礼が終わると選手の花道にはサインを求めるファンが鈴なり! 子供たちがたくさん並んで待つ姿に、一二三選手も次の試合が始まるギリギリまでサインに応じていました。
五輪代表の ”瞬殺劇場” は圧巻! -女子48kg
パリ五輪内定選手でこの日最も圧倒的な存在感を見せてくれたのは、女子48kg級の角田 夏実選手(SBC湘南美容クリニック)でした。
世界選手権3連覇! 9月のアジア大会中国・杭州でも金メダルと素晴らしい活躍を見せてくれている角田選手。この日も2回戦から登場すると、韓国のHEO Song-rim(ホ・ソンリン)選手に2分19秒と粘られます。様子を見ながら戦っているように見えた角田選手は、ここで一気に相手を倒してからホ選手の右腕をじわじわと引き抜きにかかります。右腕が伸びきった瞬間、ホ選手から参ったが出ての試合終了に、会場も一瞬静まり返るほどのあっという間の出来事。初めて関節技(腕挫十字固)で決まる試合を観たJournal-ONE編集部も一瞬何が起きたか分からず、角田選手が淡々とした表情で選手花道へ戻っていく姿を呆然と見送ることしかできません。
しかし、まだまだ角田選手圧巻の “瞬殺劇場” が続きます! 準々決勝のモンゴル・BAVUUDORJ Baasankhuu(バフードルジ・バーサンフー)選手、準決勝のスウェーデン・BABULFATH Tara(タラ・バブルファス)選手を1分に満たない試合時間内に腕挫十字固で退けます。
決勝ではスペインのFIGUEROA Julia(フリア・フィゲロア)選手に対し、今度はわずか25秒の腕挫十字固! こうなると相手選手も片腕で袖を持ちに行くことすらできません。密着したら最後、仰向け、うつ伏せ、立っている状態でも巧みに腕を引き寄せていく角田選手の腕挫十字固に、最後は観客からも「おぉ~。」と感嘆の声が上がりました。
残るパリ五輪内定選手の斉藤 立選手(国士館大)も、超大型の海外選手が集う最重量の100kg超級の中でも負けない体格を誇ります。
試合開始早々から勢いよく相手に向かっていく斉藤選手の俊敏性は、他の重量級選手を圧倒しています。国士館大学応援団の「よいしょ!」という掛け声とともに相手が一回転。体落で一本とすると、会場全体からも「うぉー」という歓声と大きな拍手が湧き起こります。順当に準決勝へ駒を進めた斉藤選手でしたが、こちらも韓国の若きエース・18歳のKIM Ming-gyu(キム ミンギュ)選手に払腰から袈裟固の合せ技で敗れてしまった斉藤選手。この試合で右太もも裏を痛めて3位決定戦も欠場することとなりました。
パリ五輪への決戦へ! -1回戦
五輪内定選手たちの活躍を楽しみにしていたファンも多いですが、パリ五輪最後の椅子をかけた “男女4階級” の試合全てが行われた大会2日目。この結末を目にしようと観戦に訪れたファンも多かったことは、選手たちに向けられた歓声の大きさからも推し測ることができます。上村館長が選手たちに贈った「悔いなく自分の力を出し切って」の言葉通りに運命の扉を開いた選手は果たして誰なのか!?
柔道の国際大会を初めて観る際、複数の試合場で男女、階級が入れ替わり、少しずつトーナメントが進んでいく様子に驚くこと間違いありません。ここからは、東京体育館で実際に目にした時間を追って起こる様々なドラマを順番にレポートしていくことで、その臨場感も合わせて楽しんでもらえれば嬉しいです。
最初に登場したのは講道館杯優勝の山口 葵良梨(きらり)選手。女子63kg級に登場した国士館大4年生の山口選手は、インドのTOKAS Himanshi(トカス・ヒマンシ)選手に抑込一本と幸先の良い勝利を飾りました。
続いては注目の男子60kg級! 大会序盤から登場したのは、東京2020金メダリストの髙藤 直寿選手(パーク24)です。朝9時少し過ぎという早い時間にもかかわらず、多くのファンから「髙藤頑張れ!」の声援が飛びます。この階級の代表争いの注目度の高さがうかがえる会場の熱気の中、フランスのVALADIER PICARD Romain(ホマン・ヴァラディエ=ピカール)選手との1回戦に臨んだ髙藤選手。慎重な試合運びから消極的な姿勢で指導2つを受けて、ゴールデンスコアまでもつれ込みましたが、隅返で技ありを奪った髙藤選手が無事に初戦を突破しました。
間髪を入れず、男子100kg級でも東京2020金メダリストが登場し、更に会場からの歓声が大きくなります。ウルフ アロン選手(パーク24)の1回戦は、ジョージアの選手と重量級らしいどっしりした組手で戦われましたが、重量級とは思えない随所に見せる鋭い技の掛け合いに、会場からはどよめきが起こります。指導1つリードしたウルフ選手は終始積極的に攻めると、試合終了間際に支釣込足で一本! 会場からは大きな拍手が起こりました。