ここで動いたのは、メディックスの福田監督。「先発・アリッサから増田にスイッチするスタイルを貫いているが、徐々に良い結果が出るようになってきた。」と話していたとおり、3巡目を迎えるこのタイミングで早めの継投策を打ち出します。
この期待に応え、増田 侑希投手が後続をしっかり抑えると、続く5回裏に8番・深沢 未花選手が高い弾道で放った打球は、レフトフェンスを越える勝ち越しソロ本塁打!早めの継投で流れを渡さなかったメディックスが、すぐさま勝ち越しに成功します。
試合の流れを決定付けたポジショニング
メディックスが僅かに1点をリードする緊迫した展開で迎えた7回表。試合の流れを決定付ける出来事が起こります。
メディックスは、1死から2番・三輪 玲奈選手が2塁打で出塁すると、代走から入った山北 莉乃選手が、センター前に鋭く弾き返すセンター前ヒット。
3塁コーチャーズボックスに入る福田監督の右腕が激しく回り、加速した三輪選手が本塁へ突進します。しかし、センターの松瀬選手からの好返球を受けた安川捕手と三輪選手は、本塁手前1m、右バッターボックスの手前でクロスプレーに!
ホームベースに向かって足を伸ばすものの、安川捕手と正面衝突した三輪選手は衝撃で3塁ベンチ方向に倒れます。この瞬間、まだホームベースに届いていない時点で主審が大きく手を広げてセーフの判定。主審の立ち位置はベースタッチを見る場所から離れ、また目線もホームベースに向けられていない状態でのジャッジでしたが、抗議は認められずメディックスが3-1とリードを広げました。
7回裏、ヴェールズも2死から代打の瀧川 愛海選手がヒットで出塁して反撃の狼煙を上げますが、後続が断たれて万事休す。地元の大歓声を背にメディックスが連勝でこの東西決戦第2ラウンドを締めくくりました。
チームの好調を支える新戦力
「当ててくる打者が多く、審判のストライクゾーンも狭い日本特有の環境の中で良くやってくれている。」と福田監督が万全の信頼を寄せるアリッサ投手は、「日本に来て本当に良いチャレンジができています。シーズンの真ん中に差し掛かって、身体ももちろんですがメンタル的にもキツい場面に入っています。ですので、1日1日をきっち投げていこうと集中していることが良い結果(連勝)に繋がったと思います。」と、このシリーズでの好投を振り返ります。
「アメリカ人にとって日本でプレーすることは夢のひとつです。メディックスに来て、日本のチームメイトと一緒にプレーできていることが何よりも嬉しいですし、チームに加わってから直ぐに良い結果が出ていることは、私たちにとっても凄く嬉しいです。でも私たちはまだベストなプレーができていないので、ここからまだまだ成長できると思っています。これからの試合がとても楽しみですね。」と、グウェン選手は更なる飛躍を話します。
来日から3ヶ月半となった日本での生活について聞いてみると、「日本の生活はとても素敵。直ぐに日本の生活に馴染めたし、多くの友だちもできました。戸田も住みやすくて、あっという間に3ヶ月半が経ちました。もう直ぐ前半戦が終り、帰国して家族に会うのが待ち遠しいです。」と、日本の生活を楽しみながらも、そろそろ家族が恋しくなってきたというアリッサ選手。
「シーズン前の1日しかなかったオフに、京都まで行くことはできませんでしたが、箱根に行って両親に富士山を見せることができました。」「日本食は餃子(王将)がとっても気に入りました。たこやき、大トロ、和牛なんかも両親と一緒に楽しみましたね。」と、日本での初トライの数々を楽しそうに教えてくれたグウェン選手。
「私も餃子は鉄板メニュー。1週間に1~2回は行っています(笑)。今まで、なかなか新しい日本食にトライする機会がありませんでしたが、グウェンが “これも美味しいよ、あれも美味しいよ。” って教えてくれるので楽しんでます。」グウェンと向き合って笑いながら話すアリッサ。こういった日本を楽しむ感覚も、活躍に必要な能力なのかもしれませんね。
残り2節となった前期の意気込みについては、「もう少し良いプレーができたと思うし、今その片鱗が見え始めています。体力的にキツい局面ではありますが、あと2週間でもう少しパフォーマンスが良くなることを願っています。」とグウェン選手が話せば、「残り2週間、帰国してリフレッシュできる時が近づいていると感じることができるので、シーズン初めの頃の精神状態に戻り、楽しんでゲームに臨みたいですね。」と、アリッサ選手も最後のひと踏ん張りを誓っていました。
JD.LEAGUE(JDリーグ)東西地区対抗交流戦シリーズはこの日が折り返し。東軍8勝、西軍8勝とまたも互角の結果となりました。
両軍譲らない交流戦は、6月10日、11日に戦場を新潟県上越市、愛知県豊田市、滋賀県甲賀市、岐阜県大垣市の4会場に移動し、3節目に突入します。
どの会場も接戦が予想される好カードが揃う交流戦。特に、6月11日に激突するトヨタ レッドテリアーズ対ビックカメラ高崎ビークイーンの “両地区首位決戦” は見逃せません。皆さんもお近くの会場に足を運んで、選手たちの熱いプレーを間近で感じてみてはいかがでしょうか?