W杯メンバーをその目で -ワイルドナイツ
ラグビーW杯日本代表が11名在籍する、スター軍団のワイルドナイツ(次に多いサンゴリアスは7名)。そのタレント豊かな選手たちは、昨シーズンのリーグ戦を予想通り首位で通過したものの、プレーオフ決勝で “クボタスピアーズ船橋・東京ベイ” に15-17と大激闘を演じて準優勝となりました。今シーズン捲土重来を期すワイルドナイツは、開幕ゲームの大勝に続く連勝を狙います。
中でも注目は、日本選手歴代最多タイのラグビーW杯4大会連続出場の堀江 翔太選手です! リーグワン初代MVPに輝くなど、日本ラグビー界を牽引してきた堀江選手は、開幕戦を前にした12月6日に会見を開き、今シーズン限りで現役を引退することを表明しました。
地元・大阪で “生・堀江” が観られる残り少ない機会となったこの日、たくさんの “堀江うちわ” を手に振るファンや、大阪府立島本高校時代の師・天野 寛之さんら所縁の人たちが応援する中、ひとり黙々とフィールドの芝を確認するかのように走る普段通りの準備をする堀江選手。“ラスボス” のプレーに注目です。
ライナーズ必死のディフェンスに日本代表軍団が苦戦 -前半
いよいよ聖地・花園でのキックオフが迫ります。フィールド中央に空中静止した自衛隊中部方面航空隊の多用途ヘリコプター(UH1J)から試合球が投下されるセレモニーで試合開始が近くなってくると、スタジアムのファンから大きな歓声が起こります。
澄み渡る青空と、バックススタンド後ろの生駒山系のなだらかな山々が映える絶好のラグビー日和ですが、昨日からぐっと気温が下がり、強く冷たい風が吹く中でいよいよキックオフとなりました。
キックオフ直後から攻め込むワイルドナイツは前半5分、ゴールポスト目の前のモールから、アタックをかけてトライを狙います。しかし、地元開幕戦を勝利で飾りたいライナーズが必死の防戦! 日本代表の束になってかかるアタックをしっかりと抑えます。10を越える激しいフェーズでアタックするワイルドナイツに一歩も退かないライナーズディフェンスに会場からは大きな拍手が送られます。
すると7分、中央付近でボールを持ったSH(スクラムハーフ)の小山 大輝選手が左サイドラインギリギリで待つFL(フランカー)の布巻 峻介選手にロングパスを出してトライ!
ラグビーW杯2023メンバー外の2選手の創造的なプレーでワイルドナイツがようやく先制トライを挙げて5-0とました。
左サイトライン付近からの難しいキックに挑むのは、ラグビーW杯2023で20本中19本のキックを成功させ、世界から賞賛を浴びたSO(スタンドオフ)の松田 力也選手です!
お馴染みとなったニュールーティンの “ゴジラポーズ” が早速、目の前で観られるメインスタンドのファンから大きな歓声が飛びました。
幸先良く先制したワイルドナイツでしたが、前半光ったのはライナーズのディフェンス対応力でした。ボールは繋がるワイルドナイツでしたが、性格で素早いタックルを重ねるライナーズのプレッシャーに何度もノックオンを犯してしまいます。WTB(ウィング)の竹山 晃輝選手から、ラグビーW杯2023オーストラリア代表のCTB(センター)マリカ・コロインベテ選手へのパスもなかなか繋ぐことができません。
すると18分、ライナーズは敵ゴール前5mまで攻め込んでのラインアウト。一気に同点トライのチャンスを作りますが、今度はワイルドナイツの強力なモールがライナーズをサイドラインへ押し出してゴールラインを越えさせません。
ハーフライン付近での攻防が続いた25分、今度はワイルナイツが敵ゴール前10m付近かのラインアウトでチャンスを作ります。再びアタックを重ねて前に進みたいワイルドナイツでしたが、ライナーズの好タックルがまたも炸裂! ラックからボールを出せずにノットリリースザボールで攻撃の芽を摘まれます。
続く29分には、ハーフライン付近のバックスタンド前でライナーズボールのスクラム。バックスタンドから湧き起こる「ゴーゴー近鉄!」コールを背に勢いよくスクラムを組むライナーズに堪らずワイルドナイツがコラプシング(スクラムを故意に崩す反則)でチャンスを得たライナーズ。この日2度目のトライチャンスとなる敵ゴール前5m のラインアウトを獲得します。
LO(ロック)のパトリック・タファ選手、PR(プロップ)のラタ・タンギマナ選手の超大型フォワードでアタックするライナーズは、徐々にポスト前にボールを運びます。モールから出たボールを、オーストラリア代表110キャップを誇るSHのウィル・ゲニア選手がCTBのステイリン パトリック選手に芸術的なスキップパス!
トライ!と思われた瞬間、ラグビーW杯2023日本代表のCTB・ディアン・ライリー選手の鋭いタックルに思わずボールを落としてノックオン。TMO(ビデオ判定)で惜しくもトライキャンセルとなりました。
ライナーズのボール支配率が高まる中、前半終了間近の34分、オーバーザトップ(地面に倒れ込んで相手がボールに対してプレーできない状態にする反則)で攻撃権を奪ったワイルドナイツが反撃に転じます。スクラムでのコラプシングでボールを得るとキックを選択。これを松田選手が決めて8-0とワイルドナイツが差を広げたところで前半が終了。