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柔道グランドスラム東京2023 | パリ五輪代表争いで注目の男子60kg級決勝で永山竜樹選手に敗れ菜の挨拶でハグする髙藤直人選手-Journal-ONE撮影
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グランドスラム東京2023前編から続く

レジェンドにも思い出深い大会 

オリンピック・パリ大会(以下、パリ五輪)前に日本で開催する最後の国際大会、”グランドスラム東京2023”(主催=国際柔道連盟:IJF)。”IJFワールド柔道ツアー” のひとつであるグランドスラムは、世界選手権、ワールドマスターズに次ぐ国際大会の位置付けとなる大きな大会です。柔道グランドスラム東京2023 | 5つの試合場が並ぶ壮観な東京体育館内-Journal-ONE撮影

中でも “グランドスラム東京” は日本で行われる唯一の国際大会であった “嘉納治五郎杯東京国際柔道大会” が前身の権威ある大会。今年も約90カ国から500人以上の柔道家たちが集まり、「自分たちが現役のころ “嘉納杯” と呼ばれたこの大会は、出場するだけで栄誉でした。いまでもこの大会の雰囲気は変わりませんね。」と、1984年のロサンゼルスオリンピック金メダリストの細川 伸二さん(全日本柔道連盟特別顧問、天理大名誉教授)がこの大会に臨む選手たちの心境を教えてくれました。柔道グランドスラム東京2023 | グランドスラム東京独特の雰囲気について話す1984年のロサンゼルスオリンピック金メダリストの細川 伸二さん(全日本柔道連盟特別顧問、天理大名誉教授)-Journal-ONE撮影

「特にオリンピックを前年に控えたグランドスラム東京は、緊張感が違います。」と、話すのは “柔道の聖地“ 講道館の第5代館長 上村 春樹さんです。

寬仁親王妃信子殿下をお迎えするため、貴賓席からまだ選手たちが登場していない開会前の試合場を見つめながら、「この試合に柔道の競技人生がかかっている選手がたくさんいます。今まで積み重ねてきたものを全て出し切れるよう、悔いの無い大会になることを願っています。」と優しい笑顔で選手たちにエールを送る上村館長。柔道グランドスラム東京2023 | グランドスラム東京独特の雰囲気について話し選手へのエールを贈るモントリオール五輪金メダリストの講道館第5代館長の上村春樹さん-Journal-ONE撮影

その優しい目の奥には、1976年のモントリオールオリンピックで、日本に体重無差別金メダルを初めてもたらした上村館長が、その2年後の第1回嘉納治五郎杯(今のグランドスラム東京)の決勝で、山下 泰裕さん(ロサンゼルスオリンピック金メダリスト、日本オリンピック委員会会長)の大内刈に敗れて、自身の勝負への執着心がなくなったことを実感し引退を決意した当時が映っていたのかも知れません。

五輪代表のスター兄妹に沸く! -男子66kg、女子52kg

大会2日目で最も注目と歓声を浴びたのは、この兄妹でした! オリンピック東京大会(以下、東京2020)で史上初の兄妹同時の金メダル獲得。その強さと明るいキャラクターで、日本屈指のヒーロー、ヒロインになった阿部 一二三選手と阿部 詩選手(共にパーク21)です。柔道グランドスラム東京2023 | 男子66kg級の東京2020金メダリスト 阿部一二三選手はゴールデンゼッケンを背負う-Journal-ONE撮影

東京2020の勢いそのままに、今年5月の世界選手権も制して日本代表史上最速で代表内定を決めた阿部 一二三選手と詩選手。パリ五輪前に日本国内行われる最後の国際大会に出場するということもあり、観戦チケットは完売となりました。柔道グランドスラム東京2023 | 女子52kg級の東京2020金メダリスト 阿部詩選手は史上最速で五輪代表内定を決めた-Journal-ONE撮影

初戦は不戦勝、この日初めての試合となった阿部 詩選手が登場したのはちょうどお昼となった時間でした。頬を数回叩きスイッチを入れた阿部選手が第2試合場に入ると、会場からは割れんばかりの拍手が起こります。待ちに待った試合開始に飛び出した詩選手は積極的に組手を取りに行きますが、ブラジルのPERIERA Jessica(ジェシカ・ペレイラ)選手も必死に防戦していきます。互いに効果的な組手とならない中、詩選手が一瞬で取った腕を引いて背負で攻めるとしゃがんで防御するペレイラ選手。それを待っていたかのように体重をかけで後ろに倒すと、そのまま抑込技で一本! 長かった待ち時間も関係なしの圧倒的な試合で詩選手が準々決勝へ勝ち進みました。柔道グランドスラム東京2023 | 女子52kg級の東京2020金メダリスト 阿部詩選手は五輪代表内定選手として圧巻の柔道で優勝を決めた-Journal-ONE撮影

阿部 詩選手は準々決勝もアラブ首長国連邦のBISHRELT Khorloodoi(ホルロードイ・ビシュレルト)選手を2分11秒で一本勝ち、続く準決勝もPRIMO Gefen(ゲフェン・プリモ)選手を技ありからの抑込技で一本とすると、決勝はさらに圧巻でした!柔道グランドスラム東京2023 | 女子52kg級の東京2020金メダリスト 阿部詩選手は五輪代表内定選手として圧巻の柔道で優勝を決めた-Journal-ONE撮影

フランスの長身・GNETO Astride(グネト・アストライド)選手との決勝では、試合開始早々に袖釣込腰、内股と積極的に仕掛ける阿部 詩選手。すると59秒、アストライド選手が仕掛けてきた瞬間を見逃さず見事な小内刈で一本! 余裕の笑顔で握手を交わすと帰る選手花道でサイン攻め。試合時間より長くサインしてファンの声援に応えていました。柔道グランドスラム東京2023 | 女子52kg級の東京2020金メダリスト 阿部詩選手は五輪代表内定選手として圧巻の柔道で優勝を決めた-Journal-ONE撮影

男子66kg級、兄の阿部 一二三選手もまさに向かう所敵なしの勝ち上がりでした。2回戦を大外刈で韓国のKIM Chann-yong(キム・チャンヨン)選手を開始2分で退けると、3回戦は開始26秒の背負投、準々決勝の開始38秒の合せ技一本と、圧巻の勝ち上がりを見せます。柔道グランドスラム東京2023 | 男子66kg級の東京2020金メダリスト 阿部一二三選手は五輪代表内定選手として圧巻の一本を連発して堂々の優勝-Journal-ONE撮影

準決勝ではモンゴルのBATTOGTOKH Erkhembayar(バットグトフ・エルヘムバヤル)選手の早い好守の切り替えに決定打を出せない阿部 一二三選手でしたが、試合終了直前に大外刈の技ありを奪って決勝へ進みます。柔道グランドスラム東京2023 | 男子66kg級の東京2020金メダリスト 阿部一二三選手は五輪代表内定選手として圧巻の一本を連発して堂々の優勝-Journal-ONE撮影

決勝もモンゴル勢のYONDONPERENLEI Baskhuu(ヨンドンペレンレイ・バスフー)選手との対戦となった阿部 一二三選手は、距離を取って戦う相手に良い体勢が組めない状況となりました。しかし1分10秒、一瞬で懐に入った一二三選手がそのまま腰から突っ込んで大外刈! 見事な一本で優勝を決めました。柔道グランドスラム東京2023 | 男子66kg級の東京2020金メダリスト 阿部一二三選手は五輪代表内定選手として圧巻の一本を連発して堂々の優勝-Journal-ONE撮影

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