国際大会だけでないスポーツのレガシー
日本を舞台にした国際スポーツ大会、”ラグビーワールドカップ2019” “東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京2020大会)” は日本のスポーツ発展だけでなく、私たちに様々なレガシーをもたらしました。
新型コロナウィルス感染症の影響から立ち直り、このレガシーを活用して社会課題の解決やよりよい未来づくりをしようと、多くのスポーツ競技が取り組みを行っています。
また、これらの国際大会に加え、国内での大きなスポーツ大会である “国民体育大会(以下、国体)“ の開催で得たレガシーを活かし、地域の課題解決に取り組む人たちもいるのです。
様々な競技で大きな国際大会が続き、世界中でスポーツへの注目が高まる2023年。Journal-ONEでは、毎年日本国民の多くが参加する国体のレガシーで様々な地域の課題を解決しようとしている愛媛県西予市の事例に着目しました。
“2017愛顔つなぐ えひめ国体” のレガシー
「平成29年(2017年)に開催された “えひめ国体” 成年女子ソフトボールの部で、地元・愛媛県選抜選手が優勝を飾ったのが、ここ西予市なんですよ。」と、優しい笑顔で教えてくれたのは管家 一夫西予市長です。
「日本の女子ソフトボールは、オリンピックで金メダルを獲得するようなハイレベルのスポーツです。そんなトップ選手たちが集まった国体で、愛媛県選抜選手が活躍して優勝する姿をここ宇和球場で見せていただいた。」と、その時の様子を思い返しながら話す管家市長。
「優勝チームには伊予銀行の選手が多数出場していました。今日、再びその勇姿をここ宇和球場で多くの西予市民に見てもらう機会をいただき嬉しい限りです。愛媛県で頑張っている選手の姿、プロスポーツの素晴らしさを身近に感じてもらいたいですね。」と、女子ソフトボール世界最高峰リーグ “JD.LEAGUE(以下、JDリーグ)” の公式戦に向けた設営に余念の無い、地元ソフトボール関係者の皆さんを温かく見守っています。
「JDリーグの前身、日本リーグの時からの悲願。地元・西予市にリーグ戦を誘致することができて、本当に嬉しいです。」と熱く話すのは、西予市ソフトボール協会の理事長・廣瀬 吉孝さんです。「えひめ国体で整備した施設を活かし、世界のトップ選手たちの素晴らしいプレーを地元の子どもたちに見せてあげたい。夢のオリンピックで活躍した選手たち、地元・愛媛県の伊予銀行VERTZ(以下、ヴェールズ)の選手たちを近くで見られるという夢が実現して本当に嬉しいです。」と話す廣瀬さん。聞けば、少年野球やソフトボールに励む子どもたちが多くいたこの地域も、少子化でメンバー集めにも苦労しているとのこと。
「2017年の国体、2022年のJR 卯之町駅(うのまち)の新駅舎供用開始と、町興しを進めてきたがこれで終わってはいけない。日本リーグから誘致を続けて実現したJDリーグのリーグ戦を国体のレガシーとして継続していくことが大事なのです。」と、⻄予市ソフトボール協会会⻑の兵頭 竜さんの声にも力が入ります。
「国体開催後、一度はリーグ戦の誘致に成功したのですが、平成30年(2018年)7月豪雨災害による河川の越水で甚大な浸水被害が発生して中止。そこから立ち直り、再度誘致をしたもののコロナ禍。3度目の正直となった今回の開催に、地元の期待は大きいのです。」と話す兵頭さんの自宅も、平成30年7月豪雨で甚大な被害を受けたとのこと。困難を克服し、未来につなぐ今回のJDリーグ公式戦の開催がどれだけ市民に夢と希望を与えるか計り知れません。
地元企業がつないだ絆 “四国を元気に!プロジェクト”
「今年の2月、伊予銀行とJR四国の取り組み “四国を元気に!プロジェクト” で、ヴェールズの庄司 奈々投手と辻井 美波選手が西予市を訪れてくれました。西予市の中学校で唯一ソフトボール部がある宇和中学の部員たちと交流を行っていただき刺激をもらいました。」と、管家市長が話した絆は、卯之町駅の活性化をはじめ、人気観光列車 “伊予灘ものがたり” などの観光誘客で四国を元気にするJR四国と、ソフトボールで四国を元気にする伊予銀行のコラボ企画。
本間 紀帆選手、吉金 亜希子選手と2班に分かれて、西予市、松山市、宇和島市、砥部町の観光スポットや特産品を紹介する応援ツアーをした中で、庄司投手と辻井選手が宇和中学ソフトボール部と練習を通じて交流したのです!今度は、宇和中学をはじめとする西予市の皆さんが、ヴェールズの試合を応援するという絆が生まれたのですね。
「公式戦の後も、ソフトボール・クリニックで交流したいとヴェールズさんから言われています。世界最強リーグで活躍する選手との交流が続いていることを嬉しく思います。この交流が続いて、西予市の子どもたちが大きくなり、ヴェールズで活躍してもらうことを夢見ています。」と、楽しそうに話す管家市長。