その後、松田メソッドで反撃すべく強いスイングと粘り強い選球眼、随所に見せるバントなどの小技で遠藤投手を揺さぶりますが、ヴェールズの外野陣の広い守備範囲に阻まれて得点をすることが出来ず、7安打を浴びせながら悔しい完封負けとなりました。
勝利まであと一歩に迫る中
続いては、愛知県大口町を本拠地とする東海理化チェリーブロッサムズとの一戦です。試合内容は悪くない中で勝ち星を落とした昨夜の嫌な流れを一掃したいところ。
この試合も、1番に入った谷本 奈々選手、2番の水戸川選手の連続ヒットと氏丸選手の四球で1死満塁。初回にいきなりのチャンスを作りますがホームベースが遠いレインボーストークス打線。しかし、選手たちは時に力強く、そして時にはカットで粘るなど多彩な攻撃を見せ3回にも1死一、二塁とチェリーブロッサムズのエース・永谷 真衣投手を攻め続けます。
先発の堀本 優良投手も、前日1失点完投した千葉投手と同様、ストライクを積極的に取りに行く強気の投球で 「速球派の堀本投手でしたが、緩急を上手く使われて中々攻略できなかった。」とチェリーブロッサムズの中西 あかね監督が語ったとおり、チェリーブロッサムズに付け入る隙を与えません。
すると4回、この状況を打破したのは経験豊富な選手の一発でした。この回先頭の6番・戸村 美紅選手が高めに甘く入った緩い球をしっかと押し込んでセンターオーバーのソロホームラン! このラウンド、11イニングス目にして初めて坊ちゃんスタジアムで得点を挙げました。
堀本投手、永谷投手の力投が光ったこの試合、状況を打破したのは5回の攻撃前にいつもより長めに円陣を組んだチェリーブロッサムズでした。先頭の主砲・吉田 奈々選手に四球を与えた堀本投手は、続く藤木選手にヒットを打たれて1死二、三塁とこの日初めてのピンチを迎えます。ここで迎えた前の打席で唯一のヒットを打たれている朝田 雅音選手に同点タイムリーを打たれたところで、吉井 朝香投手にスイッチ。無念の降板となりました。
チームを救った愛媛のご当地選手
3連敗は何としても阻止したいレインボーストークス。最後の相手はプレーオフ進出に向けて絶対に負けられない一つ上の3位、京都市を本拠地とする “SGホールディングス ギャラクシースターズ” です。
東京2020オーストラリア代表の主砲 Stacey PORTER(ステーシー・ポーター)選手、同イタリア代表の主砲で、MLB Home Run Derby Xにも呼ばれるほどの人気を誇るErika PIANCASTELL(エリカ・ピアンカステリ)選手を主軸とした一発のある打線は破壊力満点。この日先発のエース・吉井 朝香投手がギャラクシースターズをどう抑えるかが勝利のカギとなります。
投げ合うのは、こちらも東京2020のオリンピアン。今夏のソフトボールW杯予選ラウンドでも好投したKaia PARNABY(カーヤ・パーナビー)投手となかなかチャンスが作れない相手ですが、ご当地・松山市(北条)出身の吉井投手は、家族や友人などの多くの声援を受けて劣勢の予想を覆す投球を見せてくれました。
3番のポーター選手、4番のエリカ選手に対し、「ストライクゾーンを広く使って、コーナーに投げ分けることを注意しました。攻めた結果として死球を与えてしまいましたが、それでも決して甘いところには投げないと徹底しました。」と試合後に話した吉井投手。
初回に、3死球を与えて二死満塁のピンチを迎えますが、マウンドに向かった松田監督が「攻めた結果の四死球なのでOK。ただ、投げ急いでいましたので、少し間を取って勝負をするようにアドバイスしました。」と教えてくれたとおり、6番の山科 真里奈選手を打ち取ってピンチを脱します。
得点は取れなかったものの、決して調子が悪いわけではないレインボーストークスの打線は、若いカウントからは狙い球を絞って、追い込まれてからはカットしながらもしっかりと振り切ってというスタイルでカーヤ投手に立ち向かいます。長打や死球でこの日も再三、塁上に走者を送り込みますが、ここ一番で見せるカーヤ投手の世界で戦う気迫の投球にホームベースが遠く、5回まで点を取ることが出来ません。
ついに6回、1死から3つの四球で2死満塁とすると、松田監督は横野選手に代わって田島 茉依選手を起用。しびれる場面の代打ですが初球、2球目と積極的にバットを振る田島選手。0-2と追い込まれると、カーヤ投手が投じた3球勝負のライズボールを強振! 打球はカーヤ投手の足元を抜けるタイムリー内野安打となりました。必死に打球を抑えたショート・大國選手から二塁ベースカバーに入った森田 あさひ選手への懸命なトスも叶わず、その間に2人の走者が還って2点を先制しました。
結局、四死球6を出すものの被安打は僅かに2本と、打たせて取る投球で完封勝利! 3連敗を食い止めたご当地のエースは、「シンプルに最高です!1回、3回と死球でピンチを招いてしまいましたが、攻めた結果なので。」と、序盤のピンチを落ち着いて切り抜けたことを勝因に挙げました。