愛媛県から来た、会社員の女性2人組。「オリンピック(東京大会)でソフトボールのチケットが当選したのですが、コロナで観戦することが出来ませんでした。今日はやっと日本代表の試合が観られるので楽しみです。」と、西日本地区で初めての開催となった岩国での試合を心待ちにしていたとのこと。
広島県から来たご家族。Japanユニフォームに袖を通した小学生4年生の双子姉妹は、ソフトボールに打ち込んでいるとのことで、真っ黒に日焼けした元気な笑顔が印象的です。美心(みこ)さんと莉心(りこ)さんにそれぞれに推し選手を聞くと、「私は投手をやりたいので、上野由岐子投手に憧れています!」「私は、二刀流の藤田倭選手が好きです!」と、東京2020金メダリストのレジェンドの名前を挙げてくれました。
「やっと、日本代表の試合を始めてこの目で観ることが出来て感激です。」と話すご両親と共に絆スタジアムの立派な正面オブジェを前でガッツポーツ!日本代表の必勝を願っています。
観戦席も工夫が見られます。普段、降り立つことのできないグランドレベルの一角に備え付けられたスペシャルシートでは、選手と同じ目線で試合を観戦できるという非日常の体験ができるのです。しかも!試合前に先ほど紹介したアメリカ代表のアラナ投手にキャッチボールの相手に指名されました。20球ほど全力でアラナ選手の胸をめがけて力投した男の子も普段はチームでショートを守っているとのこと。「とても良い球を投げますね。将来は良い選手になるでしょうね。」と、アラナ投手も笑顔で記念撮影に応じていました
注目の初戦は “湿気” との戦い?
この日は、沖縄で停滞する台風の影響もあり、日中から生暖かい湿気を含んだ空気を運んできていた岩国市・絆スタジアム。7時からのナイトゲームで太陽は沈んで暑さは少し和らいだものの、腕から指先にしたたり落ちる汗が選手の手元を狂わせます。
#2 三輪 さくら投手(トヨタレッドテリアーズ)、#24 ナイシャ投手の先発で始まった試合。
JDリーグでは抜群の制球力で勝ち星を重ねている三輪投手ですが、この日の湿気でなかなかボールを操ることができないのか、微妙なコースがボールになったりボールが真ん中に集まり痛打されたりと本来の投球ができません。一方、速球、ライズボール共に見るからに球質が重そうなナイシャ投手。こちらも指を盛んに気にして何度もタオルで汗を拭いますが、それでも大きく捕手からボールが逸れる投球もあって本来の投球スタイルでは無い様子です。
試合が動いたのは2回表のアメリカ代表。5番の#17 Tailor PLEASANTS (テイラー・プレザンス)選手が四球で出塁すると、続く6番 #22 Alex HONNOLD(アレックス・ホナルド)選手が詰まりながらもライト前に運んで無死1、3塁と先制のチャンスを掴みます。
すると、#8 Jayda Kearney(ジェイダ・カーニー)選手もライトへのクリーンヒットで続いて、アメリカ代表が1点を先制します!更に、無死1、2塁と大量点のチャンスに強打者・ハンセン選手が打席に入ります。
ビッグチャンスを与えた三輪投手ですが、ここから本領を発揮します!自慢の制球力でハンセン選手を中外角の出し入れで三振に取ると、続く#23 Viviana MARTINEZを投手ゴロ、先頭に戻ってErin COFFEL(エリン・コッフォル)選手をレフトフライに切って取り。最少失点でこの回を凌ぎました。
ここまで三輪投手と#24 切石 結女捕手(トヨタレッドテリアーズ)のバッテリーの緩急を付けた投球に詰まりながらもパワーでヒットにしていくアメリカ打線。3回には、3番の#11 Megan GRANT(メーガン・グラント)選手が流し打ってレフトオーバーのソロ本塁打を放ち、2点目を奪います。ナイシャ投手の重い球に差し込まれる日本代表打線にパワーの差を見せ付けます。
流れを変えたい日本代表は、4回から唯一の大学生から選出された#29 山下千世投手(金沢学院大)をマウンドに送ります。ナイシャ選手に負けない思い速球が武器の山下投手は、ホナルド選手を幸先良く三振に仕留めますが、7番DHカーニー選手にレフトの頭を遙かに超えるソロホームランを浴びてしまいます。更に、ハンセン選手、代打#1のCydney SANDERRS(シドニー・サンダース)選手に連打を許してしまいます。
僅かアウトひとつを取ったところで、#21 左腕の曽根 はん奈投手(太陽誘電ソルフィーユ)に後を託します。捕手も#28 炭谷 遙香選手(ビックカメラ高崎ビークイーン)に交代し、アメリカ代表の猛攻を凌ぎにかかります。曽根投手は、JDリーグでは今シーズン2日連続完封勝利を挙げるなど調子が良い選手です。
しかし、この湿気に曽根投手も制球力が定まりません。1番の#21 Erin COFFEL(エリン・コッフォル)選手に四球を与えて満塁にすると、2番の二刀流・#72 Valerie CAGLE(ヴァレリー・ケイグル)選手にもセンター前に運ばれて4点目。更にグラント選手にも右前にヒットを打たれて5-0と嫌な流れを止めることが来ません。