「短いキックを続けて相手を崩すことが出来た。ダムをイメージしてもらうと、1つ穴が空けばなだれ込むように水が流れるイメージ。」と、後半ジリジリと相手を崩していった勝因を話したディーン監督が振り返った通り、ここからワイルドナイツが怒濤の攻撃を見せます。
必至に反撃を試みるイーグルスでしたが、31分にマリカ・コロインベテ選手が50mを独走するトライで44-20、更に36分にもモールから出たボールを堀江選手が抜け出してトライ。SOの山沢 拓也選手のGも決まって51-20と圧倒的な攻撃力を見せ、トップリーグからの “3連覇” へ国立競技場での決勝に進むことになりました。
W杯2023日本代表のSOレギュラーを狙う、田村選手・松田選手の対決に、「正直、前半リードされて焦りはあったが、自分のスキルを信じてやった。役割を果たせて良かった。」と9本のキック全成功で24点を叩き出し、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いた松田選手はホッとした表情で試合を振り返ります。
一方の田村選手も、「できることは全部やった。経験しなきゃ分からないことだってある。痛い経験をして、そこから学ぶだけです。目標を3位に置き換えてリフレッシュして臨みたい。」と5月19日のラストゲームに気持ちを切り替えていました。
今シーズンの自信と今日の経験を糧に
敗れたイーグルスの沢木 敬介監督は、「前半はある程度戦えた。セミファイナルというプレッシャーゲームの中で、経験の少ない選手が多い中でワイルドナイツと戦えて勉強になったと思う。ここまで積み上げたものは自信を持っていい。今日の負けで全てが消えるわけじゃない。」と今シーズンで得た自信を話します。
「真っ向勝負、力勝負になったら差はまだある。ワイルドナイツは難しいことをあまりせず、シンプルなところでプレッシャーをかけられる良いチーム。リザーブにしても、入ってくる選手たちは自分の役割が頭に入っているから、交代直後にいいパフォーマンスが出せる。」とワイルドナイツから今日得た収穫も教えてくれました。
「ラグビーはもちろん、それ以外の部分でもいい経験になった。」と振り返った嶋田 直人ゲームキャプテンも、「僕が主将をやっている時は勝てなくて、苦しいシーズンばかりだった。今回こういう素晴らしい舞台に立つことができて、ゲーム主将になれたこともうれしいこと。こういうゲームで勝つために何が必要なのか。ファーストタックルでダウンが取れないとリズムが悪くなる。ディフェンスは自信を持っているので気持ちをリセットして次は勝ってシーズンを締めくくりたい。」と3位決定戦に向けて意欲を見せました。
「プレッシャーゲームはちょっとした隙で一気に流れを持っていかれる。嶋田もベテランですけどプレーオフは初めての経験ですしね。今日の経験を活かして3位を獲りに行く。何回も言いますけど、いい経験でした。な?」と語りかけた沢木監督に、嶋田キャプテンも笑顔で頷く。悔しさの中にも明日へ繋がる手応えを感じて会見場を後にしました。
W杯2019で南アフリカを優勝に導いたデクラーク選手。この試合でも、創造性豊かなボール出しや、一寸した隙を突いてボールを奪う俊敏さは、9月のW杯2023でも楽しみなところです。
「前半はあれだけゲームを支配していたのにも関わらず、後半は規律の部分でミスをして相手にチャンスを与えてしまった。」と、後半のレッドカードが出た場面を振り返るデクラーク選手。「14人でプレーする時間帯が長かった。14人では戦い続けてもなかなかディフェンスを崩せません。」と、3位決定戦に向けて気持ちをリセットしていました。
あと一歩で敗れたイーグルスは、5月19日(金)に同じ秩父宮ラグビー場を舞台にした3位決定戦に臨みます。
勝ったワイルドナイツは、翌5月20日(土)に国立競技場に舞台を移し、3連覇を目指してクボタスピアーズ船橋・東京ベイと東京サントリーサンゴリアスの勝者と対戦します。
両チームとも今シーズン最後の試合となる一戦。来るラグビーワールドカップ2023をより楽しむためにも、各国代表選手の活躍は要チェックですね!