対するはJAPAN XV
観衆22,283人!“桜のジャージー” で満員となった秩父宮ラグビー場に姿を現わした日本代表。そのジャージーは桜では無く、EMERGING BLOSSOMS(エマージング ブロッサムズ)のジャージーです。
ジャパンとして臨んだW杯イヤーの初戦ではありますが、臨んだのは “JAPAN XV(フィフティーン)“。各国代表同士の戦いであるテストマッチに認定されず、キャップ対象外となるオールブラックスXVを相手に、日本もセカンドチームとして参戦するために “桜のジャージー” を着用しないとのこと。
試合前の会見で、「FLの福井翔大選手やウィング(WTB)のジョネ・ナイカブラ選手、CTBの長田 智希選手など、テストマッチ出場経験がない5人の選手が、メンタリティの部分でオールブラックスXVという強い相手にどこまで戦えるかを見極めたい。」と、ジェイミー・ジョセフ(Jamie JOSEPH)ヘッドコーチが話したとおり、JAPAN RUGBY LEAGUE ONE(リーグワン)で活躍した新たな戦士たちの活躍に期待をする起用となりました。
また、リーグワンの準決勝でも見事な復活をアピールしたSOの松田 力也選手のプレーにも期待を寄せていたジョセフHC。「同じく、リーグワンで活躍したポテッシャルの高い木田 晴斗選手が怪我で出場させられないのは残念。」と、チームとして色々と試しながら残り2ヶ月間で進化を止めないチーム作りの戦略を話してくれました。
強風も味方に:前半
陸上自衛隊音楽隊による両国国家斉唱のセレモニーでは、旗手が持つ両国国旗が千切れんばかりにはためく強風の中、風上に陣を取ったJAPAN XVが先制します。
最初のスクラムでオールブラックスXVから出たパスをターンオーバーするなど、動きの良さを見せた日本は、3分に相手ゴール5mライン含んでノットリリースザボールでチャンスを掴むとすかさずペナルティゴール(PG)を選択。松田選手がしっかりと決めて3-0とします。
7分には自陣5mラインでスクラムとピンチを迎えますが、ここもノットリリースザボールでボールを奪うと中央からのラインアウトまで押し戻し、敵陣深くまで攻め込みます。
序盤優勢に見えた展開でなかなかトライが奪えない中、こんどはオールブラックスXVが反撃に転じます。15分に、日本は自陣インゴール手前で反則を犯しますが、オールブラックスXVが選択したのはPGではなくスクラム!ここから左に展開し、SOのペロフェタ選手がトライして3-8と逆転を許します。
23分、敵陣15mライン付近のオフサイトで得たチャンスに、再び松田選手がPGを決めて6-8と食い下がりますが、攻撃が思うように行かないのかキャプテンのリーチ マイケル選手の檄を飛ばし、自らも起点となってボールを展開しようとしますが上手くボールが繋がりません。
中央付近での攻防が続き、このまま前半終了かと思われた39分。ノックオンで攻撃権を奪われた日本代表は、自陣5mラインでスクラムというピンチを迎えてコラプシング(故意にスクラムを崩す反則)となり、相手にPGを与えてしまいます。
「風の強いコンディションの中、キックやパスの精度が上がらず難しい試合だった。」と、オールブラックスXVのレオン・マクドナルド(Leon MACDONALD)ヘッドコーチが試合後に振り返った通り、逆風の中で2本のキックが大きく左にスライドする失敗をしていたペロフェタ選手が、今度は右ポストを直撃するキックを放って成功。6-11とリードを広げて前半を終了しました。
力の差が顕著に:後半
流れを変えたいJAPAN XVは、後半開始早々から堀江 翔太選手、具 智元選手、姫野 和樹選手といったW杯2019メンバーを投入して流れを変える作戦に出ます。
しかし、15分に同じくW杯2019メンバーのCTB・グッドヒュー選手にトライを決められ、リードを広げられる苦しい展開になります。
JAPAN VXは、このあとも得意のアタックラグビーが影を潜め、ボールハンドリングにもミスが出て攻撃の流れが掴めない状況になります。
一方、オールブラックスXVはバックスの鋭いパス回しと個人技が冴え渡り、22分にはWTBのエテネ・ナナイセトゥロ(Etene NANAI-SETURO)選手、27分にはCTBのアレックス・ナンキヴェル(Alex NANKIVELL)選手、そして途中から入ったSHのフォラウ・ファカタヴァ(Folau FAKATAVA)選手にトライを決められ、ノートライの6-38という大差で敗れました。
オールブラックスXVのコメント
2000年からオールブラックスでキャップを重ね、トップリーグのヤマハ発動機でも中心選手として活躍したマクドナルドHCは、「強風で風下という前半戦は慎重にプレーしました。キックやパスも非常に難しいコンディションでの試合でした。」と、特にペロフェタ選手がキックで手を焼いた強風への対策が上手くいったと話します。