手権予選 沖縄大会“。日本選手権へ出場するための予選です。
第25回車いすラグビー日本選手権の予選は全部で3大会。先に行われた東京予選では、昨年の日本選手権準優勝の “TOHOKU STORMERS”、Journal-ONE編集部車いすラグビーの魅力を紹介するために半年間密着取材をした “AXE”、そして北海道から参戦した “SILVER BACKS” が参戦。TOHOKU STORMERSとAXEが2日間にわたる激闘を制して日本選手権へと駒を進めました。
続く予選2大会目の福岡大会では、昨年度日本選手権の王者・“Freedom”、千葉県と北海道という2地域に住む選手たちで構成される “RIZE CHIBA”、そして地元・福岡で強豪2チームを迎え撃つ “Fukuoka DANDELION” が、2日間にわたる素晴らしいプレーを見せ、FreedomとFukuoka DANDELIONが勝ち抜けました。そして、この沖縄大会で上位2チームに入り、日本選手権への出場を果たすのはどのチームなのか!?
地元・沖縄で15年ぶりの勇姿! – Okinawa Hurricanes
公式戦開催は15年ぶり! 待ちに待った地元の大歓声を受け、“新生・Hurricanes” を印象付ける戦いを見せてくれたのは地元・沖縄を本拠地とするOkinawa Hurricanesでした。
昨シーズンは、カナダ代表のザック・マデル(Zak MADELL)選手のパワー溢れる攻撃で相手を圧倒するプレースタイルのHurricanesでしたが、「カナダはパラリンピック予選が残っているので、今季は参加することができません。実力的には厳しいと予想していますが、元代表の仲里や、強化指定の壁谷、僕を中心に連携し、相手が焦るようなしっかりしたディフェンスさえ出来ればやれると思っていました。」と、日本代表の若山 英史選手が話していたとおり、“チームの連携” を大事にした試合運びが光りました。
中でもひときわ大きな歓声に後押しされて会場を盛り上げたのは、パラリンピック・リオデジャネイロ大会(以下、リオ2016)の銅メダリストでコーチを兼任する仲里 進選手です。
仲里選手にボールが渡ると会場から「しんちゃん、がんばれ!!」と子供たちの大きな声が響きます! 試合中の苦しい場面でも声援に応えて手を挙げたり、ここ一番のオフェンスでは「声援が足りないぞ!!」と会場を鼓舞したりと、観客と一体となったラグビーを見せてくれました。
2日間共に応援うちわを振りながら声援を送っていたのは、仲里選手のご家族です!「私は(仲里選手を応援するために)東京まで応援に行っているんです。息子の活躍する姿を地元・沖縄で家族みんなと観ることができて本当に嬉しいです。」と話すのは、義理のお母さんです。奥さん、義理のお父さん、弟さんなど家族総出で応援に駆けつけたとのこと。
「コロナ禍で練習ができない中でも、一人で明るくトレーニングをしていました。15年ぶりに沖縄で開催されるこの機会、沖縄の人も車いすラグビーをもっと知って応援して欲しいです。」と、嬉しそうにインタビューに応じてくれました。
甥っ子の小学2年生の男の子は、「スポーツより勉強が好き。先生になりたいかなぁ」、5歳の甥っ子も「ブロックでカッコいいロボットなんかを作るのが好き。ロボットに乗る人になりたい。」と、輝きを放ちプレーする叔父さんを応援しながら自らの光り輝く夢を教えてくれます。他にも、Hurricanesの選手たちのお友達や親類がたくさん集まった応援席では、ちびっ子ファンがみんなで大きな声援を送ります。 「久しぶり!」「子ども生まれたんだ!?」など、若い同世代が旧交を暖める場にもなっているようです。
「私は何度も車いすラグビーを観戦していますが、せっかくの地元開催なので友達を誘ったら、たくさん応援に来てくれました。」と話すのは、仲里選手の従兄弟さんとそのお友達です。「こうして会場に足を運ぶと、車いすラグビー自体が盛り上がってきていることを感じますね。車いすラグビーの体験会の企画などを見て、組織がとても充実してきたなあと実感します。」とのこと。小さなお子さんをお持ちの世代が多く集まった今大会は、次世代のファンも育てていく車いすラグビー連盟の取り組みが功を奏し、世代を超えて楽しむ車いすラグビー観戦を作り出したのですね。
大阪のWAVESと対戦した2戦は、Hurricanesの組織力が光りました。パリ2024での金メダル獲得に欠かせないローポインターの若山選手や、元日本代表の仲里選手に加え、強化・育成選手である壁谷 知茂選手のアシストを受け、高校生ラガーマンの奥原 悠介選手にボールを集めて得点を重ねます。
「奥原選手の動きは本当に良くなってきました。昨年秋のSHIBUYA CUPに選出されてから一段と上手くなりましたね。」と、その成長に目を細めるのは澤井 裕継選手です。「日本選手権以降は内地の大学に通うため、今後の活動については未定なのです。」と、少し残念な表情で続けた澤井選手でしたが、最後の大会になるかもしれない日本選手権への切符を取るべく、奥原選手を援護する献身的なプレーを見せていました。
また、現役日本代表のハイポインター、池崎 大輔選手と島川 慎一選手を擁する東京のBRITZと対戦した2試合でも、最後まで連携とファイティングスピリットを保った我慢強いプレーを見せてくれました。
奥原 悠介選手を中心に、ローポインターの伊波 晋哉選手、河野 俊介選手との連携を保ち、現役日本代表のハイポインターに果敢に挑んでいきます。池崎選手のアジリティ高い個人技に対しては、壁谷選手から伊波選手、仲里選手と細かいパスを繋いでディフェンスが追いつかないパス回しで対抗して確実にトライを重ねて食い下がります。
点差が詰まり、池崎選手と島川選手が登場する “世界屈指のハイポインターライン” になると、試合展開速度が一気に上がります。しかし、若山選手が高い技術のチェアワークで池崎選手を1対1で抑え込んだり、クイックパス、ワンハンドパスなど多彩なボールハンドリングを見せたりと、BRITZが焦ってミスする場面をしばしば作り、会場からは大きな拍手とどよめきを巻き起こしてくれました。
「胸を借りるつもりで思いっきりプレーできました。マークでハイポインターが動けなくなる場面で、僕がハンドリングしてボールを繋ぐプレーは日本選手権でもあると思います。」と、試合後に話してくれた若山さん。
ボールを繋いだら直ぐに、今度はボールを受ける側に回るためにあっという間にコートの端から端まで走り抜ける若山選手は、ローポインターとは思えない俊敏な動き。「そういう動きができれば、BRITZのような強いハイポインターがいるチームにも何とか勝負できると思うんです。ハイローラインで僕がミスマッチを起こせれば、池崎選手を抑えながら得点に繋ぐことを想定した練習の成果は出せました。」と “新生・Hurricanes” に手応えを感じています。
ヘッドコーチにAXEの岸 幸太朗選手が就任した “新生・日本代表” についても、「(10/18から22にかけて開催された) ”2023 International Wheelchair Rugby Cup” でも、ハイポインターにマッチアップするプレーはやりました。新しい体制になって色々と試す中で、銅メダルといった結果を出すことができたのは良かったです。」と、1年を切ったパリ2024に向けての成果も教えてくれた若山選手。
「個々が実力を高めながら、チームとしての成熟度が上がればさらに金メダルに近づいていくのではないかと思っています。初の海外遠征にも関わらず、しっかり自分たちの役割を果たしてくれた若いローポインターも頼もしかったです。」と、初招請された “Fukuoka DANDELION” の草場 龍治選手のスピードと、安藤 夏輝選手のポジショニングに舌を巻く若山選手は、「僕たちベテランとのコミュニケーションによってリラックスしてやってくれたら嬉しいです。」と、自らが代表で培ったスキルをHurricanesはもちろん、他のチームの若手にも惜しみなく共有する若山選手のリーダーシップが日本を高いレベルに押し上げる源なんだと実感しました。
最強の補強で頂点へばく進! -BRITZ
圧倒的なアジリティとゲーム運びで4戦全勝を飾ったのは、東京のBRITZでした。
「メンバーが新たに加わり、6人だった昨シーズンと比べて様々なバリエーションのラインが組めるようになりました。その初実践となった今大会では色々な試行ができました。」と話すのは、東京2020の銅メダリスト・島川 慎一選手です。
「僕はAOC以降、体調を崩してしまって・・・ 10月に入ってようやく静養明けで2回しか練習ができませんでした。体力的なキツさは感じましたが、4試合こなした中でかなり感覚を戻すことができました。」と、絶好のポジショニングで世界のハイポインターたちを抑え込む日本代表・東京2020銅メダリストの長谷川 勇基選手も今大会の成果を話します。
新加入の目玉、“ミスター車いすラグビー” とも称される荻野 賢一選手について更に話しが及ぶと、「試合に復帰するのは5、6年ぶりだと思います。かつて日本選手権5連覇を達成したチームでプレーして以来でしたが、代表候補の練習に参加して体力や試合感覚がぐんぐん戻ってきていますね。」と、日本車いすラグビー界を牽引したレジェンドの現役復帰を喜ぶ島川選手。
長谷川選手、池崎選手、島川選手と組んだBRITZの新名物 “日本代表ライン” では、キーエリアの一角に陣取り、ゆっくりと間を詰めたり、スペースを空けたり狭めたりして相手を誘い込んでブロックする技術は流石と言ったところ。日本選手権の観戦でまた新しい見どころが増え、ますますBRITZのプレーが楽しみになってきました。
「どんなに点差が離れても、集中力が切れてしまってはダメ。ですから、ライン毎に課題を持ってそれをしっかりとやりきりました。」と島川選手が話したとおり。実力差のあるチームにも決して手を緩めないBRITZのプレーが観客を魅了します。
池崎選手、島川選手の日本代表ハイポインターラインに加わる山村 泰史選手は、ふたりから幾度となく供給される難しい球出しにも必死に対応。荻野選手と共に期待の新戦力が厳しい場面で想定されるコンビネーションを繰り返し実践していきます。
日本代表のいないラインでの出場が多い荒武 優仁選手も、田村 学選手、菅野 元揮選手との連携を統括する場面が多く見られ、そのラインのブラッシュアップに懸命に取り組みます。
その何れの組み合わせにも入り、攻守にわたる絶妙のポジショニングを見せた長谷川選手も休養明けとは思えない動きを見せてくれました。忍者のように神出鬼没な長谷川選手を探す “トレードマーク” だったカラフルなヘアスタイルが黒髪になっていたことも新鮮でした。「(休養明けでも動きが良いのは、)僕、センスあるんで(笑)。ヘアカラーは大会や合宿など、自分のスイッチを切り替えるときに友だちに染めてもらうんです。黒髪は2年ぶりくらいなので、レアキャラを観られましたね!」と、ユーモアたっぷりの長谷川選手を日本選手権で追いかけるのもBRITZ観戦の楽しみです。
2年目の躍進に高評価! -WAVES
「やろうとしていることが分かるチームになってきましたね。創部初年度の昨年から格段に進歩していました。」(BRITZ・島川選手)
「ハイポインターのフィジカルがとても良くて驚きました。大阪は周囲にチームがないので、実戦経験を積むのが難しい中で頑張っているなぁと。」(BRITZ・長谷川選手)
「2年目とは思えない動きになっていてびっくりしました。僕が2年目の頃はあんなに動けていなかったと思います。これからどんどん成長していくことを予感させる対戦でした。」(Hurricanes・若山選手)
現役の日本代表選手たちが口を揃えて高評価したチームは、大阪を本拠地とする “WAVES” です。昨年度の日本選手権プレーオフで初めて試合を取材したJournal-ONE編集部も、素人ながらに1年前のチームと全く違う動きに驚くほどでした。
「1日に2試合戦っても体力が落ちませんでした。河野選手を起点にした攻撃からもうひとつのバリエーションもできつつあり、少しずつ成長しています。」と話してくれたのは、山本 卓矢選手。東海旅客鉄道(JR東海)の社員だった山本選手は、24歳で自転車事故により頸髄を損傷して四肢麻痺を患い、車いすラグビーと出会って競技活動開始してからまだ2年余り! この秋(11月4-5日)には車いすラグビー連盟が招集する次世代合宿にも参加するほど頭角を現わしてきている選手です。
「近くにクラブチームがないので、どうしても個人練習を行いぶっつけ本番になってしまいます。ですから、今回はチームとして連携の声掛けを絶やさぬようにしようと話し合って臨みました。それはできたかなと思います。」と、急激な進化を見せたWAVESの今大会を振り返ります。
今年度からアスリート雇用となり、プレーに専念している様子が一回り太くなった腕周りにも見える山本選手は、「毎日トレーニングできる環境で、車いすラグビーをする筋力とスタミナが付いてきました。初めて選ばれた次世代合宿が楽しみ。一番へたくそなのはわかっているので、とにかく声を出して周りの上手な選手たちにたくさん質問して学びたいです。同じローポインターの岸ヘッドコーチからもいろいろなことを教わりたいです。」と飽くなきチャレンジへ目を輝かせます。
どの試合も終わってみれば大差での敗戦とはなりましたが、その試合を観ている観客からも大きな拍手が起こるプレーが随所に出るほど素晴らしい内容でした。
池崎選手、島崎選手、長谷川選手と対戦した場面では、吉本 勇太選手を起点にローポインターの川口 健太郎選手、浜野 健二選手を介して攻守の要・河野 悟選手へボールを繋ぐコンビネーションでトライを決めると、会場からは大きな声援。
昨年はひとりでボールを運ぶシーンが目立ち、その進路を防がれてターンオーバーを許してきた河野選手も、裏から抜け出して小林 和史選手からのロングパスを受けてトライ。
キーエリアでは、山本選手と副山 大輝選手の “ローポインターの壁” を活かして隙間から侵入してパストライを奪うなど、随所に見どころある展開を見せてくれました。
「今シーズンからグループ(大阪本社)が支援しているので、応援に来ました。初めて観る車いすラグビーのスピードと迫力にびっくりしました。」と、車いすラグビー初観戦の感想を教えてくれたのは、株式会社フロンティアゆい 代表取締役社長小原鑑善さんです。
「BRITZ戦は力の差がとてもありましたが、Hurricanes戦は健闘してくれました。これからもWAVESの試合を観に行って応援していきたいです。」と、WAVESを支える皆さんもその成長に期待を寄せていました。
コートで後輩たちと過ごす至福の時 -荻野 賢一選手(BRITZ)
「公式戦は6、7年ぶりですかね。全日本のコーチ、監督時代は、ラグ車に乗って選手たちの練習相手になることはありましたけども。」と、4試合を終えて充実感溢れた表情で話すのは荻野 晃一選手です。
アテネ大会・北京大会・ロンドン大会と3度パラリンピックに出場、現役引退後は日本代表アシスタントコーチに就任し、2014年から代表監督となり2016年のリオデジャネイロ大会で初のメダル獲得に貢献した荻野選手は、“ミスター車いすラグビー” と呼ばれるレジェンドなのです!!
選手としてBRITZでプレーすることについては、「BRITZは、日本代表選手、強化指定選手が多く在籍しています。その中で、どういった試合運びをするのが良いのか、どういうタイミングでメンバーチェンジしていくのか、どのタイミングでどういったサインプレーができるか。時間管理を含めてそういったシーンで貢献できれば。」と、レジェンドDNAの継承で日本車いすラグビー界に貢献できればと話す荻野選手。
ご自身のプレーについては、「1分か2分程度、出場するのがやっとでした。もう代えてくれって(笑)。でも、メンバーが面白がって試合に出し続けるんですよ。」と笑いますが、動いていないという割には、攻守の切り替えやポジショニングのタイミングには意図が見え、一緒に戦う選手たちともスムーズに連携が取れています。
マッチアップした現役日本代表の若山選手の、「お会いするのも久しぶりで、一緒にプレーできて嬉しかったです。日本代表の車いすラグビーファミリーとして歴史やスキルを繋いでいく。僕が入りたての頃は、ローポインターの若手を本当に引っ張ってくれていたし、今は僕たちが小川(仁士選手・BRITZ)たちを引っ張っていく。荻野さんは持ち点1点を支えてきた選手です。今でこそ1点の選手は多くいますが当時は先駆けとしてひとりで頑張っていた。一緒のフィールドに立てたことが嬉しくて思わず微笑んでしまいました。」というコメントを紹介すると、「スタッフ側から強化合宿などで見ている立場でしたが、実際にこうやって現役の選手たちと一緒にプレーができて率直に嬉しかったです。実際にやってみると、フィジカルやスタミナはもちろんなのですが、やはり技術面が本当に高くて改めて驚きました。」と、後輩たちの成長に目を細める荻野選手。
「若山選手を筆頭に、ローポインターの主力選手たちが後輩の面倒を見てくれていることを本当に嬉しく思います。コミュニケーションはもちろんですが、奥原選手などの有望な若手をのびのびとプレーさせながら自分たちがしっかりと動いてサポートしています。」と、若山選手の頼もしさに感心したとのこと。
「通常、WAVES戦のようにあれだけ点差が離れてしまったら、リードしているチームも集中力が切れてくるのですが、きちっと課題を設定してそれに向かって高いモチベーションを高めているところが頼もしいなと。」と、やはりスタッフ目線で観てしまうと笑います。
日本の車いすラグビーの選手たちは、仲良くしながら後進を育てていく気質が私たちでも見て取れます。これが、荻野選手たち先輩が培ってきた伝統なのかと聞くと、「ノーサイドの精神は、普通のラグビーと変わらないと思います。一人はみんなのために、みんなは一人のために(One for all, All for one.)の精神もラグビーとは変わりません。車いすラグビーを観たラガーマンたちも同じようだと言ってくれていました。」と、荻野選手が教えてくれました。
「今大会は久しぶりに沖縄で開催され、観客も盛り上がってくれました。私も関係者のひとりとして、車いすラグビーを盛り上げていきたいですね。DNAの継承や、過去の経験や得た知識を広く伝えることで、選手たちの成長を助けられたら良いなと。でも、技術面は私が何か指導するレベルではありません。どちらかと言えば、精神的に支えていければなと。」と、車いすラグビー界全体を俯瞰した話しに及ぶと、「WAVESも着々とチームとして成長していると思いました。コートの外から見ても分かってはいましたが、実際に対戦してみると “よく声が出ているなぁ” “こういったプレーができるようになったんだなぁ” など、コートに入って気付くこともたくさんありました。基礎的な技術も向上しています。大阪には近くに対戦する相手がいないのでゲーム感やチームプレーを向上させるのは大変だと思いますが、頑張って欲しいですね。」と、更なる日本車いすラグビー界の発展に欠かせないWAVESの活躍も願う荻野選手。
「次世代合宿と言う名で、有望な選手たちを集めて磨きをかける取り組みもしています。そこにWaveも2名参加することになりました。同じローポインターの山本選手が初めて参加しますので、先ほど少し話しをしたんですよ。」と、選手以外の活動もしていた荻野選手は、「山本選手は車いすラグビーに取り組む姿勢が素晴らしく。性格も明るい。持ち点1.0に限りなく近い0.5点の選手ですから動きも良い。将来、長谷川選手と切磋琢磨をする存在になってくれるのではないでしょうか。」と期待を寄せていました。
さぁ!車いすラグビーをその目で!
第25回日本選手権予選 沖縄大会は、1位:BRITZ、2位:Okinawa Hurricanes、3位:WAVESという結果となり、来年の1月12日から14日にかけて千葉市の千葉ポートアリーナで開催される第25回日本選手権への出場チームが6チーム決定しました。
今回3位のWAVESも11月25日、26日に行われる “プレーオフ” に移り、日本選手権への出場を再び目指すことになります。
パラリンピック・パリ大会で日本代表 “悲願の金メダル獲得” をより楽しく応援するため、国内クラブチームの熱い戦いを観戦してみては如何でしょうか?