ちびっ子ラガーマンもW杯気分!
試合開始1時間ほど前になり、フィールドに選手たちがやって来ました。随分小さな選手たちですねよ! 少し緊張した面持ちで札幌ドームの天井をキョロキョロしながら入場してきた十数人のちびっ子ラガーマンたち、間もなく始まる日本代表対サモア代表の試合前にフィールドに降り立ち、ダッシュやパス、キックの練習を始めました。
最初は緊張していた選手たちも、身体が温まるにつれて楽しそうな笑顔が見られます。元気なかけ声も出てきましたね。一生懸命にプレーするちびっ子ラガーマンたち、この中から将来のブレイブ ブロッサムズのメンバーが生まれるかもしれません。
ラグビーワールドカップ2019のレガシーとして、多くの子どもたちがラグビーをする姿を見ることが多くなりました。自分たちのプレーが世界で戦う選手たちと繋がっていることを感じることができる。こういった素敵なイベントを企画することによって、さらにラグビーをしてみたいと思う子どもたちが増えるかもしれませんね。
スタジアムが凍り付く波乱の前半
北海道初見参の日本代表をひと目見ようと、ここ札幌ドームに詰めかけたファンは22,063人!その殆どが、ブレイブ ブロッサムズの “桜のジャージー” を着て声援を送っています。
こう言ったスタンドの光景も、ラグビーワールドカップ2019のレガシーとして国際試合ではお馴染みになりましたね。
サモア代表が戦いの舞 “シバタウ” を披露し、観客から大きな拍手が巻き起こります。先週の熊本、先々週の秩父宮と対戦した、ニュージーランドのオールブラックス・フィフティーン(All Blacks XV)でも、マオリの戦士の鬨の声である “ハカ” が披露され、いよいよ迫ったW杯フランス大会へ気分を高揚させてくれます。
開始2分、早くもスタンドから悲鳴が上がります。サモア代表の#14 ネリア・フォマイ(Neria Fomai)選手が右サイドを抜け出してトライ!かと思われましたがスローフォワードの判定で、安堵のため息に変わるスタンド。早速、激しい攻防を予感させるプレーとなりました。
すると直後の5分、キックからサモアゴールライン付近まで攻め込んだ日本代表が、スクラムから素早く供給されたパスに#5 LO(ロック)のアマト・ファカタヴァ(Amato FAKATAVA)選手が反応して先制のトライ!スタンドのテンションが一気に高まります。更に、#10 SO(スタンドオフ)の李 承信選手がGを決めて7-0。日本代表が主導権を握ります。
リーチ マイケル選手がボールを持って突進すると、地元・札幌のファンから一際大きな「リ~チ!」という歓声。第2の故郷・札幌凱旋に地元からの大きな声援を受け、リーチ選手の動きも3試合目で最も良いように見えます。
10分には、コラプシング(スクラムを故意に崩す)の反則から、自陣ゴールライン5mでのラインアウトとピンチを迎えた日本代表ですが、相手のパスをカットして陣地を挽回!すると、サモア代表が堪らずハイタックルでボールを得ます。このチャンスに日本代表は、ゴール5m付近でのラインアウトからトライを狙う作戦。この攻撃を #6 FL(フランカー)のタレニ・セウ(Taleni Seu)選手のハイタックル。更にボールを保持した日本代表は、再びトライを狙ってアタックを試みますがサモア代表の強いフィジカルに押し返されてしまいます。
それでも手を緩めない日本代表のアタックに、堪らずサモア代表が3度目のハイタックル。敵陣22mで三度得たボールを今度はPG選択とし、#10李 承信選手が決めて10-0とリードを広げました。日本代表の波状攻撃が屈強なサモア代表のディフェンスを切り崩し続けるプレーに、札幌のファンも大きな声援で後押し。選手とスタンドが一体となった手に汗握る見応えある展開に誰もが明るい試合結果を予想したことでしょう。
22分にも、自陣22mライン付近で相手のラインアウトボールを奪取!このボールを巡る攻防でノットロールアウェイの反則でボールを得たサモアは、22mラインより少し入ったところでPGを選択。#10 SOのリアリーファノ選手が決めて10-3と点差を詰めてきました。
日本優位で進むゲームが一変したのは29分でした。#15 FB(フルバック)山中 亮平選手のキックを取ったサモアに#11 WTB(ウイング)ジョネ・ナイカブラ(Jone NAIKABULA)が鋭いチャージを掛けボールの奪い合いとなります。そのボールを巡って鋭いタックルを見せたリーチ選手のプレーがビデオ判定となり、しばし静まるスタンド・・・リーチ選手に歩み寄る主審が掲げたカードは何と、レッドカード! ハイタックルの判定は一発退場となった瞬間、スタンドは凍り付いたように静かになりました。相手選手と握手をして痛恨の面持ちで退場するリーチ選手の顔が大型ビジョンに映し出されますが、地元凱旋の活躍を祈っていた北海道のファンたちも声が出ない状況です。