W杯イヤーの最終節 -Xmas節
2023年9月9日から10月29日にかけ、フランスを舞台に世界中が熱狂したラグビーの祭典 “ラグビーワールドカップ2023フランス(以下、ラグビーW杯)“。
あの熱狂をそのままに、12月9日に開幕した “NTTジャパンラグビー リーグワン(以下、リーグワン)” の2ndシーズンは、クリスマス・マッチとなる第3節。今年最後のリーグ戦となったこの節も、各会場に多くの観客がラグビーイヤーの “観戦納め” に訪れました。
ラグビーW杯日本代表選手が11人所属する “埼玉パナソニックワイルドナイツ” に対するは、ラグビーW杯2023で一躍世界に名を轟かせたアマト・ファカタヴァ選手が所属する “リコーブラックラムズ東京” をホーム・熊谷スポーツ文化公園ラグビー場に迎えての一戦。
開幕2連勝と波に乗るワイルドナイツに対し、けが人続出で開幕2連敗ながらも接戦を展開しているブラックラムズもパワーとアジリティ(俊敏性)のある強豪同士の対決となりました。
接戦必至の一戦を前に、試合開始2時間前から集まり始めたこの日の観客は6,825人! JR熊谷駅前やスタンドの周辺では多くのファンたちが、それぞれの楽しみ方で試合開始をこころ待ちにしていました。
真冬でも “アツいぞ熊谷!”
2018年7月23日に、41.1度という日本最高気温を記録したことで、“日本一暑い町” としてその名を全国に轟かせた埼玉県熊谷市。かつて、暑さを売りに地域活性化に取り組んだこともある熊谷市ですが、地球温暖化の影響なのか最近は他の市町が年間最高気温を記録するなど、“熱中症対策” は私たちにとっての身近な課題となってしまいました。
今でも全国平均を上回る気温を記録する熊谷市ですが、最近は “ラグビーで熱い町” としてその名が知られるようになってきています。
新幹線が停車するJR熊谷駅の改札を出ると、“RUGBY TOWN KUMAGAYA” の幟を立てた臨時の案内ブースが。徒歩50分の熊谷スポーツ文化公園ラグビー場へスムーズに移動するための臨時バスが発車する停車場まで案内するスタッフが。お揃いのワイルドナイツ・ブルーのジャンパーを着た熊谷市職員の方による、市外から来訪したファンへの丁寧なおもてなしをされています。ラグビーがいかに熊谷という地域に根付いているかが良く分かります。
熊谷スポーツ文化公園ラグビー場に到着すると、スタンドの周りにはたくさんの出店が建ち並び、試合観戦に備えた多くのファンたちの胃袋を満たします。ご当地B級グルメや、埼玉北部特産の農産物を使った料理など、ラグビー観戦のついでにちょっとした観光気分が味わえるエリアとなっているのですね。
中でも、グラウンドのある公園前に面した大型モニターのあるカフェ&ダイニングバー “Wild Knights Cycle Station & Cafe” キッチンカーの、可愛らしいラグビーボール型のカステラに目がとまります。持ちやすい容器に入ったカステラは、チョコレートやストロベリーといったテイストも揃っていますので、観戦しながらの小腹を満たすオススメのご当地フードです。
出店でフードやドリンクを楽しむファンに混じり、ワイルドナイツのユニフォームを着た可愛らしいワンちゃんたちがお散歩しています! 「家が近所なんです。試合開始2時間前にはここに来て、毎回この雰囲気を味わうんです。」と飼い主さんたち。
皆さんは試合観戦しないのかな?と尋ねると、「ワンちゃんたちは会場には入れないので、一度帰宅して1時間前にはもう一度ここに来ますよ。この子たちを家に置いてね(笑)。」と、記念撮影をしてお家に帰っていきました。
多彩な攻撃で主導権争い -前半①
ワイルドナイツの3連勝か?ブラックラムズが今シーズンの初勝利を挙げるか?抜けるような青空の中、やや強い風を背に高々と蹴り込まれたボールに選手たちが突進して試合が始まりました。
キックオフ直後から、ハーフウェイラインを挟んでの攻防が続きます。キック、パスと多彩なプレーを見せるバックス同士の陣取り合戦に、フォワード同士もスクラムで主導権を握ろうと何度もやり直しの場面が続きます。両者互角の戦いに、会場からは大きな歓声が起こります。
すると8分、反則からブラックラムズのゴール手前10mでラインラインアウトを得たワイルドナイツ。度重なるアタックでゴールに迫るワイルドナイツの攻撃に、粘るブラックラムズも反則を犯してしまいます。再びのラインアウトから、モールに持ち込んだワイルドナイツは、日本代表として活躍したHO(フッカー)坂手 淳史選手がボールを持ちだして先制トライ! ようやく10分に5-0と、ワイルドナイツが均衡を破りました。
ブラックラムズは、FB(フルバック)アイザック・ルーカス選手のサイドアタック、LO(ロック)マイケル・ストーバーグ選手の中央突破で反撃を試みますが、ワイルドナイツの堅いディフェンスにハーフウェイ付近で捕まります。このボールを奪うと、ワイルドナイツのWTB(ウイング)日本代表の長田 智希選手に渡ると、右サイドから綺麗にボールを展開して、FL(フランカー)日本代表の福井 翔大選手が中央に切り込む多彩な攻撃を見せますが、今度はブラックラムズがシャットアウト! 一進一退の攻防が続きます。