国の全人口は10万人強(2021年)のトンガですが、世界ランキングは15位と日本(12位)と肉薄するレベル。W杯フランス大会の出場権をかけたアジア・パシフィック プレーオフ(7月23日・オーストラリア)では、香港代表に44-22と圧勝して8大会連続9回目のW杯出場を決めたばかり。
更には、先日の国際試合では、クボタスピアーズ船橋・東京ベイのSO(スタンドオフ)Bernard Foley(バーナード・フォーリー)選手などが出場したオーストラリアAチームにも勝ち、勢いがあるチームです。
大きな話題となった、2022年の新たなルール適用も追い風となったトンガ。「選手はプレーする国代表チームを一度だけ変更可能」というルールが加わったことにより、オールブラックスやオーストラリア代表経験選手が更なるチームの底上げに貢献しています。
今回の日本代表戦にも、オールブラックスに選ばれたことのある #6 FL(フランカー)のVaea Fifita(ヴァエア・フィフィタ)選手、#15 FB(フルバック)のSalesi Piutau(サレシ・ピウタウ)選手、元オーストラリア代表の #8 No8のLopeti Timani(ロペティ・ティマニ)選手など、決して油断できないチームメンバーとなっているのです。
日本代表でも、中島イシレリ選手、ヴァルアサエリ愛選手、ヘルウヴェ選手、アマナキ・レレィ・マフィ選手など、お馴染みのトンガ出身選手も多いですよね。
ちびっ子ラガーマンもW杯気分!
試合開始1時間ほど前になり、フィールドに選手たちがやって来ました。随分小さな選手たちですねよ!
最初は緊張していた選手たちも、身体が温まるにつれて楽しそうな笑顔が見られます。元気なかけ声も出てきましたね。一生懸命にプレーするちびっ子ラガーマンたち、この中から将来のブレイブ ブロッサムズのメンバーが生まれるかもしれません。
ラグビーワールドカップ2019のレガシーとして、多くの子どもたちがラグビーをする姿を見ることが多くなりました。自分たちのプレーが世界で戦う選手たちと繋がっていることを感じることができる。こういった素敵なイベントを企画することによって、さらにラグビーをしてみたいと思う子どもたちが増えるかもしれませんね。
聖地・花園のフィールドに親子でラグビーを楽しむ微笑ましい光景は、CMのワンカットにも登場しそうな絵になるシーンです。ラグビー教室で子どもたちとふれ合っていた、金髪の選手と何やら話し込んでいます。
あっ!あれは、ラグビーワールドカップに3大会連続で選出され、日本代表キャップ75を誇るNECグリーンロケッツ東葛の田中 史朗選手と、息子さんだったんですね!話しているのは、同じグリーンロケッツ東葛のレメキロマノラヴァ選手です。日本代表候補として宮崎合宿に参加しているレメキ選手の激励に訪れた田中選手。お子さんとの素敵なツーショット撮影にも気軽に応じてくれました。
勝利へのプレッシャーとの戦い-前半戦
試合前、トンガ代表の “シビタウ” と呼ばれるWar Cry(ウォークライ)の披露に会場は湧き上がります。秩父宮、札幌と取材をしてきた中、21,138人の花園ファンの盛り上がりはひときわ大きいように感じます!これが、ラグビーの聖地・花園の雰囲気なのでしょうね。
この大声援を背にキックオフしたのは、先週の札幌でキック成功率100%と神プレーを見せてくれた#10 SOの李 承信選手です!ところが、勝利へのプレッシャーなのかまさかのキックミス・・・ 弱々しく上がったボールは5m程前の敵が誰も届かない場所へ落ちる珍しいプレーとなり、会場がどよめきます。
これにより、中央でのトンガボールのスクラムから試合が再開されると、左右に激しいアタックを仕掛けるトンガ代表。しかし、日本代表は2人以上選手がタックルに向かう丁寧なディフェンスを見せて進撃を許しません。波乱の幕開けかと思われた序盤も、徐々に落ち着いた試合展開になってきました。
6分には敵陣ゴール前10m程にまで攻め込んだ日本代表ですが、オフサイドでボールを失うと、ラインアウトからアタックを仕掛け、#11 WTB(ウイング)のカイレン・タウモエフォラウ(Kyren Taumoefolau)選手のキック&ランで一気に自陣ゴール手前5mまで攻め込まれます。
ここでスクラムとなりますが、日本代表がコラプシング(故意にスクラムを崩す反則)で再度自陣ゴール手前でのラインアウト。絶体絶命のピンチでしたが、これを凌いで22mラインまで押し返す日本代表ですが、再びトンガ代表の分厚いアタックに攻め込まれます。続けざまのピンチを迎えるも、強烈なタックルでボールを奪った日本代表!ようやく敵陣10m付近まで押し戻し一息つくと、この攻防にファンからは大きな拍手が巻き起こりました。