[大垣ミナモ編] 女子ソフト・JDリーグ後半戦開幕!からの続き
16チームが一斉に後半戦をスタート‼
劇的な勝利で湧き上がった夜からまだ半日。続く2戦目は昼からのデーゲームとなった ”大垣ミナモ”。女子ソフトボールの国内トップリーグ “JDリーグ” が、約2ヶ月ぶりに再開となったこの日(9月2日)は、東西地区全16チームが一斉に試合を行いました。
北は福島県、オリンピック・東京大会(以下、東京2020)で金メダルを獲得した女子ソフトボール日本代表が開幕戦を戦った福島県営あずま球場から、南は長崎県諫早市のスポーツパークいさはや第1野球場まで。加えて中部地域の愛知県豊田市・豊田市運動公園野球場とここ岐阜県大垣市の大垣市北公園球場の4会場では、東京2020の日本代表、アメリカ代表、オーストラリア代表、メキシコ代表、そしてイタリア代表と世界屈指のプレーヤーを含む、女子ソフトボールトップ選手たちが明るく、スピーディーで激しいプレーを見せてくれました。
一足早い開幕戦で勝利したミナモは、続けて東地区の強豪 “ホンダ リベルタ” との一戦に臨みます。
昨晩の熱投にも涼しい顔のタフネス右腕
昨日の開幕戦、日立サンディーバ戦で129球の熱投で完投勝利を挙げたミナモのEllen ROBERTS(エレン・ロバーツ)投手。開幕戦のプレッシャーを勝利で解消したエレン投手を始め、球場入りした選手たちの表情はリラックスした良い雰囲気です。
「昨日は投げていて楽しかった。幸先の良いスタートを切れたのが何よりです。応援もたくさん来てくれて励みになった。」と、笑顔で昨日を振り返るエレン投手。流石に今日はノースローだと思いましたが、「今日も投げる準備はしておきます。(昨日完投の)疲れはありませんよ!」と涼しい顔で応えてくれました。
この日の先発は、中山 日菜子投手。前半戦はエレン投手に次ぐ登板数と投球回数を誇る左のエース・中山投手ですが、今シーズンは勝ち星に恵まれず未だ勝利がありません。昨日の勢いと地元の声援を力に、何とか初勝利を挙げたいところです。
しかし今日の対戦相手、栃木県真岡市を本拠地とするホンダ リベルタも11勝7敗で東地区2位に付けている強敵。昨シーズン、プレーオフまで進出したチームを支えるのは、東京2020の銀メダリスト・アメリカ代表のAlly CARDA(アリー・カーダ)投手と、Jailyn FORD(ジェイリン・フォード)投手の左右二枚看板と、日米対抗ソフトボール2023でも4番を務めた、塚本 蛍選手を中心とした強力打線です。
中でも、この日先発のフォード投手は今シーズン絶好調!前半戦だけで既に7勝(1敗)を挙げ、防御率は1.47とリベルタの日本一奪取に欠かせない存在。1試合に2点取ることが難しい好投手をどう攻略し、本塁打数8本の塚本選手を筆頭に、チーム本塁打22本を誇る超強力打線をどう抑えるか?ミナモの門松 浩孝監督新監督がポイントとしている、「長打を警戒した徹底した低めのコントロール」が中山投手初勝利への絶対条件となります。
1勝のアドバンテージが前半を優位に
ミナモの中山投手、初回に早速のピンチを迎えます。
リベルタ先頭の大川 茉由選手にライト前へ運ばれると、続く2番・下村 歩実選手が確実にバントを決めてきます。しかし、この犠打が中山投手と奪取してきた須藤 麻里子三塁手のちょうど間を抜ける絶妙の打球となり、無死1,2塁と厳しい展開を迎えます。
しかし、3番の吉田 彩夏選手がバントした打球を、バントシフトでチャージしてきた内田 小百合一塁手がダイレクトで捕球するや否や、180度振り返って一塁へ矢のような送球!しっかりベースカバーに入っていた近本 和加子二塁手に送られてダブルプレー。2死2塁とピンチは続きますが、迎えた4番・塚本選手をインサイド攻めで二ゴロに打ち取りピンチを凌ぎます。
良い流れで攻撃に移るミナモは、前半戦2戦2敗とミナモを得意としているフォード選手からどう得点するかが見物でしたが、1死から2番・近本選手が1-2と追い込まれながらも右方向を意識した打球をセンターに放ちます。この打球がぐんぐん伸び、センターの頭を越える先制ホームラン!勢いに乗るミナモが好投手の出鼻をくじき、試合の流れをぐっと引き寄せました。
2回の中山投手は、またもや先頭の5番・大工谷 真波選手にセンター前ヒットを打たれてしまいますが、続く木村 愛選手、長谷川 優理選手を連続三振に切って取るなど無失点で切り抜けます。
「実戦練習を重ね、チームとして打線の繋がりを強化してきた。」と、サマーブレイクの成果を話していた門松監督の言うとおり、簡単に2死を取られた後のミナモが進化を見せます。
長井 美侑選手がレフト前にヒットを放ち、2死1塁と簡単に終わらない攻撃を見せると、続く山口 涼香選手が右中間のフェンスを直撃するタイムリーツーベース!リードを2点に広げます。2死2塁の場面となり、続く宮田 遼香選手が選択した攻撃はセーフティバント。惜しくも三ゴロとなりましたが、2死からのチャンスを活かす打線としての一貫性を見せるミナモに流れがグッと引き寄せられていきます。
ここまで先頭打者を続けて出していた中山投手は、棚町 佳奈選手、大川選手を打ち取って簡単に2死としますが、下村選手にレフト前へヒットを打たれて強力な中軸打線と相対します。この場面で1点返したいリベルタは下村選手が盗塁!成功したかに見えましたが、離塁アウトの判定で3者凡退。クリンアップの前に走者を出さずに序盤を投げ終えました。
尻上がりに調子を上げてきたフォード投手は、1死から先ほどホームランを打たれた近本選手にヒットを打たれますが、後続をぴしゃりと抑えて味方の反撃を待つも、流れに乗った中山投手も無失点の投球を続けます。
強打が劣勢を打破!試合が動く後半
両チーム単打は出るものの決め手を欠けて迎えた5回表、劣勢を一気に押し返したのはやはりリベルタの長打でした。
この回先頭の木村選手が、今までリベルタの打者たちが抑え込まれていたインコースに食い込む速球を上手く捉えます。打球はライトポール際へ大きく上がり右越えのソロホームラン!この一発で一気に試合が動き始めました。長谷川選手のセンター前ヒットを渡邉選手が送って1死2塁と同点のチャンスを得たリベルタでしたが、何とか食い止めたミナモの中山投手。
1点差となり勢いを取り戻したフォード投手は、ミナモ打線を3者凡退に切って取り、流れがリベルタに傾きかけたところでミナモが動きます。「中山投手を前半戦から打ち込んでいる下村選手に対し、終盤でのワンポイントを決めていた。」と試合後に門松監督が語ったとおり、データから採用した戦術は、高卒ルーキー・三堀 茉莉愛投手のワンポイントリリーフでした!
前半戦3イニングの登板しかない三堀選手を、昨日の殊勲者のひとりである同じ高卒ルーキー・岩月 優衣選手と共に抜擢しますが、下村選手に四球を与えてリエントリーで中山投手がマウンドに登ります。吉田選手に送りバントを決められ1死2塁とピンチを迎えますが、4番の塚本選手を二飛とこの試合完全に抑え込み、今日ヒットを放っている大工谷選手に挑みます。
カウント3-0・・・一塁は空いていますが、続く打者はホームランを打っている木村選手。ここでミナモバッテリーは歩かせずに勝負!インコース2つでストライクを取り、フルカウントまで戻します。勝負球に選んだのは一転してチェンジアップでしたが、その裏を読み切った大工谷選手がレフト前にジャストミートしてタイムリーヒット!ついにリベルタが同点に追いつきました。
更に先ほどホームランを打たれた木村選手に四球を与えたところで、またもミナモベンチが動きます。この6回から投球練習を始めていたエレン投手がコールされると、スタジアムにどよめきが起こります。昨夜129球を投げきったエレン投手は連勝を託されてマウンドに登ると、長谷川を中飛に抑えて見事な火消し!ミナモ応援団から万雷の拍手が湧き起こります。
するとその裏、エレンの力投と応援団の歓声に応えたいミナモ打線は、2死から再びフォード選手に襲いかかります。5番・伊藤 梨里花選手が粘りに粘って四球で出塁!既に100球を超えたフォード投手は、気力で続く西野 希美選手に対峙します。
「ツーアウトでしたが、前の打者の伊藤選手が調子が良かったので必ず回ってくると思い準備していました、この大垣ラウンドに向け私たちは2ヶ月間練習を続けてきたので、何が何でも勝とうと振り抜きました。」と、試合後に話した西野選手は初球のストレートを一閃!弾き返した逆方向の飛球は、レフト線へぐんぐん伸びてフェンス手前に落ちる長打。伊藤選手が一塁から一気にホームに帰って勝ち越しに成功しました!
最終回、引き続きマウンドに向かったエレン投手は。リベルタ打線を3者凡退に切って取って開幕2連勝。しかも、地区2位の強豪チームを撃破しての連勝に、ミナモ応援席の歓声と拍手が鳴り止みません。
激闘の2日間を振り返り
玉のような汗を拭いながら投手陣と勝利を噛みしめるエレン投手は、「みんなの力で連勝できて良かった。(連投の)疲れはありません。」と爽やかな笑顔で応えます。
「西野は思いきり良く、本当に良く打ってくれた。郡上キャンプでの成果として、やはり二死からの粘り。この攻撃パターンで得点できたことは大きな収穫です。」と門松監督も満面の笑みで選手たちの健闘を称えます。ヒロインインタビューに立った西野選手と盛り上がる選手たちに目を細める一方、「喜ぶにはまだ早い。明日は、ひとつ上(7位)の太陽誘電さんとの一戦が控えているので、もう一度気を引き締めて明日も総力戦で臨みます。」と静かに闘志を燃やす門松監督。
選手、コーチ、監督が一体となって勝ちパターンを築きつつある大垣ミナモ。後半戦のプレーオフ進出に向け、東地区の台風の目となるミナモの全員ソフトボールに今後も注目していきたいですね。
第10節の試合結果
[大垣ラウンド] ミナモ4-3日立、日立10-2太陽誘電、ミナモ3-2ホンダ、日立2-1ホンダ、太陽誘電5-0ミナモ
[福島ラウンド] ビックカメラ3-0戸田中央、デンソー4-3NEC、デンソー5-4ビックカメラ、戸田中央7-3NEC
[豊田ラウンド] トヨタ8-2SGH、タカギ9-7東海理化、SGH3-3タカギ、トヨタ5-1東海理化
[諫早ラウンド] 豊田織機9-5伊予銀行、シオノギ7-5日本精工、伊予銀行6-0日本精工、豊田織機12-0シオノギ
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