このピンチに中京大学・二瓶監督が執った采配は小刻みな継投。櫻庭 万綾投手(福岡中央高)、水本 すず投手(長崎商業高)、浅田 理沙投手(聖霊高)が監督の期待に応え、逆境に負けずひとりひとりのやるべきことを全うして無得点に抑えました。
打線も、リードされた直後に4番で主将の市川 愛渚(ひな)選手(星野高)がJDリーガー顔負けのパワー溢れる打撃でチャンスを作るなど、庄司投手を攻めましたがあと一本が出ずにJDリーガーへの挑戦は幕を下ろしました。
挑戦に手応え
「インカレの優勝から1か月がたち、4年生にとっては一つの区切りが付いた大会となりますから、4年生には楽しんでこの試合に臨んでもらいたかった。一方で新チームとして始動する選手たちにとっては、来年につながる試合となる。どちらにとっても良い試合が出来たと思います。」と、スコールで濡れた身体をタオルで拭きながら爽やかに話すのは二瓶監督です。
「JDリーグのチームと運良く1回戦で当たることができたので、思い切ってやらせてもらえました。最後は、4年生を多く出場させて楽しませてもらう形になりましたが、みんな本当に持てる力を出し切ってくれました。特に4年生の投手陣はとても苦しいシーズンだったので・・・ 最後の最後に結果を残してくれて本当に良かったです。」と、声援に駆けつけたたくさんの父兄と話す選手たちを横目に、ホッとした表情を見せて4年生を見つめます。
一方の新チームについては、「成瀬をはじめとする投手陣の主力が来年も在籍するので、彼女たちを軸にチームを作っていきたいですね。インカレ連覇に向け、今日の経験も活かしていきたい。目指されるチームになるには、結果だけではなく日本一に相応しいチームになれるよう、振る舞いや日頃の生活でも評価されるように頑張っていきたいです。」と、新チームのメンバーの活躍にも手応えを感じた様子の二瓶監督。
10年ぶりのインカレ制覇への道のりを聞くと、「うちは、3位が14回もある中で本当に決勝までの道が遠かったんです。3年前の(コロナ禍での)代替大会で優勝はしていたのですが、やはり今年の優勝は万感の思いです。代替大会で優勝したメンバーの川口(茉奈選手・伊予銀行ヴェールズ)、安山(涼香選手・ホンダリベルタ)、高瀬(沙羅選手・日立サンディーバ)と同様、4年生の何人かはJDリーグでお世話になることが内定しています。彼女たちもJDリーグで活躍することで、在籍生のモチベーションも一層上がってくれると思います。」と、タレント豊富な今シーズンのメンバーの未来にも眼を輝かせて話してくれました。
「最後の大会が終わりとても残念です。JDリーガーのテクニックとパワーに最後は押し切られてしまいました。この経験を活かして、後輩たちにはインカレ連覇と全日本総合での勝利を託したいです。」と話してくれたのは、打撃にリードに活躍した主将の市川選手。
中京大学のお膝元・豊田市にあるトヨタレッドテリアーズへ入団が内定している市川選手は、「やるからには日本代表選手になれるように頑張っていきたいです。レッドテリアーズにはたくさんの日本代表選手がいらっしゃるので、目標とする切石 結女捕手の側でプレーできることが楽しみです。」と笑顔で将来の自分像を話してくれました。
応援に来てくれたたくさんの父兄と挨拶を交わしたり、選手同士で最後の中京大学のユニフォーム姿で記念撮影をしていた市川選手。
その後、インタビュー中の伊予銀行ヴェールズ・殊勲打を放った先輩の川口選手にご挨拶に来るなど、まだまだあどけなさいっぱいの市川選手。来シーズンのJDリーグデビューが待ち遠しいですね。
Journal-ONEでは、全日本総合選手権をより楽しく観戦していただくため、幾つかのチームにスポットを当てて試合をレポートしていきます。最高の舞台であるインカレを終え、最後に待っていた大きな挑戦の機会に臨む大学ソフトボール部の皆さんに続いては、佳境となるリーグ戦を一時中断し、トップリーグとしての意地と誇りを胸に日本一を目指すJDリーグのチームに視点を移してレポートしていきます。
先にレポートした、開会式の様子と大会を “支える” 佐賀県太良町と白石町の皆さんの記事も是非読んで下さいね。