密集からボールを回して左に展開したい横浜E。このパスのロストに反応したのは、東京SGの江見 翔太選手でした!「みんなが繋いでくれた」と振り返った江見選手は、ボールを拾うやいなやロケットスタートで相手陣内へ一気に走り込みます。60mの独走トライはこの試合初めて東京SGがリードを奪った瞬間。こり日選手のGが決まり40-33となった瞬間、試合終了のホーンが鳴る秩父宮ラグビー場。
ビックブレーの余韻か?勝利への歓喜か?スタジアムの様々な感情が大きな歓声となって渦巻く中、両軍の選手、家族、スタッフは充実した表情で互いの健闘をたたえ合います。プレーヤーズマッチに輝いた堀越主将は、拭えきれないあふれる涙で記念のキャップを受け取っていました。
悔しさの中にも手応え -横浜E
「最後は “ドリフ” みたいな終わり方をしてしまったが・・・結果、負けたのはすべて自分の責任。自分たちのスタイルを信じて逆転を取りに行った結果だから仕方が無い」と、最後のシーンを振り返った沢木 敬介監督。昨年の同一カードでの勝利監督コメントからさらに成長したチームへの期待あふれるコメントが続きます。
「イーグルスは何事もチャレンジしていかないといけないチーム。サントリー、東芝のように常勝チームではない。ここを勝ち切るためにはパッションにプラスワンが必要」とさらなる高みを目指します。「若い選手は、プロフェッショナルとしての覚悟を持って、休みでもルーティンをやりにグラウンドに来る田村を見習うことで、ラグビー人生も長くなる」と選手たちに更なる奮起を期待していました。
「初めて褒められた(笑)」と笑いを誘った田村選手も、「“価値ある負け” などないのですが、この2試合についてはそれが当てはまるかと思う」とチームに大きな経験をもたらしたプレーオフを振り返ります。「ゲームキャプテンをやらせてもらったが、この1週間は何も変えずに臨んだ。いつも通りやっていることで、選手が何か感じてくれたなら嬉しい。」と、チームの成長を願い会見場を後にしました。
伝統引き継ぐ未来へのラグビー -東京SG
「(準決勝の)東芝戦と戦略は同じだったが、中盤の規律がうまくいかなくて自陣で過ごす時間が多くなってしまった」と試合を省みた堀越主将でしたが、マン・オブ・ザ・マッチに選ばれたことについては、「この試合はフォワードでトライをしたいと思っていた。スクラムトライを二つ取れたのは嬉しかった」と、笑顔で振り返ります。
「マルチフェーズを重ねる戦略は変わらない。セミファイナルのタフな敗戦からショートタームで、実質2回しか練習できなかったが、今シーズンやってきたことをプライド持ってやりきった結果が19点差の逆転に繋がった」と田中 澄憲監督も選手たちの奮闘に目を細めます。
「江見のトライは奇跡だね(笑)同期の(中村)亮土が前のプレーでお膳立てしたからかな?」とビックプレーを振り返りつつ、「未来に続くゲームができた。山本(敦輝)選手の様な新しい選手も出てきた。こうやって伝統を引き継いでいくんだな。去年と比べ、勝つという気持ちは強かった」と、すべての選手が体現した伝統のサントリーラグビーに未来への手応えを感じていました。
「昨シーズンと比べ、リーグのレベルが格段に上がった」と話すのは、W杯日本代表として活躍した中村 亮土選手です。
W杯初戦の大舞台(vs チリ戦)でボーナスポイント獲得に貢献するトライをあげた中村選手。自身の成長とリーグレベルの上昇を比較すると、「(W杯と同様、)下位の相手でもどうなるか分からないリーグになってきた。今はトップ4でも、何かの拍子で最下位に転落することもあり得る。先ずは今シーズンのケアをしっかりして、さらにレベルアップしていきたいです」と、激闘の疲れも見せず、笑顔で抱負を語ってくれました。