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「高額な医療機器の展開というよりも、医師と理学療法士、トレーニング施設との人の連携が必要だと感じています。アセスメント(フィジカル、フィットネス、メディカルのチェック)とサポート(食、メンタル、動作解析、試合分析など)まで落とし込めていくかが大事。Eラーニングなどで地域に展開することは十分可能なことです。」と、オリンピック・パラリンピックのアスリート達が好成績を収める一助となった仕組みを、各地域のひとりひとりが享受できると室伏長官は続けます。

「健康増進のために、運動・スポーツが求められています。週1回スポーツを行う人の割合を、現在の56.4%から70%まで引き上げていくことを目標にしています。特に肩こりと腰痛については運動療法によって軽減されることも分かっているのです。」と、私たちの多くが悩む肩こりや腰痛などにも、アスリートの運動療法が使えるとは驚きですね。

更に、スポーツを街づくりの主役として取り入れている地方自治体の共通する成功要因として “首長のリーダーシップ” を挙げる室伏長官。

スタジアムなどを地域のにぎわいや経済活動で活用する事例を紹介し、中学校の休日の部活動を地域に移行する取り組みでも事例集の公表やガイドラインの改訂などで受け皿の確保に向けた動きを進めていることを報告しました。

「部活動の地域移行に関する検討会議の提言を受け、スポーツ庁長官から日本スポーツ協会、日本中学校体育連盟等へ大会のあり方の見直し等を要請してきました。運動部活動及び文化部活動の地域移行等に関する実践研究事例集、総合的なガイドライン案も公表して多くの意見を伺っていき、令和5年度予算案では、地域移行を進めるための実証事業の実施や部活動指導員の配置等に係る経費が閣議決定されたことを受け、学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドラインの策定と公表を12月に行いました。」とその実施過程を説明します。

「少子化、学校数の減少は、平成元年度から10年度までの10年間で、生徒数は1,278,544名減ったものの、中学校数の減少は81校でした。しかし、次の10年(~平成22年度)では701,533名の生徒が減少し、491校の中学校が無くなりました。更に直近の10年間では(令和4年)、生徒数も355,716名減少していますが、中学校は何と751校も減っているのです。」と、生徒数の減少による部活動の存続に加え、学校単位で活動できる地域とできない地域が出てきている現状に警鐘を鳴らします。

子どもの体力低下が顕著となる一方、BMI(肥満度)は上がっており、運動することしない子の二極化も出てきています。子どもがスポーツする機会を持ち続けられるよう、地域スポーツの在り方を考えることはもちろん、それぞれの年齢や体格に合わせた適切な運動ができるような指導も大事になってくると言うことですね。

日本スポーツ会議提言2023

この後、会議で議論された ”新しい地域スポーツの創造” の内容を踏まえ、遠藤 利明NSPC理事長より日本スポーツ会議提言2023が発表されました。

“新しい地域スポーツの創造” に関する議論の内容は、こちらの記事でまとめていますので、併せて読んでみて下さいね。

提言1.新しい 地域スポーツ のしくみ づくりの推進

提言2.新しい時代にふさわしいスポーツ大会の創造

提言3.インクルーシブな社会へ、スポーツをもっとインクルーシブに

提言4.スポーツ指導者等の資質向上 および その質 の 保証に関わる体制の充実

提言5.スポーツ・インテグリティの 保護・強化

提言6.スポーツの価値の普及・推進

提言7.社会環境の多様な 変化への速やかな 対応

指導者育成の体制充実、スポーツ界の暴力・ハラスメント根絶や社会からの信頼獲得へインテグリティー(高潔性)強化なども盛り込まれた提言です。

新しい地域スポーツの創造に向けてはもちろんですが、他の項目についてもJournal-ONE独自の視点で取材を重ねて記事にしていきたいと思います。

[写真提供:日本スポーツ政策推進機構]

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取材・文:
Journal ONE( 編集部 )
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