サクラセブンズが登場したのはお昼を少し過ぎた第8試合目、カザフスタンとの初戦となりました。
2016年のリオ五輪出場の頃は僅差の試合もあったカザフスタン戦ですが、現在は圧倒的に日本の実力が上回っており、キックオフボールから絶え間なく攻め続けた日本代表がこの試合も圧倒しました。
須田 倫代選手(追手門学院ビーナス)の好キックで、カザフスタンがボールを取るやサクラセブンズが強襲します(7人制ラグビーはトライを取ったチームがキックオフボールを蹴る)。東京2020でオリンピックを経験した堤 ほの花選手(日本体育大)が3トライを決めてハットトリックを達成するなど、14分間に7トライを奪う圧倒的な試合運びで43-0と快勝しました。
続く2戦目のタイ戦は、約3時間後の夕方5時近く。体力を回復させるには短く、集中力を保つには長過ぎる試合間隔に心配していましたが、サクラセブンズは全く問題なし!
前半2分に梶木選手がギャップを抜けて先制トライを挙げると、続く前半5分にはスクラムでターンオーバーしてボールをつなぎ、吉野選手が快足を飛ばしてトライ。15人制ラグビーでは各チーム8人の選手が3列になってスクラムを形成するのですが、7人制ラグビーでは、各チーム3人のフォワードのみが1列に並んで相対します。
オフェンス側のスクラムハーフによってボールをスクラムの中央に投げ入れるのは同じですが、両チームは足を使ってボールを後方にかき込んで奪い取ろうとします。7人制ラグビーの特長のひとつである、スクラムでのターンオーバーで一気に得点となるダイナミックな試合展開に、応援するファンからも大きな歓声が上がりました。
14-0で折り返した後半は、須田 倫代選手(追手門学院大)やキャプテンの平野選手などが好タックルでチームを鼓舞。すると後半4分に、水谷 咲良選手(東京山九フェニックス)のラインアウトスチールから “新幹線娘” 堤 ほの花選手(東京山九フェニックス)のトライにつなげます。ハイタックルで1人少ない状態になり、得点がのびなかったものの19-0と2試合連続の完封勝利で快勝し、翌日の準決勝に駒を進めました。
いよいよ頂点へ
大会2日目、1位で予選プールDを通過したサクラセブンズの対戦相手は香港。午前中の早い時間帯での試合となり、選手のコンディションが気になるところです。
開始早々、香港にトライを許し今大会初失点を喫したサクラセブンズでしたが、前半7分以降は終始日本のペース。決勝を見据えて主力を温存した日本が後半押し込まれる場面もありましたが、その後のトライを許さず8トライを挙げて33-5と快勝しました。
いよいよパリ五輪のきっぷまであと1勝! アジア大会で惜敗した中国とのリベンジマッチは夕方の4時過ぎに運命のキックオフとなりました。
前半1分、右サイドを突破されて先制トライを許したサクラセブンズでしたが、前半3分に自陣ゴール前10m付近のパス展開から抜け出した大谷選手が70m近くを独走してトライ! すぐに同点に追いつきます。
更に前半6分、敵陣22mライン手前でパスを受けた大谷選手が、またもや中国のディフェンスラインを切り裂いて独走のトライで逆転! 会場のファンから大きな歓声が沸き起こりました。
14-7とリードして折り返した後半3分、自陣から連続攻撃で陣地を進めたサクラセブンズは、大谷選手が出したロングパスがキャプテンの平野選手の左をすり抜けてしまいます。しかし、慌てずにこのボールを拾った平野選手が驚異の瞬発力で中国ディフェンスの間隙を突いてトライ! 21-7とリードを広げました。
しかし、アジア大会覇者の中国もこのままでは終わらない! 後半5分にトライを返して21-14の7点差とすると、最後の最後まで同点のトライを狙って激しいチャージを見せます。
しかし、この攻撃を守り切ったサクラセブンズ。最後はマイボールを須田選手が左サイドラインに大きく蹴り出して試合終了! 3大会連続のオリンピック出場を決めました。
試合後、鈴木 貴士ヘッドコーチは、「この緊張感とプレッシャーのある雰囲気の中で選手たちが最後まで戦ってくれたことを嬉しく思います。」と、選手たちに最大の賛辞を送ります。
「ここでようやくスタートに立てたなという気持ちでいますので、またパリオリンピックに向けて強化をしていきたいと思います。このあとすぐにワールドシリーズが始まりますので、そこに向けた準備と、チーム全員でオリンピックに向けてスタートしたいと思います。」と、パリ五輪に向けてのリスタートを誓ってくれました。
キャプテンの平野選手も、「しっかりと勝って日本のファンの前でオリンピック出場を決めることができた。ほっとしている。」と無事にパリ五輪のきっぷを獲得した心境を語ります。勝因については、「後半のきつくなってきた時間帯でも、相手より動き続ける自信がありました。そこでチームとして繋がり続けることができました。」と振り返ってくれました。