攻めあぐねる日本代表は、27分にペナルティで得たボールに選択したのはショット。今日の試合、ことごとくキックを外していた日本代表ですが、ポスト正面のPGを松田選手が難なく決めて21-16と5点差(トライでも同点)まで引き離します。
29分に4人の選手を入れ替え、逆転を狙うトンガ代表でしたが、キックパスを日本代表がナイスブロック!更に攻め込むトンガの大型フォワードにも当たり負けしていません。ベチッ!ドカッ!という音と共に、トンガ代表のアタック陣がその場に倒れます。一番苦しい時間帯の懸命なディフェンスに会場からは大きな拍手と歓声が巻き起こります。
35分を過ぎて、敵陣15mという絶好の位置でスクラムを獲得した日本代表。トライを目指してアタックを仕掛けますが、またもやパスキャッチをハンブルしたボールをトンガ代表が素早く奪取して、一気に日本人内深くまで戻しての反撃が始まります。
スタンド中央に陣取るトンガ応援団が歌を歌って選手たちを鼓舞する中、38分に抜け出したのは日本でした。#11 マレシワ選手から#13 ライリー選手へトライへのラストパス!かと思われた瞬間・・・ トンガ代表がインターセプト!そのままサイドラインを独走されて絶体絶命のピンチを迎えます!この独走に猛烈なスピードで駆け込んだ日本代表の選手が渾身のタックル!逆転負けのピンチを救ったのは、#23 FBで途中出場していた松島 幸太朗選手でした!!
土壇場の絶体絶命のピンチを含め、数々のトンガ代表の激しいプレッシャーを防ぎきった日本代表。ラストワンプレーとなったラインアウトでしっかりとボールを保持し、最後は松田選手が外に蹴り出して試合終了!無事に今夏初勝利を果たしました。
トンガ代表のコメント
トウタイ ケフ(Toutai Kefu)ヘッドコーチは現役時代、オーストラリア代表・ワラビーズのスター選手(60キャップ)で、日本でもクボタスピアーズ船橋・東京ベイの選手・HCとして活躍した日本を良く知るHC。
「非常にエンターテイナー性の高い試合だった。観ていた人は楽しかったのではないでしょうか?負けてはしまいましたが、トンガ代表の状態は徐々に上がってきています。」と、今日の試合を振り返りました。
先週のサモア代表も恩恵を受けた新ルール(ある国で代表歴のある選手が、最後の試合出場から3年以上経過し、変更を希望する国で生まれているか両親・祖父母が希望する国で生まれているなどの一定条件をクリアすれば、プレーする国代表チームを一度だけ変更できる。)により、元ニュージーランド代表や元オーストラリア代表が集結してきているチームの仕上がりを聞かれると、「まだ60%~70%といったところです。特にフロントラインが6~7人欠けているので、彼らが戻ってくればまた良くなってきます。」と、まだまだギアを上げていく道程だと教えてくれました。
日本を良く知るケフHCに、日本代表の印象について聞かれると、「個人的にですが・・・」と前置きしつつ「3~4年前の方が強かった。ジェイミーもトニーも良いコーチですので、チーム強化はしっかりしていると思います。しかし、日本が世界に与えたインパクト、2019年のW杯から比べると・・・ まだハードワーク中だと聞いているので、これから良くなるのではないでしょうか。今までトンガは、対日本戦ですと50点差くらいで負けていました。その点差とまではいきませんでしたが、とにかく日本は勝てて良かったのではないでしょうか。」と、日本代表へのエールを送ります。
「新ルールは私たちにポジティブな変化を与えてきました。世界的に最も恩恵を受けた国のひとつです。でも(チームを成熟させるには)もっと時間が欲しい。もっと選手たちの振る舞いやプレーに代表らしさが出てくるような時間が欲しいですね。」と、本番までにチームが一体となるために必要な時間こそがトンガ代表躍進のファクトであると話してくれました。
今日の試合で、代表50キャップを達成したキャプテンのソナタネ・タクルア選手も、「今日は非常にポジティブに試合できた。日本のディフェンスが前に来ていたので、自陣でプレーする機会が多かったが全体的に良いプレーができた。」と振り返りました。
日本代表のコメント
先ずは今夏初勝利を果たしたジェイミー・ジョセフ(Jamie JOSEPH)ヘッドコーチは、「試合開始の入りが良かった。ディフェンス強化にフォーカスして取り組んだ効果が出て、トンガのフィジカルを小さい選手が絶えず止め続けたことは賞賛に値する。」とホッとした表情で試合を振り返ります。
「結果(勝利)を追いかけ過ぎるとプレッシャーになってしまいます。今はW杯の準備プロセスと思っている。オールブラックスXVの様な質の高いチームと試合を行って合宿の成果を測りつつ、サモアで更に進化を見せる予定だったが、リーチ(マイケル選手)のレッドで機能できなかった。自信をなくしてしまうところだったが、あの松島のタックルで勝てて良かった。」と、一連の国内での強化試合も振り返りつつ決して悲観するような状態では無いことを伝えます。