これで流れが変わるかと思われましたが、横浜Eの攻撃は止まらない。15分に左サイドライン付近のモールで勢いをつけると、18分に連続アタックからLOのLiakimatagi Moli(リアキマタギ ・モリ)選手が飛び込んでトライ。12-7と直ぐにリードを奪います。
直後のキックオフリターンから、クリエル選手の突破と田村選手のキックで着実に敵陣深くに攻め入る横浜Eに、東京SGは堪らずコラプシング(スクラム故意に崩す)。この機に乗じ、ラインアウトから素早くモールでプレッシャーをかけた横浜Eは、右サイドラインから飛び込んできた松井選手がまたしても抜け出してトライ。さらにGも決まり、19-7と引き離しにかかります。
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ゲームキャプテンとしてチームを引っ張る田村優(横浜E)-Journal-ONE撮影
反撃したい東京SGは25分に、敵陣15m手前のラインアウトを得ましたがノックオンでチャンスを逸すると、スクラムからFBのW杯日本代表・小倉 順平選手にボールを託します。華麗なステップと快足を活かし、スタジアムの大歓声を背に東京SGのディフェンスを掻い潜りって70mを独走した小倉選手。このビックプレーとGで26-7、東京SGのモメンタムを削りにかかります。
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70m独走でトライを決めた小倉順平(横浜E)-Journal-ONE撮影
しかし、東京SGも負けてはいません。35分に、敵陣5mのラインアウトからアタックする東京SGは、横浜E必死のディフェンスに空いたわずかな隙間に飛び込む。こちらもW杯日本代表のPR(プロップ)垣永 真之介選手がトライを返し、Gも決まって26-14と点差を戻して前半を終えました。
やるべきことをやりきる
後半2分、モメンタムを渡さない横浜Eが早速追加点。CTBのクリエル選手が中盤の接戦から抜け出すとサイドに大きく展開。これをWTBの松井選手が受けてこの日3本目のトライをあげた横浜Eが、この試合最大・19点差をつけて33-14と再び大きくリードします。
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松井千士(横浜E)は後半早々に3本目のトライを決める-Journal-ONE撮影
横浜Eの早いタックルに苦しむ東京SGでしたが、「あと40分しかないので、もう一回やるべきことをやろう」と、ハーフタイムで堀越主将の檄を受けて闘志を燃やします。
何度倒されてもフォローが入ってボールをつなぐ東京SGは、5分にPRの小林 賢太選手が大きな身体で横浜Eディフェンスをなぎ倒してトライ。Gも決まって33-21と激しい点取り合戦が続きます。
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東京SGは小林の豪快なトライで猛追開始-Journal-ONE撮影
さらに11分、敵ゴール前5mのスクラムからは、後半に投入されたTamati Ioane(タマティ・イオアネ)選手がトライした東京SG。高本選手のGも決まり、ついに33-28とワントライワンゴール差まで詰め寄りました。
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東京SGはフォワードの活躍で2トライ-Journal-ONE撮影
ラスト5分に壮絶なドラマが
強い風が吹き始める中、風上に立つ東京SGはキックで陣地を稼いで、横浜Eディフェンスにプレッシャーをかけていきます。25分頃から猛攻を重ねる東京SGは、フォワード陣がスクラム、モールで敵陣深くアタックを続けます。南アフリカ・Cheslin Kolbe(チェスリン ・コルビ)選手、日本・松島選手の “W杯代表組・夢のバックス陣” の個人技、高本選手のキックパスと多彩な攻撃で横浜Eディフェンスを揺さぶると、ついに35分、再びイオアネがトライして土壇場で33-33の同点に追いつきました。
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南アフリカ代表のチェスリン・コルビ(東京SG)は厳しいマークにも存在感を見せた-Journal-ONE撮影
両軍選手を使い果たして死力を尽す中、「負ける試合では無かったし、延長をする体力も無かった」と田村選手が話したとおり、敵陣22m付近で横浜Eが選択したのは “残り時間内での勝ち越しトライ”。