そんなRIZEの選手たちは、試合中のインターバルでも休むことなく今井選手を中心にフォーメーションの練習をするほど勤勉。試合への飽くなきチャレンジを続ける姿勢が、チームカラーの “一体感” をより印象的にしています。「僕たちはプレーに対して貪欲ですし、真面目だから試合でも随所に結果が出るのです。(強豪チームに勝敗では叶わなくても)経験値をたくさん手にできれば良しってね(笑)。みんなラグビーが本当に好きなんです。負けたことは悔しいですが、チームでやりきることが何よりも楽しいですね。個人的には持ち点の近いFukuoka DANDELIONの乗松選手、草場選手のような “こぎ出しのダッシュ力” を養うべくフィジカルを強化した今年の目標が試合で発揮できたと思います。」と話す日向選手の爽やかな笑顔に、スポーツの本質を改めて教えてもらいました。
「今大会の目標だった日本選手権の出場権が取れずに残念でした。Fukuoka DANDELIONに勝つことを目標に臨みましたが、敗れてしまいました。」と試合を振り返ったのは、#2 月村 珠美選手です。「しかし、2日目に行われた2度目対戦では前日の試合内容とは違い、良いプレーが多かったと思います。点差は付いてしまいましたが、試合の内容が良かったのでスッキリしています。」と、激闘で熱気を帯びた身体をクールダウンしながら笑顔で話す月村選手に、自身のプレーを振り返ってもらうと。
「Fukuoka DANDELION・雨撤選手(#9 朴 雨撤選手)のプレッシャーに屈せずプレーができたことですね。相手がボールを運びにくくするディフェンスもできたと思います。ターンオーバーも出ましたし。」と成果を挙げつつも、「ちょっとした単純なミスや、連携のミスで失点を重ねてしまいました。これらの修正がキチンとできれば十分に戦えるレベルだと思っています。伸びしろのある選手も多くいるので、プレーオフ、日本選手権に向けて高めていきたいです。」と既に次の目標も設定されている様子。
「RIZEはどんな試合展開でも諦めないプレーが特長。ハイポインターの2人がどんどん攻めていくスピード感もあるのですが、ローポインターも得点が取れます。どこからでも誰からでも得点が取れるところに注目して車いすラグビーを観戦してくれると嬉しいですね。」と、RIZE観戦のポイントを月村選手が教えてくれました。
「みんなで協力をして1点を取りに行くことがRIZEラグビーの魅力。特に、私のような一般の選手でも役に立てることが嬉しいです。」と、笑顔でRIZEの魅力を話すのは#15 吉村 潤二選手です。千葉県で設計の仕事をフルタイムでしている吉村選手は、「なかなかアスリート雇用の選手との差は埋まりませんが、”考えるプレー” を心がけて自分にできることを精一杯やっています。メダリストの選手たちと対戦して、こんな私でも得点に貢献できることが面白いです。」と、クラブチームラグビーの魅力も教えてくれた吉村選手。
「四肢に障がいのある人ができる球技はとても少ないのですが、その一つが車いすラグビーなんです。みんなで協力してボールを運んで1点を取りにいくRIZEのラグビーをもっと多くのみなさんに観て欲しいです。RIZEはローポインターの日本代表(今井選手)はいても、ハイポインターの日本代表がいないため、圧倒的な得点力がありません。それをカバーすべくチームが一体となってプレーするRIZEのラグビーを楽しんで欲しいです。」と、RIZEの魅力も教えてくれました。
昨年王者の飽くなき追求 -Freedom
今大会、4戦全勝で日本選手権への切符を掴んだのは、高知県を本拠地にするFreedomです。昨秋、香川県高松市で行われたAXEとの合同合宿を取材したJournal-ONEは、選手ひとりひとりにインタビューをして、チームの魅力を伝えていました。今大会は、昨秋に取材できなかった#1 和田 将英選手と#3 畑中 功介選手のプレーにも注目して試合を追いました。
“昨年王者” として臨む今年の選手権予選。他チームが “打倒 Freedom” を掲げる中、今大会最少人数の7人で4試合を戦うハードなスケジュールに得点差では想像できない厳しい試合展開となりました。
「夜間の自動車による長距離移動や、室内の気温(空調が無く蒸し風呂のような状態)の問題で、特にベテランの集中力が働かない状況でした。合宿を繰り返してきた今シーズン、大分成長してきたかなと思っていたのですが、いざゲームになると個々がバラバラに動いてしまい、チームとしては崩壊していた状態でした。」と、日本代表主将の#11 池 透暢選手が4試合を振り返った通り、ベテラン勢が多いFreedomにとって不利な状況が想定外の苦戦を強いられた形となりました。
「自分のポジショニングが今どういった状況なのか。次に備えてどのプレーを選択するのか。初日は頭が働きにくかった。」と#13 松岡 幸夫選手も、ベテランの体力消耗がチームパフォーマンスに影響を与えてしまった反省を口にします。