ただ、やはりW杯やシックスネーションズといった国際大会でお馴染みの “歌” “掛け声” がないところは、我々ファンの課題ではないだろうか。
イングランド戦であれば、当然のように「Swing Low〜Sweet Chariot♫」が聞こえてきたり、アイルランドやフランス戦でもスタジアム全体に歌声が響きわたるが、日本にはまだそこまでの “観戦文化” が浸透していないことが残念。それを打開しようとスクリーンで主催者が呼び掛けるが、スクリーン通りの決まった応援しか出てこない現状に少し寂しさも感じられた。
点差が開き、勝負か決していた後半だったが、WTB(ウィング)のJone Naikabula(ジョネ・ナイカブラ)選手(東芝BL)が後半14分に突破からあと数メートルでトライまで迫るなど、ワンチャンスをトライに繋げようと果敢に攻め込む日本代表。
後半20分、25分と立て続けに二人がピッチに入ると、スタンドはこの日一番の盛り上りを見せた。
すると、ようやくこの時間帯でCTB(センター)の根塚 洸雅(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)選手がトライを決めてモメンタムを取り戻すと、29分にもWarner Dearns(ワーナー・ディアンズ)選手(東芝BL)が身長を活かしてインターセプトすると、中央を突破して最後は山沢選手へ繋いでトライ!
後半で一矢報いた新生・日本代表だったが、17-52で今夏のチャレンジカップ初戦を勝利で飾ることはできなかった。
エディ、新生ジャパンの船出を振り返る
試合後の会見に臨んだエディHCは、W杯までの4年間サイクルの中のまだ10日目という長期ビジョンを示し、「全ては次のW杯で結果を残すための過程だ」と振り返る。
日本、イングランド共に、最初15分における日本のパフォーマンスを評価しているコメントも出たとおり、「新しく目指す超速ラグビーの取り組み、努力は申し分なく、イングランドにも通用するところを示せた」と成果をあげるエディHC。
ただし、「もっとスキルのキャパシティー(フィジカル、メンタル共に)を上げていかなくてはならない。試合毎に伸びていくし、練習あるのみ」と悔しさを滲ませる場面も見られた。
キャップの少ない選手、プロ経験がない大学生選手も才能やスキルを見抜いて抜擢したエディHCは、「竹内、為房、森山のモチベーションを上げ、成長を促していく」と実名を挙げて鼓舞した。
他のプレイヤーも自分の可能性に気付き、期待感を持たせることで、各ポジションにおける選手層を厚くしたい狙いがあるのかと感じた。実際、エディHCは「今はまだ選手層が薄い、2027までに各ポジション3名が必要となる」と話す。
まだまだ続く海外勢とのマッチ!
初戦を終え、チームの課題と強豪国との差が明確になった新生・日本代表。
勝負所で決めきる決定力と集中力の養成、ワンチャンスをものにし、簡単なミスで相手にモメンタムを渡さない。これからの新生・日本代表の成長を楽しみにラグビーW杯2027まで応援していきたい。
若い経験の少ないチームだが、リーグワンで世界のトッププレイヤーと対峙し、吸収したスキルを自信に存分に海外勢へ本来の力をぶつけて欲しいと切に願い、国立競技場を後にした。