「僕は韓国には仕事で行ったことがあるのですが、日本に着たのは初めてです。」と話すのは、#1 Cydney Sanders(シドニー・サンダース)選手のお父さん。聞けば、お父さんはMLB(Major League)の下部組織であるMinor League(マイナーリーグ)でプレーし、1999年に韓国リーグHaitai TigersでプレーしていたTracy Sanders(トレーシー・サンダース)さん!引退後は、アメリカユースチームのコーチとしても国際的に活躍しているお父さんは、「娘の試合を見ながら日本の様々な場所に行きました。横浜スタジアムを始めとする素晴らしい日本の球場で試合をさせてもらい、世界を知る機会をいただけたことは、娘にとってとても良いことです。」と、娘の活躍に目を細めます。
「私たちも、日本に来るのは初めてです。日本はどこも本当に素晴らしい。みんなが親切だしとっても好きになりました。」と話すのは、#16 Jordan Woolery(ジョーダン・ウーラリー)選手のお父さん。「本当に娘を誇りに思います。こういった素晴らしい機会を得ることができて、本当に私たちも嬉しく思います。」と、お母さんも娘の活躍を心から喜んでいました。
先発は “世界の後藤”
親善試合的な要素の強いこの大会ですが、1勝1敗のタイで迎えた第3戦を負けるわけにはいかない!と、日本代表は第2戦に続いて先発に後藤 希有投手を送り込んで必勝を期します。
その後藤投手は期待に応え、1回、2回とアメリカ代表の打者6人に対して4奪三振を含むパーフェクトに抑え込みます。横浜スタジアムに詰めかけた、日本代表の選手たちと同じJapanの真っ赤なユニフォームを着るファンの皆さんから大きな歓声が湧き上がります!遡ること2年前の7月27日、ここ横浜スタジアムにて無観客で行われた東京2020・女子ソフトボールの決勝戦がオーバーラップするようなシーンに、コロナ禍を克服してスポーツ観戦を楽しむ日常が戻ってきた幸せを実感します。
対するアメリカ代表も、二刀流・#72 Valerie CAGLE(ヴァレリー・ケイグル)投手が初先発。第1戦では、藤田 倭投手(ビックカメラ高崎ビークイーン)との “二刀流対決” でお互いにホームランを打ち合ったケイグル投手も、日本代表打線を無失点に抑える立ち上がりで投手戦の様相を呈しています。
“経験豊富な日本の頭脳” が均衡を破る
国際大会の大一番で勝ちきるためには、ここ一番で試合の流れを掴むかが重要となりますが、その役割を果たしたのは世界を知り尽くした日本の頭脳のバットでした。
2回裏、この回先頭の5番・川畑 瞳選手(デンソーブライトペガサス)は二ゴロに倒れますが、続く6番・中溝 優生選手(太陽誘電ソルフィーユ)が四球を選んでチャンスを作ると、7番・中川 彩音選手(SGホールディングス ギャラクシースターズ)が進塁打を放ってツーアウトながら2塁に先制の走者を進めます。
ここで打席に入るのは、試合前に話しを聞いた石川選手と同じく、苛酷な世界転戦の最終戦に先発マスクを被る我妻 悠香選手(ビックカメラ高崎ビークイーン)です。
東京2020では日本代表の正捕手として金メダル獲得に大きな貢献を果たした “日本の頭脳” は、配球を読んだここ一番での勝負強い打撃も魅力な選手。その我妻選手は、ケイグル投手の速球を芸術的な押っ付けでミートすると、打球はセカンドの横を鋭く抜けて右中間フェンスまで達する先制のタイムリーツーベース!
JDリーグでは、コーチ兼任として後輩を育てながらビックカメラ高崎でプレーをしている我妻選手。ここ一番で発揮するこの勝負強さは、やはり我妻選手です!
息詰まる投手戦を演出するエースの登板
東京2020以降、世界の誰もが認める “日本のエース” 後藤投手。3回には、おばあちゃんとお母さんが声援を送る、ジェイダ・カーニー選手が挑みます。第1戦でタイムリーヒットを放つなどシュアな打撃を見せたカーニー選手でしたが、後藤投手のチェンジアップを振らされて三振。続く、我妻選手と同様にパワーと勝負強さを持つ#9 Kinzie Hansen(キンジー・ハンセン)選手も三振、続く#23 Viviana Martinezも二ゴロに倒れ、完璧な後藤投手を打ち崩せません。
これ以上の失点は避けたいアメリカ代表は、3回裏、二巡目となった1番の原田 のどか選手(トヨタレッドテリアーズ)に三遊間を破るレフト前ヒットが出たところで、エースの #24 Nijaree Candady(ナイジャリー[ナイシャ]・キャナディー)投手をマウンドに送ります。二刀流・ケイグル投手がレフトに回り、はレフトへ。
二死二塁となったところで、打席には東京2020金メダリストのひとり、内藤 実穂選手(ビックカメラ高崎ビークイーン)が入ります。追加点ピンチに得意の速球で三振に切って取ったナイシャ投手は渾身のガッツポーズ!これ以上点を与えるわけにはいかない場面でエースが踏ん張ります。