ベスト4に役者が出そろう‼
2028年にアメリカのロサンゼルスで開催される夏季オリンピック(以下、LA2028)の競技種目に復活した “野球・ソフトボール”。そのニュースと時を同じく、“第19回アジア競技大会中国 杭州” でアジア大会前人未到の6連覇を達成したソフトボール日本代表。
NPB(日本プロ野球)は、59年ぶりの関西対決、38年ぶりの阪神タイガース優勝で盛り上がり、2023シーズンが終了しましたが、女子ソフトボールはこれからクライマックスを迎えます。世界最高峰のトップリーグ・JDリーグの日本一を決める “ダイヤモンドシリーズ” がいよいよ開幕。全16チームがリーグ戦29試合を行い、プレーオフを経て勝ち残ったベスト4が埼玉県朝霞市の朝霞中央公園野球場に集結しました。
第1試合は、東地区2年連続優勝、昨シーズンのJDリーグ元年に初代女王に輝いた群馬県高崎市を本拠地とする “ビックカメラ高崎ビークイーン” が登場。東地区3位、前週のプレーオフで同地区2位の “日立サンディーバ” との壮絶な打撃戦を制して勝ち上がった、栃木県真岡市を本拠地とする “ホンダリヴェルタ” が挑みます。
東京2020金メダリストを5人が所属するスター軍団のビークイーンに対し、同銀メダリストのアメリカ代表・Ally CARDA(アリー・カーダ)投手、アメリカのプロソフトボールチームでも活躍するJailyn FORD(ジェイリン・フォード)投手をはじめとする強力投手陣を擁するリヴェルタの好カードを見ようと、3千人の観客が詰めかけました。
JAPANの4番が魅せる -序盤
ビークイーンの先発は、昨シーズンの東地区最高殊勲選手・濱村 ゆかり投手。持ち前の抜群のコントロールで、前の試合9得点を叩き出したリヴェルタ打線を完璧に抑えます。初回、前の試合でツーランホームランを放った大工谷 真波選手を三振に切って取ると、続く吉田 彩夏選手を投飛、木村 愛選手を三振に仕留める完璧な立ち上がりを見せます。
対するリヴェルタの先発は、左腕・ジェイリン投手。今シーズンの東地区最優秀防御率と最多勝を獲得したジェイリン投手は、リーグ戦終盤の第13節では “ノーヒットノーラン” も達成している好投手です。先頭の東京2020金メダリスト・市口 侑果選手を三振に仕留め、順調な滑り出しを見せますが、前日の大雨によるグラウンドコンディションが勝負の行方を分けることとなりました。
続く、2番・炭谷 遙香選手の二遊間へのゴロは、つまりながらもセカンド渡邉 端貴選手のわずかに左を抜けるセンター前ヒットで出塁すると、3番・工藤 環奈選手の打球も全く同じところへ。絶好のダブルプレーかと思われましたが、この打球を緩いグラウンドに踏ん張りがきかず渡邉選手がさばくことが出来ません。1死一、二塁と大きなピンチとなってしまいました。
ここで打席に入るのは、日本代表の4番でもあるキャプテンの内藤 実穂選手です。10月2日に行われたアジア大会決勝の対中国戦で、先制ホームランを逆方向のライトへ豪快に放って日本代表を勝利に導いたそのバットに期待がかかります。
内角を攻められ1-2と追い込まれた内藤選手でしたが、数々の大舞台を経験している選手に重圧は無いのか? 外角の高めを引きつけながら上手くバットにボールを乗せると、打球はぐんぐん伸びてライトフェンスを大きく越える先制のスリーランホームラン! ビックカメラが大きな先制点を奪って試合の主導権を握りました。
騒然とするスタジアムの中、続くも東京2020金メダリスト!・藤田 倭選手もライト頭上を襲う大きな打球を放つと、一瞬で静かになった観客がその打球を目で追います。連続ホームランか?と誰もが思ったその時、ライトの下村 歩実選手がフェンスに激突してこの打球をスーパーキャッチ!
更には、6番の俊足・藤本 麗選手が上手く三遊間に打ち返したゴロを、ショートの吉田選手がジャンピングスローを見せて間一髪のアウト! 完全にビックカメラに行きかけた流れを、今度は守備で引き戻します。
直ぐに1点返したいリヴェルタは2回、2死から大川 茉由選手の目の覚めるようなセンター頭を超えるツーベースで反撃の口火を切ると、続く渡邉選手がセンター前にタイムリーヒットを放って1点を返します。今シーズンのリヴェルタは粘り強い試合展開が持ち味。まだまだ試合の流れは引き渡さないと、リヴェルタ応援団の意気も一気に高まりました。
女王蜂がアメリカのエースを攻略 -中盤
3回からリヴェルタは、ジェイリン投手を諦めてアリー投手にスイッチ。反撃の流れに勢いを付けようとアメリカ代表のエースに託します。
しかし、その代り端にビークイーン打線が襲いかかる! 先頭打者の市口選手がセンター前にクリーンヒットを放つと、続く炭谷選手もバント守備でプレッシャーを掛けるリヴェルタ内野陣の頭を越える技ありのライト前を放って無死一、二塁と追加点のチャンスを作ります。