盛り上がるBL東京ファンを横目に、今度は埼玉WKが23分にPG、24分にはWTB竹山 晃暉選手が飛び込んでトライ!27-8と逆にリードを広げ返します。
意地を見せたいBL東京は、小川 高廣共同キャプテンが「キックを上げたところを再獲得してより前で戦いたいという狙いでした。どれだけ『攻めないといけない』とは言っても、埼玉WK相手に自陣から攻め続けるのは難しいとの判断でやりました。」と語るハイパント攻撃を軸に、ラグビーワールドカップ2023での活躍が期待されるNo8リーチ マイケル選手の力強いキープでボールを支配し、29分にHO橋本 大吾選手がトライを挙げて追いすがります。
攻撃のバリエーションを増やし攻め続けるBL東京でしたが、33分に出したトリッキーなパスを埼玉WKのCTB長田 智希選手にインターセプトを許します。長田選手はそのまま中央にトライ。PGも松田 力也選手がキッチリ決めて34-15!目まぐるしく変わる攻防劇に秩父宮ラグビー場全体がものすごい歓声と熱気に包まれます。
それでも最後まであきらめないBL東京は、35分にFL徳永 祥尭選手がトライし、松永 拓朗選手のPG成功とあわせて34-22と食い下がりますが、7点差以内までは挽回できずに埼玉WKが勝利して2年連続のリーグ戦首位でのプレーオフ進出となりました。敗れたBL東京は勝ち点を挙げることが出来ず、この時点で横浜E(勝ち点49点)のプレーオフ進出が決まりました。
リーグ戦を振り返って
試合後の会見で、BL東京のトッド・ブラックアダー ヘッドコーチは、「前半に埼玉WKがポゼッションのほとんどを得ていました。私たちはキックの部分、規律の部分で流れを取れませんでした。埼玉WKの経験の高さを見せられました。ただ、選手たちのことを誇りに思います。」と試合を振り返りました。
一方で、今シーズンを振り返り「シーズンが終わってしまったことを寂しく思います。今季は素晴らしいラグビーをプレーできましたし、最後の最後まで挑戦し続けたところは見せられたと思います。」と試合を振り返りました。
「アタックの数値的にはリーグ一と言っても過言ではありません。ラグビーの質に関しても今季はかなり良くなりました。誇りに思っているのは、けが人が出ているにも関わらず、プレーできている選手層の厚みが増したことです。若手はもっと成長できますし、今日の試合から継続して学ぶことが大切です。プレッシャーへの対応、セットピースの重要さが明確になりました。成長できた年だと思いますが、プレーオフトーナメントに出られなかったことは残念です。」と叶わなかったプレーオフ進出に無念さを滲ませるも、チームの成長に満足する1年だったと総括しました。
そして、退席のために席から立ち上がった後、ブラックアダー ヘッドコーチが記者陣に素敵な言葉を投げてくれました。
「チームを代表して改めて伝えさせてください。メディアのみなさんに感謝の気持ちをお伝えします。私たちのチームだけでなく、ラグビー全般を取り上げてもらいました。みなさんの仕事がどれだけインパクトを与えているか、かけがえのないものです。素晴らしい仕事をしてくれてありがとうございます。ラグビーにとって素晴らしいことだと思います。」と。チーム関係者、選手たち、ファンを繋ぎ続けたメディアも “ワンチーム” であるのだと。
プレーオフに向けて
また、埼玉WKのロビー・ディーンズ監督も、「リーグ戦が終了しましたが、良い締めくくりができました。選手たちの働き方はどん欲で満足していますし誇りに思います。先週は馬から転落(唯一の敗戦を喫した)してしまいましたが、その馬にまた乗って駆け出すことができましたについても誇りに思います。今日は、ここまで出場機会のなかった選手たちに出場機会を与えられたのはポジティブなことです。」と今日の試合とリーグ戦を振り返ります。
「ここからまたプレーオフトーナメントが始まります。選手たちはこのためにハードワークしてきましたし、このためにシーズンの最初から努力をしてきています。リカバリーをさせながらプレーオフトーナメントに向けて準備していこうと思います。2週間の期間が空くのは新しいことなのでチャレンジングだと思いますが、やっていかないといけないと思います。」とプレーオフに向けて強い決意も話してくれました。
坂手 淳史キャプテンも、「今日はゲームに対する姿勢、準備に対する姿勢が出て、ハッピーな良いゲームができたと思います。先週の負けからセットピースのところを修正し、良い形でスクラムを組めたと思います。規律の部分も前半はよく守れていましたし、良い形でゲームを進められたと思っています。セットピースや意識の部分はゲームの流れを決めていくものなので、その準備をみんなが100%遂行できたから、今日のようなゲームができたと思います。」と、会心の試合運びを振り返りました。