私たちの突然の取材依頼にも優しく対応いただき、仕込みの後の試合中にも話しかけてくれる川端キャプテンの気さくな人柄が、ラグビー部マーラーのお店の雰囲気に現われています。何とも居心地の良い空気に、ラグビーファンはもちろん、現役選手や元日本代表選手たちが自然と集まってくる理由なんですね。
優しく温かいお客さんも個性的!
40名近くのファンで満席となったこの日ですが、集まったラグビーファンのお客さんは誰もが優しく温かい人たちばかり。顔見知りの常連さんだけでなく、今日始めて会ったお客さん同士も日本代表を応援しながら肩を組み、杯を交わして楽しそうに過ごしています。
「いつもは、毎週水曜日に来るんです。」と、マイペースでお酒を飲むのは尼崎から通う常連の “にっしゃん” さん。71歳とは思えない若さです。「ラグビーのことはよう分からんけどな。近鉄ライナーズを応援しててな。」と愛嬌たっぷりで話す近鉄百貨店の元百貨店マン・にっしゃん。しっかりと日本代表ジャージーを着ているのにユーモアたっぷりです。
試合を観ているよりも、色々なお客さんの反応を見たり、里さんや杉本さんに話しかけている時の方が楽しそうに見えるのは、試合前に聞いたジョークが耳に残っているからかもしれません(笑)。ラグビーを応援するひとつの形として、こういった楽しみ方があるんだなぁと感心させられます。
「ここのグループは、スキーサークルの仲間なんですよ。」と、何とも不思議なメンバー紹介をしてくれたのは、滋賀から来た岩城 千春さん。「フェイスブック(FB)のスキーコミュニティで知り合ったんですが、スキー以外でも自転車やラグビー観戦など、スポーツ好きがそれぞれ仲間を作って活動しているんですよ。」と神戸から来た芦田 真哉さんが、8,000人を超えるFBのアカウントを見せてくれました。「年間数十日をゲレンデで過ごす全国の人たちの集いです。何処に行っても誰かが滑っているので、一人でスキー場に行って仲間と滑るんです。僕は飲み会要員なので、年数回しかスキーしないんですけどね(笑)。」と、京都から来た田辺 隆司さんも気さくに話しかけてくれます。お米屋さんの田辺さんは、家業が忙しくて中々スキーが出来ないとのこと。様々なバックボーンを持つ人たちが、スキーを通して知り合い、その中からラグビー観戦で大阪に集まるコミュニティができるというのもスポーツが繋ぐ素敵な絆ですよね。
試合中、このスキー仲間と意気投合していたのは、高校ラグビー部の仲間たち!大阪府立住吉高校のラグビー部OB、当時キャプテンの安田さん、バイスキャプテンの安城(やすき)さん、快足センターだった青松さんです。中学校からラグビーをしていた安城さんが、「僕は高校でラグビーやる気は無かったんですよ。でも同じクラスの青松が誘ってきて。」と話せば、「中学(野球)とは違うスポーツやってみたかったんだよ!」と青松さんが返し、「でもお前、試合に出るのが嫌で・・・」と、安田さんが被せる。何とも仲の良い同窓会となりながらの日本代表応援となっています。日本代表の活躍を期しながら、昔の話しに華が咲く。とても羨ましい仲間との絆を見せてくれた3人でした。
「子どもがラグビーをやっていて、自然とラグビーにハマりました。」と話すのは、髙橋 幹夫さんと利香さんご夫妻。中学校にラグビー部がある東淀川区はアメリカンフットボールも盛んな地域。「息子曰く、アメフトは全くボールに触れないポジションもあるけれど、ラグビーは全員がひとつのボールを繋ぐスポーツ。それが、ラグビーを選んだ一番の要因です。」と、新たなラグビーにハマった魅力を教えてくれる利香さん。「子どもが高校生の頃は、単身赴任先(神奈川)の強豪高校を観に行ったり、大学に行けば大学リーグ戦を観たりと徐々にラグビーを観るフィールドも変わってきました。」と話す幹夫さんも、「相手を信頼していないと、あんなに激しく身体を当てられません。チームだけで無く、相手も信頼してプレーするのがラグビーの魅力なのでは?」と、こちらも長年見続けた中での独特の魅力を教えてくれました。
「子どもが同じラグビー部だったので。」と同席していた野口 千夏さんも、「子どもがプレーしていた当時、大学最強だった帝京大学がラグビー教室をやってくれたことがあったんです。その時教えてくれた坂手君や松田君が、今テレビの向こうで桜のジャージーを着て戦っている。息子を観るようなドキドキした気持ちで日本代表を応援しています。」と、子どもの応援が一段落した今も “我が家の出来事” の様に日本代表を応援するファンもきっと日本中にたくさん居るんだなぁと気付かされました。
君が代を熱唱しての前半戦
選手がピッチに現われると、店内も益々熱気を帯びてきました!2台設置された大型テレビからの音が聞き取れないほどです。日本代表選手たちが肩を組み始めるとすかさず川端キャプテンの「君が代歌うぞ!」というかけ声と共に、全員が立ち上がり肩を組んでトゥールーズに届けとばかりに君が代を熱唱します。