アスリートが地元掛川を紹介! 「掛川城をバックに戦国武将の気分を味わう」遠州掛川鎧屋

アスリートが地元掛川を紹介!

柔道の創設者・嘉納治五郎師範の墓前祭で祈る上村春樹第5代講道館館長-Journal-ONE撮影
TwitterFacebookLinePinterestLinkedIn

Click here to read English article.

コロナ禍を乗り越え、徐々に日常が戻ってきたゴールデンウイーク。

待ちわびた大切な人との出会い、思い出に残る旅など、多くの人たちが笑顔で行き来する姿が徐々に戻ってきました。非日常を求めて海外旅行に行く人たちで賑わう国際線の搭乗口を報道するニュースを見るのも久しぶりです。

誰でも気軽に海外に渡航できる現代から遡ることおよそ90年前の5月4日、日本の平和のため海路で世界中を渡り歩いていた1人の偉人が死去した日であることを知っていましたか?

その人の名は、柔道の創始者であり、オリンピック参加を契機にスポーツを日本に根付かせた “日本体育の父” でもある嘉納治五郎師範です。柔道の創始者・嘉納治五郎師範の銅像と発祥の地・講道館の看板-Journal-ONE撮影

世界を股にかけた “柔道の父”

1882年(明治15年)の講道館設立から僅か7年後の1889年(明治22年)には、ヨーロッパ諸国を巡って柔道の普及活動をされていた嘉納師範。

1912年(明治45年)、日本が初参加したストックホルム オリンピックに日本選手団長として参加した嘉納師範は、日本でのオリンピック開催を実現させるため、1936年(昭和11年)東洋初の国際オリンピック委員会(IOC)委員として、第12回オリンピック大会の開催地を決める投票地・ベルリンへ渡航しました。

近代オリンピックはすべての国や民族に解放されるべきであり、アジアでオリンピックを行なうことは新たな平和への一歩になるはずと訴えた嘉納師範に共感したIOC委員たちの票により、東京オリンピックの開催が決定しました。

1938年(昭和13年)、エジプトのカイロから「日本国民に東京オリンピックの開催が決定したことを報告します。スポーツでの戦いを通して、お互いを尊敬し、信頼する心が世界中に広がれば、きっと平和な世界をつくることができるだろう。」とラジオ放送で日本国民に報告をした嘉納師範。

その後、各国のIOC委員を訪問し、カナダのバンクーバーから帰国するために乗船した氷川丸の船中にて肺炎によりこの世を去りました。享年77。

当時、77歳という年齢にもかかわらず海路で世界中を奔走し、世界平和のために柔道を始めとするスポーツをすることの大切さを説き続けたそのバイタリティは、講道館・上村春樹館長へのインタビューで見せていただいた絶筆からも感じ取ることが出来ます。

嘉納師範が眠る墓所

嘉納師範の墓所があるのは、千葉県松戸市にある東京都立八柱霊園。小高い丘とその谷間につくられた公園墓地である八柱霊園は、105ヘクタール(約1万平方キロメートル)東京ドーム約20個分の面積に相当する広大な霊園です。

その一角に、石造りの鳥居と石碑に囲まれ、石を積み重ねてドーム状にしたようなお墓があります。これこそが嘉納師範が眠る場所なのです。柔道の創設者・嘉納治五郎師範の墓前祭-Journal-ONE撮影

柔道の創設者・嘉納治五郎師範の墓前祭-Journal-ONE撮影

八柱霊園のある千葉県松戸市は、1867年(慶応3年)に第15代将軍・徳川慶喜の名代として日本使節団を率いて渡仏し、第2回パリ万国博覧会に日本を初参加させた徳川昭武公の別邸・戸定邸(国重要文化財)が現存する地でもあります。

それぞれ困難な時代に海外へ赴き、現代日本の国際化を切り拓いた2人の偉人が時を経て重なり合う不思議なご縁も感じる場所ですね。

毎年、墓前祭には多くの柔道関係者が訪れます。今年の墓前祭が行われた5月2日、上村春樹・講道館第5代館長を始めとする30人近くの皆さんが参加した墓前祭を取材!

嘉納師範が広めた柔道が、多くの柔道家たちによって世界中で親しまれている理由が垣間見える取材となりました。

柔道家にとって大切な日

綺麗に整えられた緑豊かな植木、色鮮やかな献花、抜けるような青空のコントラストが特別な日を演出する中、上村館長が玉串を置いて静かに祈りを捧げると、参加者が次々と後に続きます。柔道の創設者・嘉納治五郎師範の墓前祭で祈る上村春樹第5代講道館館長-Journal-ONE撮影

「ここ嘉納師範の墓所は、柔道家にとってとても神聖な場所です。そして、命日の5月4日は柔道家にとってとても重要な日です。今日、墓前祭に参加できなかった柔道家たちも時間を見付けては師範の下を訪れます。柔道の日本選手団は、オリンピックや世界選手権に出場する際、嘉納師範にお参りして健闘を誓います。」と、上村館長が話してくれました。

この後、5月7日からカタールのドーハで開催される世界柔道選手権に向かう上村館長。「どんなに忙しくても、この墓前祭には参加します。コロナ前は年10回ほど海外へ行っていましたが、現在は2ヶ月に1回くらいの頻度なのでまだ楽ですよ(笑)。」柔道の創設者・嘉納治五郎師範の墓前祭で山本四郎九段と談笑する上村春樹第5代講道館館長-Journal-ONE撮影

2ヶ月に1度の海外渡航でも十分大変だと思いますが・・・ 本当に柔道家の皆さんのバイタリティには驚かされます。世界の柔道を正しく普及振興し、後世に正しく柔道を伝えていくという嘉納師範の思いは、弟子たちに確りと引き継がれているのですね。

「始めて嘉納治五郎師範のお墓に来ました。とても感動的な出来事です。」と話してくれたのは、フランスから来た柔道家のRaymond-Yves Cairaschi(レイモン・イヴ・カレシ)さん。

TwitterFacebookLinePinterestLinkedIn