一方的になりかけた試合の流れを引き戻すべく、ここで日本代表がマウンドへ送り込んだのは、二刀流の藤田投手です。場内のコールにJapanのユニフォームで赤く染まったスタンドから大きな歓声が起こります。東京2020金メダリストが、流れを変えることができるのか?
1死満塁のピンチに打席に入るは、アメリカ代表の4番・コーディー選手。藤田投手はストライクを先制させて追い込みますが、コーディー選手はなかなかボール球に手を出しません!際どいボールを選んで四球で押し出しとなりますが、続くプレザンツ選手のサードへの難しいゴロを、普段はセカンドを守る#10 川畑 瞳選手(デンソーブライトペガサス)が身体の前で上手く捌いて本塁フォースアウト。6番ホナルド選手も抑えて、ようやくチェンジです。
このままでは終われない日本代表は、同じく湿気で制球が安定しないナイシャから四球で1、2塁とすると、パワーを見せたのは#26 塚本 蛍選手(ホンダ リヴェルタ)でした!JDリーグの後半戦で1試合2本塁打を放ったパワーを見せ付け、逆方向へ大きな弧を描くスリーランホームランを放ち、直ぐさま6-3と反撃に転じます。
更に5回は日本代表の小技が光ります!先頭2番の#9 唐牛(かろうじ) 彩名選手(日立サンディーバ)がいきなりのセーフティバントで一塁にヘッドスライディング。3番 #6 石川 恭子選手(トヨタレッドテリアーズ)がセンターに技ありのヒットで続きます。
ここで、アメリカ代表は#66 Ruby MAYLAN(ルビー・メイラン)投手にスイッチ。途中出場の4番の内藤 実穂(みのり)選手(ビックカメラ高崎ビークイーン)、#4 須藤 志歩選手(豊田自動織機シャイニングベガ)を抑えると、捕手のキンジー選手もガッツポース!
しかし、ここから更に粘りを見せる日本代表は、川畑選手がショートへの内野安打で気迫のヘッドスライディングを見せると、エラーも呼び込み4-6。更に、先ほどホームランを放った塚本選手の強い打球に備え、後ろに守っていたショートが強烈なゴロを何とか抑えて二塁に送球。フォースアウトかと思われましたが、テンポラリーランナーの一塁走者の須藤が好スタートを見せていました!セカンドのベースカバーよりも早く二塁に到達した須藤選手の足でフィールダーズチョイスとして5-6!
そして、豪快な打撃が特徴の炭谷選手がセンター前にしっかりと運ぶ2点タイムリーヒットを放ち、遂に7-6と逆転!激しい点の取り合いに、詰めかけた2,363人の観客からは大きな拍手が沸き起こりました。
エラーで試合が大きく動く終盤
劇的な打ち合いとなったこの試合は、終盤にもまだまだドラマが待っていました。
6回には、3番のグラント選手が緩急で揺さぶる藤田投手の投球に対応し、左中間フェンスを大きく越えるソロホームランを放ち7-7の同点に追いつくと、続く4番のコーディー選手もバスターで揺さぶりフルカウントから四球を奪う粘りを見せます。5番 プレゼンツ選手が死球でチャンスを広げ、6番 ホナルド選手はセカンドゴロ!ダブルプレーかと思われた打球を須藤選手が二塁へ悪送球して7-8と再逆転に成功します。
その裏、メイラン投手も唐牛選手に死球を与えたところで、二刀流・ケイグル選手がレフトの守備からリリーフに向かいます。日本のジメついた湿気に思うような投球ができないケイグル投手は、この回3つのワイルドピッチをしてしまい8-8の同点とすると、更にはハンセン捕手まで投手に返す送球が滑って二遊間を抜ける冒頭となる珍しいプレー。日本代表は無安打、相手のミスのみで逆転となりました。
更に、ライト前ヒットで出塁した須藤選手を二塁に置いて、打席に入るのは日本が誇る二刀流・藤田選手です。二刀流対決となった初球!チェンジアップの制球が定まらないケイグル投手の直球を狙い撃ちした打球は一閃!センターのフェンスを楽々と越えるツーランホームランで8-11と突き放しました。
最終回となるか? アメリカ代表はこの回先頭のコッフォル選手がライト前ヒットで出塁すると、打席には前の回、二刀流対決で藤田選手にホームランを浴びたケイグル選手です。攻守入れ替えての二刀流対決という珍しいシーンです。「先ほどのリベンジ!」とばかりにケイゲル選手が放った打球は、こちらもセンターの頭を越えるツーランホームランです!
二刀流対決は信じられない “両者ホームランによる引き分け” となり、10-11の1点差に迫ります。
JDリーグでは短いイニングでの登板が続く藤田投手は、強力打線を相手に細心の投球を続け4イニング目。疲れの色が見えてきた藤田投手をアメリカ打線は見逃しませんでした。
続くグラント選手、コーディー選手もヒットで続くと、6番のホナルド選手がタイムリーヒットを放って遂に11-11の同点に追いつきました!