統率されたライナーズのディフェンス陣が、数多くの日本代表を擁するワイルドナイツの波状攻撃を凌ぐ。そこから生まれた少ない好機でライナーズがトライを狙うが、ワイルドナイツのディフェンスが寸前でしっかりと押し返す。後半も健闘を期待する地元ファンたちから大きなの拍手を受け、ライナーズの選手たちが颯爽とフィールドを後にしました。
日本代表が地力を発揮する -後半戦
後半開始早々のコンタクトで、ライナーズの攻守を支えていたタンギマナ選手が負傷退場となり、早くも激しく試合が動き始めます。
後半2分、新ルールの50:22(フィフティ・トゥエンティトゥ)で陣地を一気に獲得したワイルドナイツ。敵ゴール前10m程のラインアウトから、ボールをつなぐとFB(フルバック)のラグビーW杯2023日本代表・長田 智希選手がトライ! 松田選手のゴールも決まって15-0と突き放しにかかるワイルドナイツ。
一方のライナーズも、身長2m超えの大型LO・サナイラ・ワクァ選手にパスを集めてフィジカルでの突破を試みるもワイルドナイツのディフェンスに阻まれます。
すると、後半5分、ワイルドナイツは右サイドに大きくパスを展開する攻撃を見せ、最後はWTBの竹山選手がサイドラインギリギリに飛び込んでトライ。多彩な攻撃パターンで20-0とライナーズを突き放しにかかります。
後半9分、ライナーズのFL・長谷川 峻太選手が脳震盪で倒れて時計が止まる中、ワイルドナイツはメンバー交代で遂にこの人をフィールドに送り込みました! 大きな声援で送り出された堀江選手です。
立て続けに突破を許したライナーズですが、まだまだモメンタムは衰えません。後半12分、自陣ゴール前10mのラインアウトからモールで押し込まれる苦しい展開でしたが、このモールを押し返すと、ワイルドナイツの反則誘ってピンチを脱します。
再び中央付近での陣地の取り合いとなった両チームは、パントキックを随所に使いボールを動かし合うと、後半16分にその浮いたボールに反応したのは、ワイルドナイツのLO・リアム・ウィリアム選手。そして、そこから繋いだボールを最後に取ったのはラグビーW杯2023日本代表PRのヴァル アサエリ愛選手でした!
「ボールを受けてからはとにかく前を見て一生懸命走りました。」と話してくれたアサエリ選手は、大きな体を揺さぶる全力疾走で30mを独走してトライ! ラグビーW杯の4試合全てに出場し、スクラムはもちろん、攻守にわたり屈強な選手たちと至近距離でのコンタクトで活躍したアサエリ選手の珍しい “独走トライ” にスタンドからは万雷の拍手が送られます。
試合の外では5人のお子さんの可愛らしい様子をInstagramに投稿する優しいパパのアサエリ選手。試合後にトライの感想を聞くと、その優しい笑顔で「疲れましたね。」と答えてくれました。
この日はメインスタンドからバックスタンドに向かって強い風が吹くコンディション。サイドライン近くからの難しい角度のキックには、ラグビーW杯2023でキック率95%を誇った松田選手も苦労していました。
しかしそこは流石の松田選手! 風を読んでのキックはポールが大きく左に流れて最後はポールに当たりますが、見事に成功。28-0と更に点差を広げました。
更に後半22分、敵ゴール前10mからのスクラムで魅せてくれたのは、これもラグビーW杯2023日本代表の堀江選手でした! スクラムでゴールライン付近まで押し込むワイルドナイツの強力フォワード陣は、崩れたスクラムから堀江選手がボールを自ら掴んでの今シーズン初トライ! 32-0とリードを広げました。
後半30分、中央付近のモールからボールをだしたのはまたもワイルドナイツ。堀江選手の突破で右サイドを突き抜けていきます。一旦はライナーズのディフェンスに阻まれるも、今度はそこから大きく左にボールを展開し、フリーになったラグビーW杯2023日本代表のCTB・ディラン・ライリー選手に渡ってトライ。
後半33分、何としても点を取りたいライナーズのオフェンスを、自陣15m付近で抑えたワイルドナイツは、一気にディフェンスの間を駆け抜けて途中出場のWTBヴィンス・アノ選手がトライ。
この試合2度目の50:22で陣地を稼いでからの後半35分には、堀江選手が花園での最後のラインアウトスローワーとしての役割を果たすと、またもや左に大きくボールを展開してCTBのライリー選手が2つめのトライ! 後半はラグビーW杯2023日本代表選手たちの凱旋プレーが続出したワイルドナイツが、49-0とライナーズを完封して連勝となりました。
開幕連勝に笑顔 -ワイルナイツ
会見場に少し遅れてやって来たロビー・ディーンHC(ヘッドコーチ)。
「全てが詰まっていた試合でした。前半はライナーズの素晴らしいパフォーマンスで苦戦を強いられました。後半は、けがであったり、ポジションの変化、通常では行っていないところで選手がプレーしないといけなくなったりと凄くチャレンジングなプレーがありました。そこにすごくうまく選手たちが対応し、選手たち自身で解決してくれました。」と、笑顔で振り返ります。